ペルソナP3P
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残り一ヶ月はSEESのメンバーが真実を知ると同時に過ぎ始めて、冬休みが明ける少し前から巌戸台の街中には終末思想を掲げるカルト集団の張り紙が増えてきた。地面に捨てられ雪解け水や踏まれて汚れているそれに紙の無駄使いだと思うのだが、本当に終末が来て全てが終わってしまえば紙の存在も何も関係無いのだろう。
路地の壁へ勝手に張られているそれを一枚剥がす。思った以上に質の悪い印刷用紙だったそれは、内容も手触りも不快だった。
世界中の神話や民話に『終末』の存在は記されている。ハルマゲドンやラグナロクに限らないそれはしかし、人類が存在しているのか分からない程の先の話だ。
けれどもそれを宗教信者や有神論者は楽しげに信じている。
そうでなくとも人は負の方向へと引き寄せられやすいのだろう。『ニュクス』だって人のそんな憧憬が呼び寄せたものだった。
死ぬことを怖いと思い、同時に強く惹かれる。二度と経験できないものであることや、社会的に禁じられていること。やってはいけないと生きていく過程で強く受け付けられるもの。
だから、どういうものかと求めてしまう。そう思うことすら『ニュクス』の影響なのだろうか。
「……くだらねぇなぁ」
剥がした張り紙を破り裂いて捨てる。アマネに『終末』は今のところ訪れない。それならば『終末』について悩むより今日の夕食について考えたかった。
「オイ」
ふと声を掛けられて振り返れば、不良被れと言ってもいいだろう外見の若者達がアマネを睨んでいる。喧嘩を売られる覚えはなかったよなと思っているとその内の一人が、先程アマネが破り捨てたチラシを大切なものであるかのように拾い集めていく。
ストレガのタカヤとジンがネット等を駆使して広めたニュクスによる『終末思想』と、その思想に基づいてタカヤを宗主として立ち上げられた『ニュクス教』
いったいタカヤ達がどうやって一月三十一日にニュクスが降りてくると知ったのかは分からないが、タカヤ達はその日へ向けて一般人達をも洗脳している。
「てめぇ何ニュクス教のチラシ破いてんだぁ? ああ?」
「無許可で建造物に貼られたゴミを捨てただけだぜぇ。俺がやった悪ぃことはせいぜい道ばたにゴミを捨てたぐらいだろぉ?」
わざとけしかける様に言い返せば若者達は面白いくらい機嫌を悪くした。
「捨てられたくなけりゃ全部回収して行政にちゃんと許可をもらえよ。それすら出来ねぇ癖に自分達が正しいって思ってりゃ苦労ねぇなぁ」
「このヤロウ!」
アマネの襟首を掴もうとした若者の腕を払う。掴もうとする勢いが強かったのか、手を払うだけで何故か前のめりになって転んだ若者に、通りすがりのサラリーマンが失笑していた。
その笑い声が聞こえたのか、仲間を侮辱されたことに怒ったのか他の若者達もアマネへ向けて襲いかかろうとしてくる。それを軽くいなしてから、アマネは踵を返して走り出した。
路地の壁へ勝手に張られているそれを一枚剥がす。思った以上に質の悪い印刷用紙だったそれは、内容も手触りも不快だった。
世界中の神話や民話に『終末』の存在は記されている。ハルマゲドンやラグナロクに限らないそれはしかし、人類が存在しているのか分からない程の先の話だ。
けれどもそれを宗教信者や有神論者は楽しげに信じている。
そうでなくとも人は負の方向へと引き寄せられやすいのだろう。『ニュクス』だって人のそんな憧憬が呼び寄せたものだった。
死ぬことを怖いと思い、同時に強く惹かれる。二度と経験できないものであることや、社会的に禁じられていること。やってはいけないと生きていく過程で強く受け付けられるもの。
だから、どういうものかと求めてしまう。そう思うことすら『ニュクス』の影響なのだろうか。
「……くだらねぇなぁ」
剥がした張り紙を破り裂いて捨てる。アマネに『終末』は今のところ訪れない。それならば『終末』について悩むより今日の夕食について考えたかった。
「オイ」
ふと声を掛けられて振り返れば、不良被れと言ってもいいだろう外見の若者達がアマネを睨んでいる。喧嘩を売られる覚えはなかったよなと思っているとその内の一人が、先程アマネが破り捨てたチラシを大切なものであるかのように拾い集めていく。
ストレガのタカヤとジンがネット等を駆使して広めたニュクスによる『終末思想』と、その思想に基づいてタカヤを宗主として立ち上げられた『ニュクス教』
いったいタカヤ達がどうやって一月三十一日にニュクスが降りてくると知ったのかは分からないが、タカヤ達はその日へ向けて一般人達をも洗脳している。
「てめぇ何ニュクス教のチラシ破いてんだぁ? ああ?」
「無許可で建造物に貼られたゴミを捨てただけだぜぇ。俺がやった悪ぃことはせいぜい道ばたにゴミを捨てたぐらいだろぉ?」
わざとけしかける様に言い返せば若者達は面白いくらい機嫌を悪くした。
「捨てられたくなけりゃ全部回収して行政にちゃんと許可をもらえよ。それすら出来ねぇ癖に自分達が正しいって思ってりゃ苦労ねぇなぁ」
「このヤロウ!」
アマネの襟首を掴もうとした若者の腕を払う。掴もうとする勢いが強かったのか、手を払うだけで何故か前のめりになって転んだ若者に、通りすがりのサラリーマンが失笑していた。
その笑い声が聞こえたのか、仲間を侮辱されたことに怒ったのか他の若者達もアマネへ向けて襲いかかろうとしてくる。それを軽くいなしてから、アマネは踵を返して走り出した。