ペルソナP3P
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外見が未成年であることを幻覚で誤魔化して、酒を一升瓶で購入し電車へ乗る。まだ正月三が日である為か電車は空いており、車内で眠くなること数回。
辿り着いた八十稲羽市では、数日前に雪が降ったのか道路の脇や植え込みの上に溶け残っている雪が多く見られた。駅前のゴミ箱に巌戸台で買った雑誌を放り込み、目的地へ向かう。
子供がいないわけでもないだろうが外で遊んでいる子供の姿はない。ついでに言うならそもそも出歩いている大人の姿もなく、住宅地の車庫へ車も少なかった。
歩いて向かったガソリンスタンドは相変わらず閑古鳥が鳴いていて、外の水道でバケツに水を貯めている店員以外は事務所の中でボンヤリしているのが薄汚れた窓越しに見える。その事務所の中の店員へ気付かれないように水道前の店員へ近付いて声を掛けた。
「明けましておめでとう?」
「やあ。明けましておめでとう」
「これ御神酒。奉納しようにもアンタの居場所ここ以外に知らねぇから」
「おやおや、わざわざありがとう」
スタンドの制服の一部である帽子を被り直して、『イザナミ』が一升瓶を受け取る。遊びとはいえ仕事中に渡すのは拙かったかと考えていると、『イザナミ』はジャケットのファスナーを少し降ろしてその中へ一升瓶を入れてしまった。
服の中は異次元にでも繋がっているのか。
「元旦の挨拶をしにきただけかい? それとも私の相手をしに来たのかい?」
「年始の挨拶だけ。一応アンタも『神』に近けぇからなぁ。ないがしろにしちゃ駄目だろぉ」
それに、本当に二年後を迎えられるのかも分からない。万が一一月三十一日を失敗しても、決して『イザナギ』との約束を忘れたわけではないという意思表示も兼ねていた。
水の溜まったバケツに『イザナミ』が水道の蛇口をひねって止める。客もいないし他の店員もサボっているというのに、よく働く神だ。
「ニュクス教、と言ったか。そんなものが蔓延しているようだね」
「死に救いを求める集団」
「お前は気にならないのかね? 『死』は甘美だろう?」
「甘美だなぁ。でもそれは俺が『望む』ものじゃねぇ」
『イザナミ』が人間らしく呆気にとられたような顔をしてアマネを見下ろし、微笑む。
「お前は本当に面白いね」
「アンタに一目置かれりゃ今年は大吉だなぁ」
「教えてやればいい。黄泉平坂の道はそう簡単に通れないだろうさ」
「アンタに簡単に会えるのは俺だけってかぁ。嬉しいね」
心からそう思っていないように空嘯くも、『イザナミ』はお見通しなのか笑みを深くするだけだった。
辿り着いた八十稲羽市では、数日前に雪が降ったのか道路の脇や植え込みの上に溶け残っている雪が多く見られた。駅前のゴミ箱に巌戸台で買った雑誌を放り込み、目的地へ向かう。
子供がいないわけでもないだろうが外で遊んでいる子供の姿はない。ついでに言うならそもそも出歩いている大人の姿もなく、住宅地の車庫へ車も少なかった。
歩いて向かったガソリンスタンドは相変わらず閑古鳥が鳴いていて、外の水道でバケツに水を貯めている店員以外は事務所の中でボンヤリしているのが薄汚れた窓越しに見える。その事務所の中の店員へ気付かれないように水道前の店員へ近付いて声を掛けた。
「明けましておめでとう?」
「やあ。明けましておめでとう」
「これ御神酒。奉納しようにもアンタの居場所ここ以外に知らねぇから」
「おやおや、わざわざありがとう」
スタンドの制服の一部である帽子を被り直して、『イザナミ』が一升瓶を受け取る。遊びとはいえ仕事中に渡すのは拙かったかと考えていると、『イザナミ』はジャケットのファスナーを少し降ろしてその中へ一升瓶を入れてしまった。
服の中は異次元にでも繋がっているのか。
「元旦の挨拶をしにきただけかい? それとも私の相手をしに来たのかい?」
「年始の挨拶だけ。一応アンタも『神』に近けぇからなぁ。ないがしろにしちゃ駄目だろぉ」
それに、本当に二年後を迎えられるのかも分からない。万が一一月三十一日を失敗しても、決して『イザナギ』との約束を忘れたわけではないという意思表示も兼ねていた。
水の溜まったバケツに『イザナミ』が水道の蛇口をひねって止める。客もいないし他の店員もサボっているというのに、よく働く神だ。
「ニュクス教、と言ったか。そんなものが蔓延しているようだね」
「死に救いを求める集団」
「お前は気にならないのかね? 『死』は甘美だろう?」
「甘美だなぁ。でもそれは俺が『望む』ものじゃねぇ」
『イザナミ』が人間らしく呆気にとられたような顔をしてアマネを見下ろし、微笑む。
「お前は本当に面白いね」
「アンタに一目置かれりゃ今年は大吉だなぁ」
「教えてやればいい。黄泉平坂の道はそう簡単に通れないだろうさ」
「アンタに簡単に会えるのは俺だけってかぁ。嬉しいね」
心からそう思っていないように空嘯くも、『イザナミ』はお見通しなのか笑みを深くするだけだった。