ペルソナP3P
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元旦の夜からタルタロスのエントランスへ向かうと、エントランスのベルベットルームへ繋がる扉の傍にもう一つドアが増えていた。
『一度目』には無かったなと思いながら警戒しつつそのドアノブへ手を掛け、中を覗き込むといつか見た『時の狭間』のような空間が広がっている。際限なく広がる砂漠へ無造作にいくつかの扉が乱立させられているその光景の中心では、本来ならここへはいないだろう存在が微笑みながらアマネを見ていた。
「お久しぶりね」
「マーガレット?」
ベルベットルームでイゴールへ仕える三姉弟の長女、マーガレットは不思議がるアマネの態度を気にした様子もなく笑みを深める。
彼女は確か、エリザベスが居た頃にはタルタロスへ姿を現すことはなかった。アマネが彼女の存在を知ったのも八十稲羽市へ行ってからで、ベルベットルームが時空や距離を無視して繋がっているにしても、彼女がここへ来る意味は無かった筈である。
久しぶりに会う相手だが、会わなかった期間など無かったとばかりにマーガレットはアマネを見て不敵に微笑んでいた。
「何でここにいるんだぁ?」
「あの愚弟が選んだお客人を、見定めさせていただこうと思って」
率直に告げる彼女に、『彼女達を舐めているのか』という思い半分と『あの人の時はやらなかったのに』という疑問半分でどう相槌を打つべきかと悩んでいると、マーガレットは少し悲しげに視線を逸らす。
「弟の選んだお客人ですから心配することなど無いのでしょうけれど、姉として弟を心配してもおかしくはないでしょう?」
「……エリザベスは」
「まだ帰ってきていないわ」
『あの人』を助ける術を求めてベルベットルームを出て行ったエリザベス。方法は違えど同じ目的を持っている身として、アマネはエリザベスのことはそう無視も出来ない。
けれどもそれは、姉であるマーガレットの方がその思いは強いだろう。故にもう一人の弟までそうなってしまわぬようにこうしてやってきた。ある意味では弟妹思いの行動だ。
「ごめんマーガレット」
「貴方が謝る必要など無いわ。あの子の行動はあの子の責任。貴方だってそうでしょう?」
彼女はアマネがどうしてここへ居るのかを知っている。けれどもイゴール同様何も言わなかった。
全ての選択と決定権と責任とを、彼女達は妨害しない。
「……テオドアをあんまり困らせんなよぉ」
「あら、私がいつあの子を困らせたかしら?」
「マギー」
「ふふふ、分かっているわ」
弟妹をこき使う長女の笑みである。
『一度目』には無かったなと思いながら警戒しつつそのドアノブへ手を掛け、中を覗き込むといつか見た『時の狭間』のような空間が広がっている。際限なく広がる砂漠へ無造作にいくつかの扉が乱立させられているその光景の中心では、本来ならここへはいないだろう存在が微笑みながらアマネを見ていた。
「お久しぶりね」
「マーガレット?」
ベルベットルームでイゴールへ仕える三姉弟の長女、マーガレットは不思議がるアマネの態度を気にした様子もなく笑みを深める。
彼女は確か、エリザベスが居た頃にはタルタロスへ姿を現すことはなかった。アマネが彼女の存在を知ったのも八十稲羽市へ行ってからで、ベルベットルームが時空や距離を無視して繋がっているにしても、彼女がここへ来る意味は無かった筈である。
久しぶりに会う相手だが、会わなかった期間など無かったとばかりにマーガレットはアマネを見て不敵に微笑んでいた。
「何でここにいるんだぁ?」
「あの愚弟が選んだお客人を、見定めさせていただこうと思って」
率直に告げる彼女に、『彼女達を舐めているのか』という思い半分と『あの人の時はやらなかったのに』という疑問半分でどう相槌を打つべきかと悩んでいると、マーガレットは少し悲しげに視線を逸らす。
「弟の選んだお客人ですから心配することなど無いのでしょうけれど、姉として弟を心配してもおかしくはないでしょう?」
「……エリザベスは」
「まだ帰ってきていないわ」
『あの人』を助ける術を求めてベルベットルームを出て行ったエリザベス。方法は違えど同じ目的を持っている身として、アマネはエリザベスのことはそう無視も出来ない。
けれどもそれは、姉であるマーガレットの方がその思いは強いだろう。故にもう一人の弟までそうなってしまわぬようにこうしてやってきた。ある意味では弟妹思いの行動だ。
「ごめんマーガレット」
「貴方が謝る必要など無いわ。あの子の行動はあの子の責任。貴方だってそうでしょう?」
彼女はアマネがどうしてここへ居るのかを知っている。けれどもイゴール同様何も言わなかった。
全ての選択と決定権と責任とを、彼女達は妨害しない。
「……テオドアをあんまり困らせんなよぉ」
「あら、私がいつあの子を困らせたかしら?」
「マギー」
「ふふふ、分かっているわ」
弟妹をこき使う長女の笑みである。