ペルソナP3P
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辰巳記念病院の荒垣が入院している病院で、荒垣の見舞いの後にナースステーションへ寄って余っていたカップケーキを差し入れて片付ける。クリスマスと言えども働からざるを得ない看護婦達には喜んでもらえた。ただ『カップケーキ作れる彼氏はナイわ』と言われたのは解せない。
学校からずっと一緒だった有里と共に病院を出て、巌戸台分寮へ有里を送りながら、彼女がアマネを待っていた理由を聞き出す。そうは言っても単純明快な理由だけは既に分かっていた。
「綾時から聞いてなかったの?」
「……そういう話をする余裕は、ありませんでしたから」
有里は、彼女は望月と恋人だったらしい。
いったいいつの間にそんな関係になったのか、そもそもどういう経緯でそうなったのか甚だ疑問だったが、他人の恋愛関係なんてアマネが首を突っ込んで聞くことでもないと思い切る。大前提的に自分の恋愛も語れない奴が聞いても仕方があるまい。
「会って一ヶ月ちょっとで付き合うとか、尻軽って思う?」
「し……別にそんな風には思いませんよ。ただ、綾時さんは教えてくりゃ良かったのにと思いますけど」
自分で言って、望月が言わなかった理由に気付いた気がした。ただでさえアマネは彼が“消えてしまう”ことを知っていて、それを阻止しようと足掻いている者である。有里と恋人になった事を知っていたら、こんなのんびりしていない。
だからわざと言わなかったのだろう。彼も優しいから。
「友達だったって、私も知らなかったよ。他にも色々」
「すみません。言うことでも軽々しく言えることでも無かったので」
「謝ってほしいわけじゃないよ」
有里がアマネの貸したマフラーをたくし上げる。
「綾時が『死の宣告者』とか、そういう事を気にしなきゃいけないのは分かってるんだ。でも、クリスマスくらい綾時に会いたいって思うのは駄目なことかな?」
有里がアマネを待ち伏せていた理由。それは大晦日よりも前のこの日に望月へ会う方法は無いかを尋ねる為だった。
日本のクリスマスはイタリアや欧州と違って、家族ではなく恋人と過ごす日へ変わっている。無論家族と過ごすのだっておかしいことではない。でも恋人がいればその相手と過ごしたいと思うイベントだ。
それは世界存続の選択肢を与えられた有里達だって例外ではない。むしろ与えられたからこそ、大事にしようと考えたのかも知れなかった。
望月だって同じだ。むしろ彼こそ一人でこんな日を過ごさないでほしい。
少なくともアマネはそう考えた。だから『用意』していたのだ。
交差点の横断歩道の信号で止まる。隣に並んだ有里へ話しかけた。
「本当に居るかどうかは分かりませんが」
学校からずっと一緒だった有里と共に病院を出て、巌戸台分寮へ有里を送りながら、彼女がアマネを待っていた理由を聞き出す。そうは言っても単純明快な理由だけは既に分かっていた。
「綾時から聞いてなかったの?」
「……そういう話をする余裕は、ありませんでしたから」
有里は、彼女は望月と恋人だったらしい。
いったいいつの間にそんな関係になったのか、そもそもどういう経緯でそうなったのか甚だ疑問だったが、他人の恋愛関係なんてアマネが首を突っ込んで聞くことでもないと思い切る。大前提的に自分の恋愛も語れない奴が聞いても仕方があるまい。
「会って一ヶ月ちょっとで付き合うとか、尻軽って思う?」
「し……別にそんな風には思いませんよ。ただ、綾時さんは教えてくりゃ良かったのにと思いますけど」
自分で言って、望月が言わなかった理由に気付いた気がした。ただでさえアマネは彼が“消えてしまう”ことを知っていて、それを阻止しようと足掻いている者である。有里と恋人になった事を知っていたら、こんなのんびりしていない。
だからわざと言わなかったのだろう。彼も優しいから。
「友達だったって、私も知らなかったよ。他にも色々」
「すみません。言うことでも軽々しく言えることでも無かったので」
「謝ってほしいわけじゃないよ」
有里がアマネの貸したマフラーをたくし上げる。
「綾時が『死の宣告者』とか、そういう事を気にしなきゃいけないのは分かってるんだ。でも、クリスマスくらい綾時に会いたいって思うのは駄目なことかな?」
有里がアマネを待ち伏せていた理由。それは大晦日よりも前のこの日に望月へ会う方法は無いかを尋ねる為だった。
日本のクリスマスはイタリアや欧州と違って、家族ではなく恋人と過ごす日へ変わっている。無論家族と過ごすのだっておかしいことではない。でも恋人がいればその相手と過ごしたいと思うイベントだ。
それは世界存続の選択肢を与えられた有里達だって例外ではない。むしろ与えられたからこそ、大事にしようと考えたのかも知れなかった。
望月だって同じだ。むしろ彼こそ一人でこんな日を過ごさないでほしい。
少なくともアマネはそう考えた。だから『用意』していたのだ。
交差点の横断歩道の信号で止まる。隣に並んだ有里へ話しかけた。
「本当に居るかどうかは分かりませんが」