ペルソナP3P
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放課後には集まって夜通しゲームをするのだと佐藤達が騒いでいたクリスマス当日。色々の準備のついでに作ったカップケーキを渡そうとしたらしょっぱい顔をされたので、クラスの女子に配ろうとしたら勢いよく奪われた。『一度目』の経験を生かして数だけは大量に作ってきたのでちゃんと伏見さんにもあげて、ついでに廊下で遭遇した錦にもあげる。
何とも言えない顔をした錦は、それでもとりあえず受け取ってくれた。
「お前さあ、もうちょっと考えて行動しろ?」
「充分しているつもりですが」
「じゃあなんで男のくせにカップケーキ。しかもクリスマスに」
「ついでなんです。ちゃんとしたケーキを食べさせてぇ人が居て」
「買えよ」
それを言ってしまえばお終いである。けれども買うよりは手作りをあげたかったのだ。
帰る前に意識が無くカップケーキどころか点滴生活である荒垣の元へも見舞いへ行こうと、佐藤達と別れて一人帰る為に昇降口へ向かう。『一度目』のことを覚えている彼ならきっとあの場所へいるだろうが、あまり早い時間に行っても仕方ない。
靴を履き替えて、首に巻いていた安物のマフラーをたくし上げなら前を向けば、有里が校門のところで誰かを待つように立っているのが見えた。
着ているコートだけでは寒さが防ぎきれていないらしく、冷たそうな手に息を吹きかけて暖を取っている。そんな事をするくらいなら校内で待つとか携帯で待ち人へ連絡を取ればいいのにと思う。ただでさえ女子生徒はスカートで足が寒そうだ。
少し考えて、結局校内に戻り自販機で暖かい紅茶を買う。それを持って有里へ近づき、彼女へ缶を差し出した。
顔を上げた有里の鼻が赤くなっている。
「待ち合わせなら、こんな寒い場所で待つのは止めたほうがいいと思います」
缶を受け取った有里は、暖かい缶が冷え切った手に痛いのか摘むように何度も持ち替えて、やがてバッグからハンドタオルを取り出して包むことで安定して持てるようにしてから、にこりと笑った。
「アマネ君を待ってたんだ。聞きたいことがあって」
「……。大晦日の件でしたら」
「その前にさ、綾時に会いたいの」
クリスマスだからと浮き足だった様子で生徒達が校門を出て行く。有里がアマネのあげた缶で暖を取るように両手でそれを握っていた。
「何でですか」
まさか大晦日よりも前に望月へ選択の答えを返すつもりかと少し動揺しながら聞けば、有里は少し恥ずかしそうな態度をとる。
『あの人』はここまで感情表現が緻密ではなかったなと場違いなことを思いつつ有里の答えを待っていれば、有里は今度こそ少しどころではなく恥ずかしそうにアマネを殴ってきた。痛くはない。
「クリスマスに彼氏に会いたいって思っちゃ悪い!?」
「ぇ……え!?」
何とも言えない顔をした錦は、それでもとりあえず受け取ってくれた。
「お前さあ、もうちょっと考えて行動しろ?」
「充分しているつもりですが」
「じゃあなんで男のくせにカップケーキ。しかもクリスマスに」
「ついでなんです。ちゃんとしたケーキを食べさせてぇ人が居て」
「買えよ」
それを言ってしまえばお終いである。けれども買うよりは手作りをあげたかったのだ。
帰る前に意識が無くカップケーキどころか点滴生活である荒垣の元へも見舞いへ行こうと、佐藤達と別れて一人帰る為に昇降口へ向かう。『一度目』のことを覚えている彼ならきっとあの場所へいるだろうが、あまり早い時間に行っても仕方ない。
靴を履き替えて、首に巻いていた安物のマフラーをたくし上げなら前を向けば、有里が校門のところで誰かを待つように立っているのが見えた。
着ているコートだけでは寒さが防ぎきれていないらしく、冷たそうな手に息を吹きかけて暖を取っている。そんな事をするくらいなら校内で待つとか携帯で待ち人へ連絡を取ればいいのにと思う。ただでさえ女子生徒はスカートで足が寒そうだ。
少し考えて、結局校内に戻り自販機で暖かい紅茶を買う。それを持って有里へ近づき、彼女へ缶を差し出した。
顔を上げた有里の鼻が赤くなっている。
「待ち合わせなら、こんな寒い場所で待つのは止めたほうがいいと思います」
缶を受け取った有里は、暖かい缶が冷え切った手に痛いのか摘むように何度も持ち替えて、やがてバッグからハンドタオルを取り出して包むことで安定して持てるようにしてから、にこりと笑った。
「アマネ君を待ってたんだ。聞きたいことがあって」
「……。大晦日の件でしたら」
「その前にさ、綾時に会いたいの」
クリスマスだからと浮き足だった様子で生徒達が校門を出て行く。有里がアマネのあげた缶で暖を取るように両手でそれを握っていた。
「何でですか」
まさか大晦日よりも前に望月へ選択の答えを返すつもりかと少し動揺しながら聞けば、有里は少し恥ずかしそうな態度をとる。
『あの人』はここまで感情表現が緻密ではなかったなと場違いなことを思いつつ有里の答えを待っていれば、有里は今度こそ少しどころではなく恥ずかしそうにアマネを殴ってきた。痛くはない。
「クリスマスに彼氏に会いたいって思っちゃ悪い!?」
「ぇ……え!?」