ペルソナP3P
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「あと数日で期末試験だろ」
「そうですね」
「それが終わったらクリスマスだろ」
「そうですね」
「お前彼女とかいんの?」
「一緒に過ごしたい人はいました。もう会えませんが」
「……なんかゴメン」
廊下で自販機の缶コーヒーを飲みながら、職員室に行った佐藤を待っている間にやってきた錦は、何だか勘違いをしたようで謝ってきた。あながち勘違いとも言い切れないので修正はしないでおく。
あと数日で期末試験があるからか、SEESの誰かがアマネへ接触してくることもなかった。伊織に関しては殴ってしまっていたし、興奮してなかなか支離滅裂なことを言った気がするので誰も来ないのは正直有り難い。誰かが話をしに来たとしても、アマネに話すつもりも話せることも無かったが。
錦はそんなアマネをどう思ったのか、小さく呻きながら自分の頭を掻いたかと思うとアマネの頭へと手を置いて撫でてきた。
「錦先輩?」
「『アマネはスキンシップが好きなんだよ』だと」
誰から聞いたのか丸わかりなその伝聞に、アマネは何も言えずに黙り込む。
「疲れたのかよ」
「……疲れて、ねぇです」
「その割には疲れたって顔してるよ。それとも悲しいことでもあったか? どっかのバカにイジメられたか? 一応先輩だから相談には乗ってやるぜ? なんだったらどっかのバカの制裁だってしてやるぜ?」
「……自分が頑張ってる方向が、これでいいのか分かんねぇんです」
開けられている廊下の窓から冷たい風が入り込んできた。少し潮の匂いが混じるそれはもう数ヶ月も経って慣れきったものだが、それでも時々意識に浮かんでここが人工とはいえ島であることを思い出させる。
「お前の頑張ってる方向なんて知らねえよ」
錦の返事はにべもない。
「でも頑張ってるだけいいじゃねえか。世の中には頑張らねえままの奴もいるよ」
そう言って撫でていたアマネの頭をはたき、錦は気軽そうに笑った。
何も知らないのだろうが、流石恭弥に気に入られるだけの人物だと思う。ただ喧嘩が強いだけでは恭弥も流石にただの遊び相手としか認識しない。それがアマネのことが切っ掛けとはいえ、何度も連絡を寄越されたりしているのだから気に入られているのだろう。
恭弥とも話がしたい。恭弥だけではなく、了平や沢田や、きっといるのだろう他の皆とも話がしたかった。
けれどもそれはまだ駄目だと自分で決めたのだ。こんな中途半端なままでは彼らに合わせる顔もない。
錦がそんなアマネを見て睨むように眉を潜めていた。
「そうですね」
「それが終わったらクリスマスだろ」
「そうですね」
「お前彼女とかいんの?」
「一緒に過ごしたい人はいました。もう会えませんが」
「……なんかゴメン」
廊下で自販機の缶コーヒーを飲みながら、職員室に行った佐藤を待っている間にやってきた錦は、何だか勘違いをしたようで謝ってきた。あながち勘違いとも言い切れないので修正はしないでおく。
あと数日で期末試験があるからか、SEESの誰かがアマネへ接触してくることもなかった。伊織に関しては殴ってしまっていたし、興奮してなかなか支離滅裂なことを言った気がするので誰も来ないのは正直有り難い。誰かが話をしに来たとしても、アマネに話すつもりも話せることも無かったが。
錦はそんなアマネをどう思ったのか、小さく呻きながら自分の頭を掻いたかと思うとアマネの頭へと手を置いて撫でてきた。
「錦先輩?」
「『アマネはスキンシップが好きなんだよ』だと」
誰から聞いたのか丸わかりなその伝聞に、アマネは何も言えずに黙り込む。
「疲れたのかよ」
「……疲れて、ねぇです」
「その割には疲れたって顔してるよ。それとも悲しいことでもあったか? どっかのバカにイジメられたか? 一応先輩だから相談には乗ってやるぜ? なんだったらどっかのバカの制裁だってしてやるぜ?」
「……自分が頑張ってる方向が、これでいいのか分かんねぇんです」
開けられている廊下の窓から冷たい風が入り込んできた。少し潮の匂いが混じるそれはもう数ヶ月も経って慣れきったものだが、それでも時々意識に浮かんでここが人工とはいえ島であることを思い出させる。
「お前の頑張ってる方向なんて知らねえよ」
錦の返事はにべもない。
「でも頑張ってるだけいいじゃねえか。世の中には頑張らねえままの奴もいるよ」
そう言って撫でていたアマネの頭をはたき、錦は気軽そうに笑った。
何も知らないのだろうが、流石恭弥に気に入られるだけの人物だと思う。ただ喧嘩が強いだけでは恭弥も流石にただの遊び相手としか認識しない。それがアマネのことが切っ掛けとはいえ、何度も連絡を寄越されたりしているのだから気に入られているのだろう。
恭弥とも話がしたい。恭弥だけではなく、了平や沢田や、きっといるのだろう他の皆とも話がしたかった。
けれどもそれはまだ駄目だと自分で決めたのだ。こんな中途半端なままでは彼らに合わせる顔もない。
錦がそんなアマネを見て睨むように眉を潜めていた。