ペルソナP3P
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
奏視点
「斑鳩の言っていた『兄さん』だがな。調べたが彼の身辺に当てはまる人物は一人も居なかった」
試験まで後数日という日に、財閥を使って調べたらしい桐条先輩が少し疲れた様子でそう話しかけてきた。
アマネ君とはあの夜以来会っていない。試験前の勉強で忙しいというのとタルタロス探索、それにアマネ君の方が私達を避けているらしく、学校内で姿を見かけても話しかけるまでには至らなかった。
私としては、代わりに順平へ怒ってくれたことを感謝したりあの時の話で出てきた『お兄さん』の事をもう少し訊いたりしたかったのに、そのタイミングがなかなか無い。お兄さんが死んだことと私達とにどんな関係があるのかも、私達は知らないのだ。
それが気になったのは私だけではなかったらしく、調査結果らしい書類を私へ渡しながら桐条先輩はため息を吐いた。
「幼少期に両親を亡くして叔父一家へ引き取られ、中学卒業までは一緒に過ごしていたらしい。その後月光館へ入学と同時に一人暮らしを始め、怪しいことは何一つ出てこなかった。ペルソナやシャドウとの関係を匂わせる物も皆無だ」
「でも召喚器持ってたんですよね?」
「ああ。彼の話ではペルソナ使いになったのはここ数年の話らしいが、これといって彼が関わっているような案件も無かったよ」
「じゃあ、アマネ君の話は嘘……?」
自分で言っておいて何だが、嘘には思えない。あの時の涙は本物だったと思う。
桐条先輩も同じ考えではあるらしい。
「やはり詳しいことは本人に訊くべきなのだろう。……そういえば、彼が月光館へ来る前の話だが、彼の後見人の叔父一家が交通事故に遭っているな。彼は引っ越し作業で別行動をしていたから無事だったらしいが」
「あんまり関係なさそうですね」
「ああ。だがその事故の後、彼は学校があるからと入院もした叔父一家を心配せずこちらへ来たらしい。それまでの彼を知る者の話では意外な行動だったそうだ」
「意外?」
「彼だったら、学校を休んででも入院した叔父一家の面倒を見ただろう。という意見があった」
言われて、何となく私もその方がアマネ君らしいと思った。あの世話好きの彼なら、多少面倒でも学校よりも人のことを大事にするだろう。他人でも見放す事が出来なかったから修学旅行の時には天田の為に分寮へ来てくれたのだろうし、それ以外にもチドリのことや桐条先輩のお父さんを助けた時のことだってあった。
あんな事を、そう簡単に出来るとは思えない。
「高校一年目の最初だし、当然といえば当然かもしれないけれどな」
その辺は大して気に掛ける事でもないのだろうと判断した桐条先輩が、用事があるからと去っていった。
「斑鳩の言っていた『兄さん』だがな。調べたが彼の身辺に当てはまる人物は一人も居なかった」
試験まで後数日という日に、財閥を使って調べたらしい桐条先輩が少し疲れた様子でそう話しかけてきた。
アマネ君とはあの夜以来会っていない。試験前の勉強で忙しいというのとタルタロス探索、それにアマネ君の方が私達を避けているらしく、学校内で姿を見かけても話しかけるまでには至らなかった。
私としては、代わりに順平へ怒ってくれたことを感謝したりあの時の話で出てきた『お兄さん』の事をもう少し訊いたりしたかったのに、そのタイミングがなかなか無い。お兄さんが死んだことと私達とにどんな関係があるのかも、私達は知らないのだ。
それが気になったのは私だけではなかったらしく、調査結果らしい書類を私へ渡しながら桐条先輩はため息を吐いた。
「幼少期に両親を亡くして叔父一家へ引き取られ、中学卒業までは一緒に過ごしていたらしい。その後月光館へ入学と同時に一人暮らしを始め、怪しいことは何一つ出てこなかった。ペルソナやシャドウとの関係を匂わせる物も皆無だ」
「でも召喚器持ってたんですよね?」
「ああ。彼の話ではペルソナ使いになったのはここ数年の話らしいが、これといって彼が関わっているような案件も無かったよ」
「じゃあ、アマネ君の話は嘘……?」
自分で言っておいて何だが、嘘には思えない。あの時の涙は本物だったと思う。
桐条先輩も同じ考えではあるらしい。
「やはり詳しいことは本人に訊くべきなのだろう。……そういえば、彼が月光館へ来る前の話だが、彼の後見人の叔父一家が交通事故に遭っているな。彼は引っ越し作業で別行動をしていたから無事だったらしいが」
「あんまり関係なさそうですね」
「ああ。だがその事故の後、彼は学校があるからと入院もした叔父一家を心配せずこちらへ来たらしい。それまでの彼を知る者の話では意外な行動だったそうだ」
「意外?」
「彼だったら、学校を休んででも入院した叔父一家の面倒を見ただろう。という意見があった」
言われて、何となく私もその方がアマネ君らしいと思った。あの世話好きの彼なら、多少面倒でも学校よりも人のことを大事にするだろう。他人でも見放す事が出来なかったから修学旅行の時には天田の為に分寮へ来てくれたのだろうし、それ以外にもチドリのことや桐条先輩のお父さんを助けた時のことだってあった。
あんな事を、そう簡単に出来るとは思えない。
「高校一年目の最初だし、当然といえば当然かもしれないけれどな」
その辺は大して気に掛ける事でもないのだろうと判断した桐条先輩が、用事があるからと去っていった。