ペルソナP3P
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考える時間を与える為、無駄なことを考えさせない為にもSEESに対しアマネからの接触はしないことにした。学校内で見かけても近寄ったり話しかけることはせず、目が合っても軽く頭を下げる程度。ただ、向こうからアマネへ接触しようとしてくるのは受け入れた。
最初にアマネの前に現れた山岸は、アマネがいるクラスも知らなかったからか待ち伏せの様に昇降口で立っており、アマネを見つけると少し戸惑う様に微笑んだ。一緒に帰ってワックで試験勉強をする予定だった佐藤に謝罪して別れ、山岸に声を掛ける。
「貴女が来るのはちょっと予想外でした」
「うん。でも、他に話せる人もいないから」
駅前商店街にある甘味処の『小豆あらい』へ移動して、それぞれが注文した甘味が来るのを待つ。それぞれの善哉とあんみつが来てから、手をつける前に山岸の方から口を開く。
「アマネ君は、私がいじめられてたって、知ってる?」
「六月の話ですか」
「やっぱり知ってるんだね。……あのね、私、誰にも言ったことはないけれどあの頃、死んだら楽になれるのかなって考えたことがあるの」
相槌の返し難い話題に山岸を見る。山岸はあんみつを見つめて微笑んでいた。
「もちろん今はそんなこと無いよ。皆が居るし友達も、いるから」
「それは良かったですね」
「それでね。……それでも、綾時君の話は怖かった」
何も知らない月光館の生徒が数人来店し、店員に案内されていく。
「絶対に死んでしまうって、やっぱり怖いよ」
「……俺には、それよりもっと怖いことがあります」
山岸が顔を上げてアマネを見るのに、アマネは安心させるように微笑んだ。
「それがもう一度、起こるのを阻止したくて頑張ってるんです」
世界の破滅よりも自分の死よりも、アマネは自分の知っている誰かが目の前で死んでしまうのが、目の前で手の届かない場所へ行ってしまうのが、おいていかれるのが、怖い。
助けたいのだ。『兄』を助けられなかった代わりに彼女を。『兄』がいなくなってしまったことで泣いたあの人達を。その為にアマネは選んだ。
選択肢を与えられて、アマネはもう選んでいる。だからもうやり直すことも選択し直す事も出来ない。したくなかった。
「逃げるのは悪いことではないと綾時さんは言いました。でも、逃げるのっていつでも出来たんですよ。……六月のあの時、貴女は逃げなかった」
「……アマネ君は、見てたみたいに言うんだね」
「嫌でしたら謝ります。同じように、SEESの皆さんは誰も逃げてない。俺はそう思っています」
「何を知ってるのか、訊いてもいい?」
「何も知らねぇんですよ。ただチャンスだけを与えられたんです」
あんみつに乗っていたアイスが溶ける。
最初にアマネの前に現れた山岸は、アマネがいるクラスも知らなかったからか待ち伏せの様に昇降口で立っており、アマネを見つけると少し戸惑う様に微笑んだ。一緒に帰ってワックで試験勉強をする予定だった佐藤に謝罪して別れ、山岸に声を掛ける。
「貴女が来るのはちょっと予想外でした」
「うん。でも、他に話せる人もいないから」
駅前商店街にある甘味処の『小豆あらい』へ移動して、それぞれが注文した甘味が来るのを待つ。それぞれの善哉とあんみつが来てから、手をつける前に山岸の方から口を開く。
「アマネ君は、私がいじめられてたって、知ってる?」
「六月の話ですか」
「やっぱり知ってるんだね。……あのね、私、誰にも言ったことはないけれどあの頃、死んだら楽になれるのかなって考えたことがあるの」
相槌の返し難い話題に山岸を見る。山岸はあんみつを見つめて微笑んでいた。
「もちろん今はそんなこと無いよ。皆が居るし友達も、いるから」
「それは良かったですね」
「それでね。……それでも、綾時君の話は怖かった」
何も知らない月光館の生徒が数人来店し、店員に案内されていく。
「絶対に死んでしまうって、やっぱり怖いよ」
「……俺には、それよりもっと怖いことがあります」
山岸が顔を上げてアマネを見るのに、アマネは安心させるように微笑んだ。
「それがもう一度、起こるのを阻止したくて頑張ってるんです」
世界の破滅よりも自分の死よりも、アマネは自分の知っている誰かが目の前で死んでしまうのが、目の前で手の届かない場所へ行ってしまうのが、おいていかれるのが、怖い。
助けたいのだ。『兄』を助けられなかった代わりに彼女を。『兄』がいなくなってしまったことで泣いたあの人達を。その為にアマネは選んだ。
選択肢を与えられて、アマネはもう選んでいる。だからもうやり直すことも選択し直す事も出来ない。したくなかった。
「逃げるのは悪いことではないと綾時さんは言いました。でも、逃げるのっていつでも出来たんですよ。……六月のあの時、貴女は逃げなかった」
「……アマネ君は、見てたみたいに言うんだね」
「嫌でしたら謝ります。同じように、SEESの皆さんは誰も逃げてない。俺はそう思っています」
「何を知ってるのか、訊いてもいい?」
「何も知らねぇんですよ。ただチャンスだけを与えられたんです」
あんみつに乗っていたアイスが溶ける。