ペルソナP3P
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「すぐに決めなくてもいい。少しだけど……まだ時間はあるから」
「十二月、三十一日……」
「うん。大晦日だ」
静かに望月は立ち上がった。まるで『一度目』と同じように。
そうして作戦室を出て行く為に扉へ向かい、最後だとばかりに振り返って全員の顔を見回した。
「アマネ君は、もう決めてるんだっけ?」
「はい」
「そうか……ごめんね」
「謝るのは無しです。これは俺が決めたことなんですから」
そうだ。これはアマネが自分で決めたことだ。SEESの全員が大晦日にどんな選択肢を選ぼうと、アマネだけは諦めない。
もし望月を殺す選択肢を選んだとしても、どうにかその先へ続く方法を探すと決めている。でなければ結局途中で諦めるのと一緒だ。
会議室の外へ出て行った望月を伊織が追いかけたが、扉を開けた先にもう望月は居ない。それぞれの思いを抱えてうなだれていたSEESのメンバーの中から、桐条が顔を上げてアマネを見た。
「君は、知っていたのか?」
何を、という言葉のいらない問いに、アマネは無言で肯定する。
「いつから、という質問にはやっぱりここ数年とだけ。綾時さんが『死の宣告者』だってことも、有里さんがアイギスさんによって封印の器になっていたことも、ニュクスがどんな存在なのかも、知っていました」
「知ってて……知ってて黙ってたのかよ!」
「言ったら信じてくれたかぁ!?」
怒鳴る伊織に怒鳴り返した。
「もう十年前には始まってたってのに、俺はこの一年からしかやり直せねぇんだよ! それでも頑張ったよ! 荒垣さんやご当主助ける方法はねぇのかとか、ニュクスに対抗する手段が他にねぇのかとか、綾時さんを助ける方法はねぇのかって今も考えてんだよ! アンタ等はいいよなぁまだ何も知らねぇから。綾時さんがどんな思いで言ったのかっ――」
「アマネ君」
名前を呼ばれて言葉を切る。肩で息をしながら伊織を睨んで、名前を呼んだ有里を見た。動揺を必死に押し隠しているような彼女を見て、この人が一番衝撃が大きかった筈だと今更思い至る。
『あの人』だってそうだった。自分の中に『死の宣告者』を封印していたと知らされて、知らないまま十年近く生きてきて、この街で。
「……言い過ぎました。すみません」
謝りながら頭に上った血を意識して下げるように深く息を吐く。ソファから立ち上がって作戦室を出ようと扉へ向かった。
出ようとして、やっぱり堪えきれずに振り返る。
「俺は、皆さんがどんな選択肢を選ぼうと気にしません。ただ俺の邪魔はしないでください」
桐条と真田が何か言いたげだったが無視をした。後ろ手で扉を閉めて階段を降りていく。
彼女達がどんな選択をしようと構わない。ただアマネの救いたい者の中には、彼女達も入っているのだ。
「十二月、三十一日……」
「うん。大晦日だ」
静かに望月は立ち上がった。まるで『一度目』と同じように。
そうして作戦室を出て行く為に扉へ向かい、最後だとばかりに振り返って全員の顔を見回した。
「アマネ君は、もう決めてるんだっけ?」
「はい」
「そうか……ごめんね」
「謝るのは無しです。これは俺が決めたことなんですから」
そうだ。これはアマネが自分で決めたことだ。SEESの全員が大晦日にどんな選択肢を選ぼうと、アマネだけは諦めない。
もし望月を殺す選択肢を選んだとしても、どうにかその先へ続く方法を探すと決めている。でなければ結局途中で諦めるのと一緒だ。
会議室の外へ出て行った望月を伊織が追いかけたが、扉を開けた先にもう望月は居ない。それぞれの思いを抱えてうなだれていたSEESのメンバーの中から、桐条が顔を上げてアマネを見た。
「君は、知っていたのか?」
何を、という言葉のいらない問いに、アマネは無言で肯定する。
「いつから、という質問にはやっぱりここ数年とだけ。綾時さんが『死の宣告者』だってことも、有里さんがアイギスさんによって封印の器になっていたことも、ニュクスがどんな存在なのかも、知っていました」
「知ってて……知ってて黙ってたのかよ!」
「言ったら信じてくれたかぁ!?」
怒鳴る伊織に怒鳴り返した。
「もう十年前には始まってたってのに、俺はこの一年からしかやり直せねぇんだよ! それでも頑張ったよ! 荒垣さんやご当主助ける方法はねぇのかとか、ニュクスに対抗する手段が他にねぇのかとか、綾時さんを助ける方法はねぇのかって今も考えてんだよ! アンタ等はいいよなぁまだ何も知らねぇから。綾時さんがどんな思いで言ったのかっ――」
「アマネ君」
名前を呼ばれて言葉を切る。肩で息をしながら伊織を睨んで、名前を呼んだ有里を見た。動揺を必死に押し隠しているような彼女を見て、この人が一番衝撃が大きかった筈だと今更思い至る。
『あの人』だってそうだった。自分の中に『死の宣告者』を封印していたと知らされて、知らないまま十年近く生きてきて、この街で。
「……言い過ぎました。すみません」
謝りながら頭に上った血を意識して下げるように深く息を吐く。ソファから立ち上がって作戦室を出ようと扉へ向かった。
出ようとして、やっぱり堪えきれずに振り返る。
「俺は、皆さんがどんな選択肢を選ぼうと気にしません。ただ俺の邪魔はしないでください」
桐条と真田が何か言いたげだったが無視をした。後ろ手で扉を閉めて階段を降りていく。
彼女達がどんな選択をしようと構わない。ただアマネの救いたい者の中には、彼女達も入っているのだ。