ペルソナP3P
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
夜になって磐戸台分寮へ赴けば、アマネを出迎えたのは真田だった。
「お前が来たら、案内してくれと言われていたんだ」
「綾時さんは」
「もう作戦室に居るはずだ」
場所は分かっていたが、真田に案内されて四階の作戦室へ向かう。階段を上がっていく途中で、男部屋のある階の一番奥にある空き室へ一度目を向けた。気付かず階段を上がっていく真田に、後であの部屋へ入れてもらえるかを聞こうとして止める。きっと今夜は不審な行動はしないほうがいい。
望月は『一度目』と同じく、作戦室にある一人掛けのソファへ腰を下ろしていた。アマネは思わず駆け寄ろうとしてしまったが、同じく作戦室に集まっていた伊織達の視線を受けて堪える。アマネを見て力なく微笑む望月に、SEESの敵愾心を育てないようにあえてゆっくりと歩み寄った。
「体調はどうですか」
「知ってるくせに」
「知っていても聞いてしまうものです」
座っている望月の前にしゃがんでその手を取れば、暖かくも冷たくもない温もりがアマネの体温をやんわりを奪っていく。それが悲しいかどうかは分からなかった。
「これで、全員集まったな」
遅れてやってきた桐条の言葉に、アマネは真田に促されて彼の隣へと座る。多分真田が隣なのはアマネの見張りも兼ねているのだろう。アマネの足下へコロマルがやってきて座った。
「早速だが、訊きたい事が山ほどある」
そうして始まった尋問に、望月はそれが自分の役割だと割り切っているように答えていく。アマネにとっては二回目の説明であったが、辛い真実であることに変わりはなかった。
『一度目』の時は、それでもアマネは楽観視していた。他の世界は救えたのだからと、自分は特別だったのだからと。
けれども母なる存在である『ニュクス』は、アマネよりも“特別”な存在だった。
「死なない命は無いように……時の流れを変えることは出来ても止めてしまえないように、ニュクスを消すなんて事は……決して“出来なかった”」
顔を上げると望月と目が合う。アマネと望月だけが知っている事実。『ニュクスを“消す事は出来なかった”』
「……アマネ君は知ってるけど、僕は、シャドウが集まって出来た存在だ」
望月はアマネから視線を逸らさずに続ける。
彼がこの世界では『有里 奏』の中へ、アイギスによって十年前のムーンライトブリッジで封印されて、それによって彼女の手でならニュクスの『宣告者』である望月を殺せること。望月を殺すことによって望みの無い現実全てを忘れられるということ。
「もし僕を殺さなければ……僕を殺さなければ、全てが今のままか、もっと辛い未来が待っているだけの……」
そこで望月は一度言葉を切った。俯いて両手を握りしめて、顔を上げる。
「でも僕は、君たちをそんな目に逢わせたくない」
「お前が来たら、案内してくれと言われていたんだ」
「綾時さんは」
「もう作戦室に居るはずだ」
場所は分かっていたが、真田に案内されて四階の作戦室へ向かう。階段を上がっていく途中で、男部屋のある階の一番奥にある空き室へ一度目を向けた。気付かず階段を上がっていく真田に、後であの部屋へ入れてもらえるかを聞こうとして止める。きっと今夜は不審な行動はしないほうがいい。
望月は『一度目』と同じく、作戦室にある一人掛けのソファへ腰を下ろしていた。アマネは思わず駆け寄ろうとしてしまったが、同じく作戦室に集まっていた伊織達の視線を受けて堪える。アマネを見て力なく微笑む望月に、SEESの敵愾心を育てないようにあえてゆっくりと歩み寄った。
「体調はどうですか」
「知ってるくせに」
「知っていても聞いてしまうものです」
座っている望月の前にしゃがんでその手を取れば、暖かくも冷たくもない温もりがアマネの体温をやんわりを奪っていく。それが悲しいかどうかは分からなかった。
「これで、全員集まったな」
遅れてやってきた桐条の言葉に、アマネは真田に促されて彼の隣へと座る。多分真田が隣なのはアマネの見張りも兼ねているのだろう。アマネの足下へコロマルがやってきて座った。
「早速だが、訊きたい事が山ほどある」
そうして始まった尋問に、望月はそれが自分の役割だと割り切っているように答えていく。アマネにとっては二回目の説明であったが、辛い真実であることに変わりはなかった。
『一度目』の時は、それでもアマネは楽観視していた。他の世界は救えたのだからと、自分は特別だったのだからと。
けれども母なる存在である『ニュクス』は、アマネよりも“特別”な存在だった。
「死なない命は無いように……時の流れを変えることは出来ても止めてしまえないように、ニュクスを消すなんて事は……決して“出来なかった”」
顔を上げると望月と目が合う。アマネと望月だけが知っている事実。『ニュクスを“消す事は出来なかった”』
「……アマネ君は知ってるけど、僕は、シャドウが集まって出来た存在だ」
望月はアマネから視線を逸らさずに続ける。
彼がこの世界では『有里 奏』の中へ、アイギスによって十年前のムーンライトブリッジで封印されて、それによって彼女の手でならニュクスの『宣告者』である望月を殺せること。望月を殺すことによって望みの無い現実全てを忘れられるということ。
「もし僕を殺さなければ……僕を殺さなければ、全てが今のままか、もっと辛い未来が待っているだけの……」
そこで望月は一度言葉を切った。俯いて両手を握りしめて、顔を上げる。
「でも僕は、君たちをそんな目に逢わせたくない」