ペルソナP3P
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一晩は目覚めないだろうからというのと、明日も学校があること。更に言うなら試験が近いこともあってアマネは眠っている望月を置いてアパートへと帰された。そのまま逃げるという考えは無かったのだろうかと思ったが、あり得ない可能性について考えるのは意味がない。それによく考えれば、天田がアマネの携帯電話の番号を知っている。
アパートへ帰って日が昇るまでの時間で睡眠を摂り、あまり眠った気になれないまま学校へ行って授業を受ける。隠していたつもりだったが、佐藤と伏見からは大丈夫かと心配されてしまった。
大丈夫かと訊かれたら、大丈夫だと答える。もっと辛い者は他に居るのだ。
授業を終えてそれぞれ部活や生徒会へ行くのだという佐藤や伏見と別れ、一度アパートへ戻ってから分寮へ向かおうと駅へ向かう為に校門を抜けたところで、後ろから呼ぶ声がした。立ち止まって振り返ったところで鞄を肩に掛けた錦がアマネの肩を叩く。
「今帰りか?」
「……錦先輩もですか。生徒会は」
「用事があってな。途中まで一緒に帰るぞ」
「なんでですか」
「オレの愚痴を聞け」
「恭弥がすみません」
アマネに聞かせる愚痴ならその当たりだろうと先制をとって謝罪する。だが錦は変な顔をしてアマネを見やり、それからつまらなそうに手を離した。
「嫌なことでもあったのか」
並んで駅へ向かって歩き出す。
「……嫌なことは、これからあるんです」
「だろうな。これから地獄に行くような顔してるぜ」
どんな顔だ、と返す元気はなかった。地獄には行かないが、嫌な話を“もう一度”聞きに行かなければならない。
だって全部を知っているのだ。今夜望月が有里達へ話すことも、それから起こる結果もこれからの数ヶ月に何が起こるのかも。
きっと彼女達は『彼達』と同じ選択をするのだろう事も、何となく分かっていた。
ここでアマネが諦めて、話を聞きに行かず何も知らない振りをしてしまったところで彼女達はそれなりの結末を迎える。それがアマネの知っている未来か知らない未来かは分からないが、アマネが諦めたら預かり知らぬところで、それは必ず訪れるのだ。
それを良しとは出来ない。もう二度と失いたくないという身勝手であっても、アマネは知っている以上諦めて無視だなんて出来る筈が無かった。
「……恭弥は」
「あん?」
「あいつは、俺みたいな奴のこと、なんで忘れなかったんでしょうね」
定期を取り出していた錦は少し考えるように空を見上げ、面倒臭そうに答えた。
「お前馬鹿だろ」
電車が来る。
アパートへ帰って日が昇るまでの時間で睡眠を摂り、あまり眠った気になれないまま学校へ行って授業を受ける。隠していたつもりだったが、佐藤と伏見からは大丈夫かと心配されてしまった。
大丈夫かと訊かれたら、大丈夫だと答える。もっと辛い者は他に居るのだ。
授業を終えてそれぞれ部活や生徒会へ行くのだという佐藤や伏見と別れ、一度アパートへ戻ってから分寮へ向かおうと駅へ向かう為に校門を抜けたところで、後ろから呼ぶ声がした。立ち止まって振り返ったところで鞄を肩に掛けた錦がアマネの肩を叩く。
「今帰りか?」
「……錦先輩もですか。生徒会は」
「用事があってな。途中まで一緒に帰るぞ」
「なんでですか」
「オレの愚痴を聞け」
「恭弥がすみません」
アマネに聞かせる愚痴ならその当たりだろうと先制をとって謝罪する。だが錦は変な顔をしてアマネを見やり、それからつまらなそうに手を離した。
「嫌なことでもあったのか」
並んで駅へ向かって歩き出す。
「……嫌なことは、これからあるんです」
「だろうな。これから地獄に行くような顔してるぜ」
どんな顔だ、と返す元気はなかった。地獄には行かないが、嫌な話を“もう一度”聞きに行かなければならない。
だって全部を知っているのだ。今夜望月が有里達へ話すことも、それから起こる結果もこれからの数ヶ月に何が起こるのかも。
きっと彼女達は『彼達』と同じ選択をするのだろう事も、何となく分かっていた。
ここでアマネが諦めて、話を聞きに行かず何も知らない振りをしてしまったところで彼女達はそれなりの結末を迎える。それがアマネの知っている未来か知らない未来かは分からないが、アマネが諦めたら預かり知らぬところで、それは必ず訪れるのだ。
それを良しとは出来ない。もう二度と失いたくないという身勝手であっても、アマネは知っている以上諦めて無視だなんて出来る筈が無かった。
「……恭弥は」
「あん?」
「あいつは、俺みたいな奴のこと、なんで忘れなかったんでしょうね」
定期を取り出していた錦は少し考えるように空を見上げ、面倒臭そうに答えた。
「お前馬鹿だろ」
電車が来る。