ペルソナP3P
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タルタロスの扉を開ければ、チドリを抱きしめている伊織の姿が見えた。その傍に立っている真田達はタルタロスの中から出てきたアマネに驚いたようだが、今はそれに構っている場合ではない。
「伊織先輩っ! チドリさん!」
タカヤとジンはアマネと入れ違いにタルタロスの中へ戻ったのだろう。アマネがここへ来るのに手間取ったのは一階へ戻る装置がなかなか見つからなかったことと、“刈り取る者”と三連戦を繰り広げたからだ。
だがそれが言い訳にしかならないことは分かりきっているので、伊織が抱き締めているチドリへと駆け寄る。本当に死んでしまっているのかを確かめる為に手を伸ばしたところで、その手を叩き払われた。
叩き払った相手である伊織は、殺気さえ篭った目でアマネを睨んでいる。
「触んな……」
誰にも渡さないとばかりに周囲へ敵意を向けてくる伊織に、アマネは黙って距離を取った。
守れなかった、なんて傲慢な反省をするつもりは無い。けれども未来が確定していない以上、アマネが経験した『一週目』でのことを言うのも憚られた。
言えば伊織は安心するかもしれないが、もしそうならなかった場合の落ち込みようは比較にならないだろう。そして彼女が生き返る根拠も無い。
どうして彼女が生き返ったのかアマネは知らないのだ。彼女が生前、生気を分け与えていた花を傍に置いていたというのは知っているが、それは推測の一つで確実ではない。
叩かれた手を握り締める。いっその事言えてしまえば楽なのだろうけれど。
影時間が終わり、山岸が今日はもう帰ろうととりなす。桐条がチドリを運ぶ為だろう車を手配している間、帰ることも出来ずにいたアマネへと真田が近づいてきた。
「タルタロスで何をしていたんだ」
聞かれて、伊織に抱き締められたままのチドリを眺めながら答える。
「チドリさんを、探していました。タカヤとジンには会ったんですけれど逃げられて」
「そうか……。知っていたのか?」
漠然とした問いに肩が震えた。だがすぐに『チドリが死ぬだろうこと』ではなく『ストレガがタルタロスにいること』にだと気付いて平然を保つ。
「……あいつ等の目的も、タルタロスの頂上へ到ることですから」
「頂上……?」
訝しむ真田にアマネはあえて答えずに頭を下げ、この場から逃げるように歩き出した。もう少ししたら真田達だって真実を知って、タルタロスの頂上を目指すかもしれなくなる。
もし真田達が『目指さない』運命を選んだとしても、アマネだけは頂上を目指すつもりだ。
学校の敷地内へ入ってくる車と入れ違いに校門を出る。
チドリを助けられなかった、なんて傲慢な反省の仕方をするつもりも無いけれど。
「伊織先輩っ! チドリさん!」
タカヤとジンはアマネと入れ違いにタルタロスの中へ戻ったのだろう。アマネがここへ来るのに手間取ったのは一階へ戻る装置がなかなか見つからなかったことと、“刈り取る者”と三連戦を繰り広げたからだ。
だがそれが言い訳にしかならないことは分かりきっているので、伊織が抱き締めているチドリへと駆け寄る。本当に死んでしまっているのかを確かめる為に手を伸ばしたところで、その手を叩き払われた。
叩き払った相手である伊織は、殺気さえ篭った目でアマネを睨んでいる。
「触んな……」
誰にも渡さないとばかりに周囲へ敵意を向けてくる伊織に、アマネは黙って距離を取った。
守れなかった、なんて傲慢な反省をするつもりは無い。けれども未来が確定していない以上、アマネが経験した『一週目』でのことを言うのも憚られた。
言えば伊織は安心するかもしれないが、もしそうならなかった場合の落ち込みようは比較にならないだろう。そして彼女が生き返る根拠も無い。
どうして彼女が生き返ったのかアマネは知らないのだ。彼女が生前、生気を分け与えていた花を傍に置いていたというのは知っているが、それは推測の一つで確実ではない。
叩かれた手を握り締める。いっその事言えてしまえば楽なのだろうけれど。
影時間が終わり、山岸が今日はもう帰ろうととりなす。桐条がチドリを運ぶ為だろう車を手配している間、帰ることも出来ずにいたアマネへと真田が近づいてきた。
「タルタロスで何をしていたんだ」
聞かれて、伊織に抱き締められたままのチドリを眺めながら答える。
「チドリさんを、探していました。タカヤとジンには会ったんですけれど逃げられて」
「そうか……。知っていたのか?」
漠然とした問いに肩が震えた。だがすぐに『チドリが死ぬだろうこと』ではなく『ストレガがタルタロスにいること』にだと気付いて平然を保つ。
「……あいつ等の目的も、タルタロスの頂上へ到ることですから」
「頂上……?」
訝しむ真田にアマネはあえて答えずに頭を下げ、この場から逃げるように歩き出した。もう少ししたら真田達だって真実を知って、タルタロスの頂上を目指すかもしれなくなる。
もし真田達が『目指さない』運命を選んだとしても、アマネだけは頂上を目指すつもりだ。
学校の敷地内へ入ってくる車と入れ違いに校門を出る。
チドリを助けられなかった、なんて傲慢な反省の仕方をするつもりも無いけれど。