ペルソナP3P
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夕食で作った肉じゃがを、天田が携帯で写真を撮っていた。そんな写真を残すようなものでは無いだろうと思うのだが、美味しそうに食べているので良しとする。出来合いやコンビニ弁当で肉じゃがはあまり無い。
帰ってから一人で食べるのもアレなので、コロマルにもドックフードを食べさせアマネも天田と一緒に食べる。子供一人で食べるというのも寂しい話だ。とはいえアマネは殆ど毎日一人で食べている訳だが。
天田に手伝ってもらって夕食後の片付けを終わらせ、ついでに風呂でコロマルの事も洗ってやった。嫌がることなく洗わせてくれたコロマルは、別段アマネを警戒もしていない。
消灯時間が迫ってきて、天田も風呂へ入り後は寝るだけとなった時間になって、アマネはそろそろ帰るかとラウンジのソファから腰を上げた。特に話もせずにコロマルを抱いて座っていた天田が顔を上げる。
「アマネさん?」
「俺帰るから、ちゃんと戸締りして寝なさい」
「え、帰っちゃうんですか」
「明日の朝には来るぜぇ? 朝食つくりに」
だから早く帰りたいのだが、天田はアマネが帰ってしまうこと自体が不服らしい。座っている天田の目の前に移動してしゃがみ、視線を合わせる。
「一人が寂しい?」
「別に、寂しいわけじゃありません! ただ、こんな遅くなってから帰るなんて知らなかっただけで」
「流石に俺は寮生じゃねぇから勝手には泊まれねぇよ。遅せぇのだって、影時間に走り回ってる事を考えりゃ早いほうだなぁ」
むしろ日付の変わる時間に現れる影時間にまで小学生を起きたままにさせているのが、仕方ないとは言えどうかと思うのだが。だがもう少ししたら、どんな結末を迎えたとしても『影時間』だけは無くなるのだなと思い出して、アマネは誤魔化すように笑った。
世界が滅んでも滅ばず『彼女』が封印になってしまっても、“そうならなくても”影時間だけは無くなる。代わりにテレビの中などはあるが。
アマネがそんな事を考えているとは知らない天田は、仕方無さそうにアマネから顔を逸らした。
「……明日の朝、甘い卵焼きが食べたいです」
「うん。おやすみ」
「……おやすみなさい」
コロマルと天田の頭を撫でつつ立ち上がって寮を出る。後ろの扉の向こうでコロマルに一緒に寝ようと言っている天田の声が聞こえて、アマネはアパートへ帰る為に歩き出しながら携帯を取り出した。
何かあった時の為に、と教えてもらっていた真田のアドレスを表示させ、メールを送る。電話にしなかったのは京都のほうでももう寝ていると思ったからだ。
早朝に返ってきたメールで起こされて、中途半端な時間だったこともあってそのまま起きることにする。制服に着替えて通学用の鞄と、予想して造っておいた荷物を持ってアパートを出て、巌戸台分寮へ向かう。
昨日言ったのに戸締りを忘れてしまったらしい天田に仕方ないなと思いつつ、寮の玄関を入ってラウンジのソファへ荷物を置かせてもらった。まだ天田を起こすには早いので、真っ直ぐキッチンへ向かい持参したエプロンを着けて朝食の支度を始める。
ついでに自分の分の弁当を作るが、天田は給食なので弁当は作らなくていい。実質朝と夜の分だけでいいのは楽だった。
弁当を作り終えたところで天田とコロマルが階段を降りてくる。匂いで気づいたのかキッチンへ入ってくるのに振り返った。
「おはよう」
「お、はようございます! もう来てたんですか!?」
「天田君昨日言ったのに戸締り忘れただろぉ」
「あ、ごめんなさい」
既に制服を着ている天田をテーブル席へ座らせ、作った朝食を並べていく。約束通りの卵焼きに目を輝かせるところはやはりまだまだ子供だ。
コロマルへも味付けを薄くした卵焼きを与え、一緒に朝食を食べる。そうして食べている途中でラウンジのソファへ置いたままだった荷物を振り返った。
「昨日、真田先輩に聞いたら良いって言われたから、今日と明日はここに泊まるからなぁ」
「え!?」
驚く天田はけれども少し嬉しそうで、やはりこうしてよかったと卵焼きをつまみながら思う。いくらシャドウと戦える気概があっても彼はまだ小学生だ。
自分が小学生の頃はどうだっただろうかと思い出して、全く参考にならないと結論を出しつつ天田を見ないように続ける。
「嫌だって言われてももう決まったことだから我慢してくれぇ」
「イヤだなんてそんな」
「昨日思ったんだけど帰るの面倒なんだよ。地味に遠いだろぉ? アパート」
「……それじゃ仕方ないですね」
仕方ない理由があるから仕方なく受け入れるのだというポーズをとらせて、アマネはご飯を飲み込んだ。これで天田が寂しいからアマネが泊まるのではなく、アマネのワガママで泊まるのだという大義名分になる。
学校から“帰って”きたら、真田の部屋の毛布をラウンジへ引っ張り出してこなくてはならない。『昔』と違いアマネが寮に住んでいる訳では無いので、予備のリネンが手入れされているとは到底思えない以上、誰かから借りるしかないのだ。
最悪天田と寝るか、アパートから布団を持ってくるかだが、後者は絶対に面倒臭い。
学校へ行く支度を終えた天田と一緒に寮を出る。コロマルは神社へ行くらしかった。
普段より生徒の数が少ないモノレールへ一緒に乗り、駅でそれぞれの校舎へと行く為に別れる。
「今日も校門で待ってるから、校門にいなかったら駅で待っててくれるかぁ?」
「はい。……アマネさん」
「ん?」
「行ってらっしゃい」
「……行ってらっしゃい天田」
帰ってから一人で食べるのもアレなので、コロマルにもドックフードを食べさせアマネも天田と一緒に食べる。子供一人で食べるというのも寂しい話だ。とはいえアマネは殆ど毎日一人で食べている訳だが。
天田に手伝ってもらって夕食後の片付けを終わらせ、ついでに風呂でコロマルの事も洗ってやった。嫌がることなく洗わせてくれたコロマルは、別段アマネを警戒もしていない。
消灯時間が迫ってきて、天田も風呂へ入り後は寝るだけとなった時間になって、アマネはそろそろ帰るかとラウンジのソファから腰を上げた。特に話もせずにコロマルを抱いて座っていた天田が顔を上げる。
「アマネさん?」
「俺帰るから、ちゃんと戸締りして寝なさい」
「え、帰っちゃうんですか」
「明日の朝には来るぜぇ? 朝食つくりに」
だから早く帰りたいのだが、天田はアマネが帰ってしまうこと自体が不服らしい。座っている天田の目の前に移動してしゃがみ、視線を合わせる。
「一人が寂しい?」
「別に、寂しいわけじゃありません! ただ、こんな遅くなってから帰るなんて知らなかっただけで」
「流石に俺は寮生じゃねぇから勝手には泊まれねぇよ。遅せぇのだって、影時間に走り回ってる事を考えりゃ早いほうだなぁ」
むしろ日付の変わる時間に現れる影時間にまで小学生を起きたままにさせているのが、仕方ないとは言えどうかと思うのだが。だがもう少ししたら、どんな結末を迎えたとしても『影時間』だけは無くなるのだなと思い出して、アマネは誤魔化すように笑った。
世界が滅んでも滅ばず『彼女』が封印になってしまっても、“そうならなくても”影時間だけは無くなる。代わりにテレビの中などはあるが。
アマネがそんな事を考えているとは知らない天田は、仕方無さそうにアマネから顔を逸らした。
「……明日の朝、甘い卵焼きが食べたいです」
「うん。おやすみ」
「……おやすみなさい」
コロマルと天田の頭を撫でつつ立ち上がって寮を出る。後ろの扉の向こうでコロマルに一緒に寝ようと言っている天田の声が聞こえて、アマネはアパートへ帰る為に歩き出しながら携帯を取り出した。
何かあった時の為に、と教えてもらっていた真田のアドレスを表示させ、メールを送る。電話にしなかったのは京都のほうでももう寝ていると思ったからだ。
早朝に返ってきたメールで起こされて、中途半端な時間だったこともあってそのまま起きることにする。制服に着替えて通学用の鞄と、予想して造っておいた荷物を持ってアパートを出て、巌戸台分寮へ向かう。
昨日言ったのに戸締りを忘れてしまったらしい天田に仕方ないなと思いつつ、寮の玄関を入ってラウンジのソファへ荷物を置かせてもらった。まだ天田を起こすには早いので、真っ直ぐキッチンへ向かい持参したエプロンを着けて朝食の支度を始める。
ついでに自分の分の弁当を作るが、天田は給食なので弁当は作らなくていい。実質朝と夜の分だけでいいのは楽だった。
弁当を作り終えたところで天田とコロマルが階段を降りてくる。匂いで気づいたのかキッチンへ入ってくるのに振り返った。
「おはよう」
「お、はようございます! もう来てたんですか!?」
「天田君昨日言ったのに戸締り忘れただろぉ」
「あ、ごめんなさい」
既に制服を着ている天田をテーブル席へ座らせ、作った朝食を並べていく。約束通りの卵焼きに目を輝かせるところはやはりまだまだ子供だ。
コロマルへも味付けを薄くした卵焼きを与え、一緒に朝食を食べる。そうして食べている途中でラウンジのソファへ置いたままだった荷物を振り返った。
「昨日、真田先輩に聞いたら良いって言われたから、今日と明日はここに泊まるからなぁ」
「え!?」
驚く天田はけれども少し嬉しそうで、やはりこうしてよかったと卵焼きをつまみながら思う。いくらシャドウと戦える気概があっても彼はまだ小学生だ。
自分が小学生の頃はどうだっただろうかと思い出して、全く参考にならないと結論を出しつつ天田を見ないように続ける。
「嫌だって言われてももう決まったことだから我慢してくれぇ」
「イヤだなんてそんな」
「昨日思ったんだけど帰るの面倒なんだよ。地味に遠いだろぉ? アパート」
「……それじゃ仕方ないですね」
仕方ない理由があるから仕方なく受け入れるのだというポーズをとらせて、アマネはご飯を飲み込んだ。これで天田が寂しいからアマネが泊まるのではなく、アマネのワガママで泊まるのだという大義名分になる。
学校から“帰って”きたら、真田の部屋の毛布をラウンジへ引っ張り出してこなくてはならない。『昔』と違いアマネが寮に住んでいる訳では無いので、予備のリネンが手入れされているとは到底思えない以上、誰かから借りるしかないのだ。
最悪天田と寝るか、アパートから布団を持ってくるかだが、後者は絶対に面倒臭い。
学校へ行く支度を終えた天田と一緒に寮を出る。コロマルは神社へ行くらしかった。
普段より生徒の数が少ないモノレールへ一緒に乗り、駅でそれぞれの校舎へと行く為に別れる。
「今日も校門で待ってるから、校門にいなかったら駅で待っててくれるかぁ?」
「はい。……アマネさん」
「ん?」
「行ってらっしゃい」
「……行ってらっしゃい天田」