ペルソナP3P
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試験最終日。試験の打ち上げだと騒ぐ佐藤達とゲーセンへ寄ってアパートへ帰ると、部屋の中へ微妙に違和感が残っていた。眉を潜めて玄関先で部屋の中を見回し、違和感の原因を探る。
動き出したか、という思いと、こういう時は誰が電気代を払うのだろうかという考えを脳裏へ浮かべつつ、靴を脱いで部屋へ上がった。そうして椅子を台代わりにして電灯の笠へ隠されていた小型カメラを回収する。
ベッドの下やコンセントの裏など、思いつく場所を手当たり次第確認していけば予想以上に盗聴器や小型カメラが出てきた。男子高校生の生活を盗聴というのはなんというか、マニアックだと思わなくも無い。
当然仕掛けた相手はそういう意味で行なった訳では無いだろう。しかしだからといって無視できる話でも無い。
「不法侵入で訴えたら勝てるかもなぁ。これだけ手がかりを残してんだし、証拠は出る」
現在進行形で聴いているか、そうでなくとも録音しているだろう盗聴器の向こうの相手へ、独り言の体を保ちながら話しかける。
「次で最後だから焦ってるんだろぉなぁ。皇子って年でもねぇだろうになぁ」
わざと『全て知っている』と匂わせながら嘲笑するように続けた。これを聴いた『相手』が幾月で無くとも『何のことだ』と思えばそれはそれでいいのだが。
まぁそう上手くはいかないだろう。相手はアマネと違って、人手も権力も他人のものだとはいえ持っているのだ。その立場を利用して誤魔化してしまえば、この十年間周りを欺き続けてきたように隠せてしまう。
だったら同じ土俵へ引き摺り下ろすまでだと、アマネはテーブルの上の盗聴器へ笑みを向けた。
「言っておくが俺は邪魔をする。テメェから阻止したい事が俺にはあるんだよ。『幾月』サン」
拳を振り落として盗聴器たちを壊す。壊れたものの破片が刺さって地味に痛かった。
幾月がこの言葉を聞いて、アマネの身辺を洗い直すとする。探しても当然何も出てこないのだが、一つくらいは何かを見つけなければと躍起になって時間が少しでも長く掛かってくれると嬉しい。
あと半月もすれば次の大型シャドウが、最後のシャドウが現れる。ストレガは放置していた幾月だがここまでアマネに挑発させられて、動かないという選択はしないだろう。
そして同時に、アマネを『秘密を知っているだけの高校生』と思っているのなら、まだ充分動ける。
ノートを既にアパートから出しておいて良かった。他の貴重品も移動させた方が良い。
「……とりあえず通帳かなぁ」
学校では何も無い。桐条からの接触も無ければ当然他のSEESメンバーからの接触も無く、表向きは平穏な生活が続いている。
だが裏を返せばアパートを一歩出た途端アマネからすればお粗末な監視が付いてくるし、学校から帰るとアパートには監視カメラと盗聴器が性懲りも無くつけられているのだ。
アパートと学校間や生活用品の買物へは大人しく監視をさせているが、監視カメラと盗聴器は律儀に破壊させてもらっている。桐条財閥の物なのでそうそう安くないだろうに、殆ど毎日アマネに破壊されても取り付ける根性はある意味賞賛ものだ。アマネなど面倒になって探さなくてもいいかと思い始めているというのに。
そんな敵の姿が曖昧な戦いを続けて十数日。監視カメラと盗聴器の破壊をした後夕食の用意をしていると、マナーモードにしておいた携帯がメールの着信を告げた。
火を止めて来たメールを確認すればそれはアマネが求めていたメールだ。
しかし内容はアマネの期待を少しだけ外れている。解決方法は分かっているのだが、その為の手段を行なう時間があるかどうかが微妙なところだ。
ましてや今のアマネは監視されている。
「……間に合えばいいんだけど」
アドレス帳へ登録されていないそのメールの送り主へ返事を返す。流石にメールまでは見張られていないと思いたいが、見張られていたとしても多分幾月は関連性を掴めない。
カレンダーで日付を確認すれば、あと五日もすれば次の満月が来る。
賭けに出るべきか、否か。
「まぁ決まってるよなぁ」
夕食作りを中断し財布と携帯だけを持ってアパートを出る。物陰でアマネのアパートを監視していた者が、慌てて尾行してくるのに気付かない振りをしながらポロニアンモールへ向かった。
まだ閉まっていなかった青ひげファーマシーで目的の物と、カモフラージュ用にテーピングや包帯なども買い足しする。それからアパートへ帰って買ってきた物を取り出した。
監視カメラを取り付ける時間は流石になかったらしい。なので誰にも見られる心配は無いだろう。流石にアマネも“自分の血を自分で採血する”場面などあまり見られたくは無い。
試験管の中へ採血した血液を収め、血止めをして再びアパートを出る。本当は良くないのだろうが今回は見逃してもらう事にして、血の入った試験管を他の品物だという事にして速達で配達してもらう。
次の満月まであと五日。次の『試練』まであと六日。血が足りないと言われたら本気で困る。
動き出したか、という思いと、こういう時は誰が電気代を払うのだろうかという考えを脳裏へ浮かべつつ、靴を脱いで部屋へ上がった。そうして椅子を台代わりにして電灯の笠へ隠されていた小型カメラを回収する。
ベッドの下やコンセントの裏など、思いつく場所を手当たり次第確認していけば予想以上に盗聴器や小型カメラが出てきた。男子高校生の生活を盗聴というのはなんというか、マニアックだと思わなくも無い。
当然仕掛けた相手はそういう意味で行なった訳では無いだろう。しかしだからといって無視できる話でも無い。
「不法侵入で訴えたら勝てるかもなぁ。これだけ手がかりを残してんだし、証拠は出る」
現在進行形で聴いているか、そうでなくとも録音しているだろう盗聴器の向こうの相手へ、独り言の体を保ちながら話しかける。
「次で最後だから焦ってるんだろぉなぁ。皇子って年でもねぇだろうになぁ」
わざと『全て知っている』と匂わせながら嘲笑するように続けた。これを聴いた『相手』が幾月で無くとも『何のことだ』と思えばそれはそれでいいのだが。
まぁそう上手くはいかないだろう。相手はアマネと違って、人手も権力も他人のものだとはいえ持っているのだ。その立場を利用して誤魔化してしまえば、この十年間周りを欺き続けてきたように隠せてしまう。
だったら同じ土俵へ引き摺り下ろすまでだと、アマネはテーブルの上の盗聴器へ笑みを向けた。
「言っておくが俺は邪魔をする。テメェから阻止したい事が俺にはあるんだよ。『幾月』サン」
拳を振り落として盗聴器たちを壊す。壊れたものの破片が刺さって地味に痛かった。
幾月がこの言葉を聞いて、アマネの身辺を洗い直すとする。探しても当然何も出てこないのだが、一つくらいは何かを見つけなければと躍起になって時間が少しでも長く掛かってくれると嬉しい。
あと半月もすれば次の大型シャドウが、最後のシャドウが現れる。ストレガは放置していた幾月だがここまでアマネに挑発させられて、動かないという選択はしないだろう。
そして同時に、アマネを『秘密を知っているだけの高校生』と思っているのなら、まだ充分動ける。
ノートを既にアパートから出しておいて良かった。他の貴重品も移動させた方が良い。
「……とりあえず通帳かなぁ」
学校では何も無い。桐条からの接触も無ければ当然他のSEESメンバーからの接触も無く、表向きは平穏な生活が続いている。
だが裏を返せばアパートを一歩出た途端アマネからすればお粗末な監視が付いてくるし、学校から帰るとアパートには監視カメラと盗聴器が性懲りも無くつけられているのだ。
アパートと学校間や生活用品の買物へは大人しく監視をさせているが、監視カメラと盗聴器は律儀に破壊させてもらっている。桐条財閥の物なのでそうそう安くないだろうに、殆ど毎日アマネに破壊されても取り付ける根性はある意味賞賛ものだ。アマネなど面倒になって探さなくてもいいかと思い始めているというのに。
そんな敵の姿が曖昧な戦いを続けて十数日。監視カメラと盗聴器の破壊をした後夕食の用意をしていると、マナーモードにしておいた携帯がメールの着信を告げた。
火を止めて来たメールを確認すればそれはアマネが求めていたメールだ。
しかし内容はアマネの期待を少しだけ外れている。解決方法は分かっているのだが、その為の手段を行なう時間があるかどうかが微妙なところだ。
ましてや今のアマネは監視されている。
「……間に合えばいいんだけど」
アドレス帳へ登録されていないそのメールの送り主へ返事を返す。流石にメールまでは見張られていないと思いたいが、見張られていたとしても多分幾月は関連性を掴めない。
カレンダーで日付を確認すれば、あと五日もすれば次の満月が来る。
賭けに出るべきか、否か。
「まぁ決まってるよなぁ」
夕食作りを中断し財布と携帯だけを持ってアパートを出る。物陰でアマネのアパートを監視していた者が、慌てて尾行してくるのに気付かない振りをしながらポロニアンモールへ向かった。
まだ閉まっていなかった青ひげファーマシーで目的の物と、カモフラージュ用にテーピングや包帯なども買い足しする。それからアパートへ帰って買ってきた物を取り出した。
監視カメラを取り付ける時間は流石になかったらしい。なので誰にも見られる心配は無いだろう。流石にアマネも“自分の血を自分で採血する”場面などあまり見られたくは無い。
試験管の中へ採血した血液を収め、血止めをして再びアパートを出る。本当は良くないのだろうが今回は見逃してもらう事にして、血の入った試験管を他の品物だという事にして速達で配達してもらう。
次の満月まであと五日。次の『試練』まであと六日。血が足りないと言われたら本気で困る。