ペルソナP3P
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不良に喧嘩を売られたので天田を置いて言い値の倍の値段で買ってやって戻ってくると、天田が袖口で涙を拭っているところだった。戻ってきたアマネを見て、それでも僅かに笑みを浮かべる彼に覚悟が出来たのかと悟る。
「寮へ帰るなら送ってくぜぇ。小学生を一人で帰らせちゃ責任問題がありそうで怖ぇ」
「……はい」
天田はアマネよりも強い。何せ年下だというのにアマネよりも先に踏ん切りを付け覚悟が出来てしまうのだから。
アマネが寮を知っていることについて天田は何も聞いてこない。そう親しい訳でも無いので並んで歩いていても特に会話は無かった。
まだまともに味方かどうかを判明させていないので、それも当然といえば当然である。状況を考えれば荒垣を撃ったことでタカヤから反旗を翻した、詳細不明のペルソナ使いか。だがまだ一応影時間に適性を持っているだけだと思われている可能性も。
「……無ぇなぁ」
「? 何がですか?」
無意識に声に出していたらしく天田が不思議そうに見上げてくる。
「君達は俺のことをどう考えてんのかと思ってなぁ」
「ストレガ、じゃないですよね。殴ってたし」
「まぁタカヤとジンは見つけ次第タコ殴りしてぇとは思ってるぜぇ」
それは本音だ。命は奪わないにしたって仕返しとして数発は殴りたい。ジンが邪魔をしなければアマネはタカヤが荒垣を撃つ前にあの場へ向かえただろうし、タカヤを止めることだって出来た筈だった。
今後こういう失敗をしない為にも、もっと周到に動かなければならないのだろう。これからは。
巌戸台分寮のエントランスが見えてきたところで足を止める。同じ様に足を止めた天田を見下ろした。
「俺の事は出来れば言わねぇでくれるかぁ。特に桐条先輩や真田先輩は、言ったら俺の事を探すだろうから」
「どうしてですか? 一緒に――」
「俺には俺の目的がある。だからまだ無理なんだぁ」
「『まだ』?」
「荒垣さんのことは出来れば教えて欲しかったけど、だからって俺の存在を知らしめるのはよくねぇ」
少なくとも幾月に、アマネの居場所がばれて捕まるような事は非常に避けたい。大型シャドウがあと一体であることを考えると、そんなアマネのような小さい不穏要素などは無視する可能性もある。ストレガの存在を知っても何も手を講じていないところからそれが窺えるが、だからといって余分な情報を与える必要は無い。
アマネを見上げている天田の肩へ手を置いて身体を反転させ、寮へ向けて押し出す。アマネはまだあの寮の玄関をくぐる事が出来ない。
「寮へ帰るなら送ってくぜぇ。小学生を一人で帰らせちゃ責任問題がありそうで怖ぇ」
「……はい」
天田はアマネよりも強い。何せ年下だというのにアマネよりも先に踏ん切りを付け覚悟が出来てしまうのだから。
アマネが寮を知っていることについて天田は何も聞いてこない。そう親しい訳でも無いので並んで歩いていても特に会話は無かった。
まだまともに味方かどうかを判明させていないので、それも当然といえば当然である。状況を考えれば荒垣を撃ったことでタカヤから反旗を翻した、詳細不明のペルソナ使いか。だがまだ一応影時間に適性を持っているだけだと思われている可能性も。
「……無ぇなぁ」
「? 何がですか?」
無意識に声に出していたらしく天田が不思議そうに見上げてくる。
「君達は俺のことをどう考えてんのかと思ってなぁ」
「ストレガ、じゃないですよね。殴ってたし」
「まぁタカヤとジンは見つけ次第タコ殴りしてぇとは思ってるぜぇ」
それは本音だ。命は奪わないにしたって仕返しとして数発は殴りたい。ジンが邪魔をしなければアマネはタカヤが荒垣を撃つ前にあの場へ向かえただろうし、タカヤを止めることだって出来た筈だった。
今後こういう失敗をしない為にも、もっと周到に動かなければならないのだろう。これからは。
巌戸台分寮のエントランスが見えてきたところで足を止める。同じ様に足を止めた天田を見下ろした。
「俺の事は出来れば言わねぇでくれるかぁ。特に桐条先輩や真田先輩は、言ったら俺の事を探すだろうから」
「どうしてですか? 一緒に――」
「俺には俺の目的がある。だからまだ無理なんだぁ」
「『まだ』?」
「荒垣さんのことは出来れば教えて欲しかったけど、だからって俺の存在を知らしめるのはよくねぇ」
少なくとも幾月に、アマネの居場所がばれて捕まるような事は非常に避けたい。大型シャドウがあと一体であることを考えると、そんなアマネのような小さい不穏要素などは無視する可能性もある。ストレガの存在を知っても何も手を講じていないところからそれが窺えるが、だからといって余分な情報を与える必要は無い。
アマネを見上げている天田の肩へ手を置いて身体を反転させ、寮へ向けて押し出す。アマネはまだあの寮の玄関をくぐる事が出来ない。