ペルソナP3P
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台風の過ぎ去った直後の休日。佐藤に誘われて“今度こそ”映画を観に行くと偶然だろうが荒垣も居た。声を掛けておくかと思ったが、どうやら一緒に『彼女』が居るようだったので止めておく。
それにしても病み上がりだというのに映画を観に行くとは行動的な人である。だがあの人も結構そういうところがあったなと思い直した。
「チケット買えたぜ! この『朝を迎えにいこう』がどーしても……あれ」
「どうしたぁ?」
「あのニット帽の人、よく不良の溜まり場に居た人だよな?」
不良の溜まり場にアマネもよく居る訳だがそれは佐藤へ言ったことは無い。なのでここは溜まり場に普段居るかどうかなど知らないと答えるべきか。しかし佐藤は気にした様子も無くチケットと一緒に貰ったらしいチラシを丸めながら、開場した館内へ入っていく荒垣達を眺めていた。
「知り合い?」
「うんにゃ。前に一度助けてもらった事があるだけ」
映画の前にポップコーンを買うのだと売店を目指す佐藤の後を追いながら、『前』の事を思い出す。確か講堂で行なわれた荒垣の葬式でもそんな事を言っていた。佐藤は荒垣とはそのたった一度の出会いしかなかったが、それでも悲しいと泣いていたのだ。
『一度目』のことを知らないとはいえ、佐藤へも二度とあんな涙を流させたくない。それに今のところ唯一の味方である荒垣がいなくなってしまったら、アマネだってまた落ち込むかもしれないのだ。今回は『兄さん』が居ない分、もっと酷くなる可能性だってある。更に一ヵ月後には次の『試練』があって、そううかうかと落ち込んでいる猶予が無いと分かっていても。
分かっているだけに失敗は許されないと強く思う。
今のところストレガの二人の居場所は分かっていない。『前』に突き止めた場所は、痕跡はあったものの二度目に行くと場所を変えられたようだった。惜しい事をしたと思う。
ジンが作った復讐代行サイトは定期的にチェックしているが動きは無い。恐らくそろそろ本格的にSEESへちょっかいを出す気になっているのだろう。
思えば復讐代行サイトからニュクス教の教主というのは飛躍的な成長だ。悪い方向へ。
「台風で文化祭潰れたのは残念だったけどさ、映画は観れてマジ良かった。これ今日までのヤツだったからさ」
「台風でも観に来れば良かっただろぉ」
「でもそれだと斑鳩とか来てくんねーじゃん。オレだってたまには誰かと一緒に観たいの!」
「ハイハイ」
多分コレが次の満月までの最後の娯楽だろう。
佐藤が薦めてきた映画は、タイトル詐欺もいいところだった。
それにしても病み上がりだというのに映画を観に行くとは行動的な人である。だがあの人も結構そういうところがあったなと思い直した。
「チケット買えたぜ! この『朝を迎えにいこう』がどーしても……あれ」
「どうしたぁ?」
「あのニット帽の人、よく不良の溜まり場に居た人だよな?」
不良の溜まり場にアマネもよく居る訳だがそれは佐藤へ言ったことは無い。なのでここは溜まり場に普段居るかどうかなど知らないと答えるべきか。しかし佐藤は気にした様子も無くチケットと一緒に貰ったらしいチラシを丸めながら、開場した館内へ入っていく荒垣達を眺めていた。
「知り合い?」
「うんにゃ。前に一度助けてもらった事があるだけ」
映画の前にポップコーンを買うのだと売店を目指す佐藤の後を追いながら、『前』の事を思い出す。確か講堂で行なわれた荒垣の葬式でもそんな事を言っていた。佐藤は荒垣とはそのたった一度の出会いしかなかったが、それでも悲しいと泣いていたのだ。
『一度目』のことを知らないとはいえ、佐藤へも二度とあんな涙を流させたくない。それに今のところ唯一の味方である荒垣がいなくなってしまったら、アマネだってまた落ち込むかもしれないのだ。今回は『兄さん』が居ない分、もっと酷くなる可能性だってある。更に一ヵ月後には次の『試練』があって、そううかうかと落ち込んでいる猶予が無いと分かっていても。
分かっているだけに失敗は許されないと強く思う。
今のところストレガの二人の居場所は分かっていない。『前』に突き止めた場所は、痕跡はあったものの二度目に行くと場所を変えられたようだった。惜しい事をしたと思う。
ジンが作った復讐代行サイトは定期的にチェックしているが動きは無い。恐らくそろそろ本格的にSEESへちょっかいを出す気になっているのだろう。
思えば復讐代行サイトからニュクス教の教主というのは飛躍的な成長だ。悪い方向へ。
「台風で文化祭潰れたのは残念だったけどさ、映画は観れてマジ良かった。これ今日までのヤツだったからさ」
「台風でも観に来れば良かっただろぉ」
「でもそれだと斑鳩とか来てくんねーじゃん。オレだってたまには誰かと一緒に観たいの!」
「ハイハイ」
多分コレが次の満月までの最後の娯楽だろう。
佐藤が薦めてきた映画は、タイトル詐欺もいいところだった。