ペルソナP3P
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九月の満月の夜。深夜零時を迎える前に荒垣から電話が来た。
『大型シャドウは何処に居んだ』
「それは山岸先輩が見つけてくれます」
巌戸台分寮の屋上が見えるビルの上。双眼鏡を覗きながら耳へ押し当てた携帯から聞こえる声に、アマネはそっけなく返す。
ここでアマネが荒垣へ教えてしまい、荒垣からSEESのメンバーへ伝えたとなると山岸が成長する事がなくなる。それは同時に彼女が抱えている『自分は足手まといなのでは』という思いを助長させるだけだ。アマネの目的は『彼女達を死なせない』事だが、そういう成長を促す事だって必要だとは思っている。
そんな事より。
「最近ストレガの三人に会いましたか?」
『あ? ああ会ってねえな。発作もお前が鎮めてたから薬を補充する必要がねえ』
「……向こうからの接触は?」
『それも無い』
つまりストレガは荒垣に然程重要性を置いていないのか。普通であれば定期的な薬の補充で会いに来る事が無くなれば、発作をどうしているのかと考えるように思う。荒垣が巌戸台分寮へ入る前は、そうしてストレガが荒垣へ接触しないかを確かめたくて一緒に居たという部分もあるのだ。
ソレが無いという事は、ストレガは荒垣が発作をどうしているのか興味が無い事になる。もしくは既に『アマネが鎮めている』事を知っているのか。
後者であったなら荒垣が寮へ入った後も路地裏を徘徊しているアマネへ接触してきてもおかしくない。わざと痕跡は残すようにしている。
しかし、それとも別に構わないのかと考え直した。彼らは自分の命へ執着していない。死は彼らにとって救いで、発作は救いへ近付く為の過程なのか。
どうにもよく分からないなと思った。
「とりあえず大型シャドウ退治、頑張ってください。俺は巌戸台分寮の屋上を見張ってますから」
『屋上? なんかあるのか?』
「伊織先輩、居ねぇでしょう」
『……怪我したりはしねえんだな?』
「最悪それは阻止します。大丈夫です」
『……分かった。信じるからな』
そんな荒垣の言葉に嬉しくて口角が上がってしまう。電話で間接的に話しているので本当に良かった。
双眼鏡の先で『彼女』達が寮を出て行く。向かう先はモロニアンモールの筈だ。最後に寮を出た荒垣が何かを探すように周囲を見回して歩き出す。自分のことを探しでもしたのだろうかとちょっと笑えた。
影時間を迎える深夜零時。荒垣に『負傷は阻止する』と言ってしまった手前、万が一の事があったら直ぐに行ける様に場所を変えることにした。
『大型シャドウは何処に居んだ』
「それは山岸先輩が見つけてくれます」
巌戸台分寮の屋上が見えるビルの上。双眼鏡を覗きながら耳へ押し当てた携帯から聞こえる声に、アマネはそっけなく返す。
ここでアマネが荒垣へ教えてしまい、荒垣からSEESのメンバーへ伝えたとなると山岸が成長する事がなくなる。それは同時に彼女が抱えている『自分は足手まといなのでは』という思いを助長させるだけだ。アマネの目的は『彼女達を死なせない』事だが、そういう成長を促す事だって必要だとは思っている。
そんな事より。
「最近ストレガの三人に会いましたか?」
『あ? ああ会ってねえな。発作もお前が鎮めてたから薬を補充する必要がねえ』
「……向こうからの接触は?」
『それも無い』
つまりストレガは荒垣に然程重要性を置いていないのか。普通であれば定期的な薬の補充で会いに来る事が無くなれば、発作をどうしているのかと考えるように思う。荒垣が巌戸台分寮へ入る前は、そうしてストレガが荒垣へ接触しないかを確かめたくて一緒に居たという部分もあるのだ。
ソレが無いという事は、ストレガは荒垣が発作をどうしているのか興味が無い事になる。もしくは既に『アマネが鎮めている』事を知っているのか。
後者であったなら荒垣が寮へ入った後も路地裏を徘徊しているアマネへ接触してきてもおかしくない。わざと痕跡は残すようにしている。
しかし、それとも別に構わないのかと考え直した。彼らは自分の命へ執着していない。死は彼らにとって救いで、発作は救いへ近付く為の過程なのか。
どうにもよく分からないなと思った。
「とりあえず大型シャドウ退治、頑張ってください。俺は巌戸台分寮の屋上を見張ってますから」
『屋上? なんかあるのか?』
「伊織先輩、居ねぇでしょう」
『……怪我したりはしねえんだな?』
「最悪それは阻止します。大丈夫です」
『……分かった。信じるからな』
そんな荒垣の言葉に嬉しくて口角が上がってしまう。電話で間接的に話しているので本当に良かった。
双眼鏡の先で『彼女』達が寮を出て行く。向かう先はモロニアンモールの筈だ。最後に寮を出た荒垣が何かを探すように周囲を見回して歩き出す。自分のことを探しでもしたのだろうかとちょっと笑えた。
影時間を迎える深夜零時。荒垣に『負傷は阻止する』と言ってしまった手前、万が一の事があったら直ぐに行ける様に場所を変えることにした。