ペルソナP3P
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荒垣視点
新しくSEESのメンバーに加わった荒垣は、月光館学園から変貌したタルタロスの中を歩き回りながら、リーダーを務めている『彼女』を観察する。
アマネが『助けよう』としている人物だが、その理由までは荒垣は詳しく知らない。薙刀を抱えて、戦闘型ヒューマノイドのアイギスと話している姿は普通の女子高生だというのに。
しかしよく考えれば、ここへいる全員が本来は普通の高校生である筈だった。
犬や小学生も居るが、普通というものから排除されてしまったメンバー達のことを考えて、哀れむ前に『アマネ』の事を思い出す。彼こそ一番普通から排除されてしまった者だ。
アマネの言う事全てを鵜呑みにするつもりは無いが、巌戸台分寮へ戻ってから聞いた今までの話は多少の誤差はあれどアマネの書いたノート通りだった。ということはアマネが言わなかった未来では、荒垣が天田へ罪滅ぼしをしようとしている事も、知っているのだろう。
知っていて言わなかった。何故か。
その未来を変えたかったからだろうか。
「大丈夫でありますか?」
こけた伊織へアイギスが声を掛けている。体勢を直した伊織がそれに大丈夫だと返し、それから意外そうに笑った。
「アイちゃんでもそーいうの分かんだ?」
「そーいうの、とは?」
「そりゃ痛いだろうとか、そーいうことだよ」
「ああ、本日学校で教わったであります。人は自分が痛かった現象が他人にも起こった場合、自分が痛かったのだからその人も痛いのではと考えるのでしょう?」
「え、まあ、うん。そーだな!」
戸惑う伊織が適当に答えている。しかしアイギスの説明は分かりやすかった。分かりやすすぎて、高校で教わる事ではないなというのが察せられる。
大体にしてその説明は、『アイギスが人の感情の機敏を理解出来ない』という前提だ。そして学校の奴等はアイギスがロボットだとは知らないだろう。
知っているとすれば、それはアマネだ。
「マジメに学校行ってんだな」
「誰の話ですか?」
呟けば予想外に返事が返ってきた。振り返ればリーダーである有里が荒垣を不思議そうに見上げている。
「知り合いの話だ」
「もしかして路地裏で一緒に居た人ですか? あの人、不思議ですよね」
「……お前より年下だぞ、あいつ」
山岸の事で有里達が来た時にそう言えば傍に居たアマネは、有里達へ『荒垣の知人』だと認識されているらしい。それは実際正しいが、その有里達にとっては『他人』が、自分達の為に動いていると知ったら何と言うのだろうか。
「今度紹介してくれます? お礼も言いたいし」
「……そのうちだな」
そのうち、嫌でも関わる事になるだろう。
新しくSEESのメンバーに加わった荒垣は、月光館学園から変貌したタルタロスの中を歩き回りながら、リーダーを務めている『彼女』を観察する。
アマネが『助けよう』としている人物だが、その理由までは荒垣は詳しく知らない。薙刀を抱えて、戦闘型ヒューマノイドのアイギスと話している姿は普通の女子高生だというのに。
しかしよく考えれば、ここへいる全員が本来は普通の高校生である筈だった。
犬や小学生も居るが、普通というものから排除されてしまったメンバー達のことを考えて、哀れむ前に『アマネ』の事を思い出す。彼こそ一番普通から排除されてしまった者だ。
アマネの言う事全てを鵜呑みにするつもりは無いが、巌戸台分寮へ戻ってから聞いた今までの話は多少の誤差はあれどアマネの書いたノート通りだった。ということはアマネが言わなかった未来では、荒垣が天田へ罪滅ぼしをしようとしている事も、知っているのだろう。
知っていて言わなかった。何故か。
その未来を変えたかったからだろうか。
「大丈夫でありますか?」
こけた伊織へアイギスが声を掛けている。体勢を直した伊織がそれに大丈夫だと返し、それから意外そうに笑った。
「アイちゃんでもそーいうの分かんだ?」
「そーいうの、とは?」
「そりゃ痛いだろうとか、そーいうことだよ」
「ああ、本日学校で教わったであります。人は自分が痛かった現象が他人にも起こった場合、自分が痛かったのだからその人も痛いのではと考えるのでしょう?」
「え、まあ、うん。そーだな!」
戸惑う伊織が適当に答えている。しかしアイギスの説明は分かりやすかった。分かりやすすぎて、高校で教わる事ではないなというのが察せられる。
大体にしてその説明は、『アイギスが人の感情の機敏を理解出来ない』という前提だ。そして学校の奴等はアイギスがロボットだとは知らないだろう。
知っているとすれば、それはアマネだ。
「マジメに学校行ってんだな」
「誰の話ですか?」
呟けば予想外に返事が返ってきた。振り返ればリーダーである有里が荒垣を不思議そうに見上げている。
「知り合いの話だ」
「もしかして路地裏で一緒に居た人ですか? あの人、不思議ですよね」
「……お前より年下だぞ、あいつ」
山岸の事で有里達が来た時にそう言えば傍に居たアマネは、有里達へ『荒垣の知人』だと認識されているらしい。それは実際正しいが、その有里達にとっては『他人』が、自分達の為に動いていると知ったら何と言うのだろうか。
「今度紹介してくれます? お礼も言いたいし」
「……そのうちだな」
そのうち、嫌でも関わる事になるだろう。