ペルソナP3P
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九月がやってきて、二学期が始まった。
二年のクラスへアイギスという転入生が来て、学校から帰ると荒垣がアパートで待っていた。その姿を見て『ああ、加わるのか』とこの時が来てしまったことを悟る。
もう暫く前から書き足されていないノート。書かなかった未来。
「……お前は、知ってたんだろ」
静かに聞いてくる荒垣に、アマネはそっと微笑む。
「はい」
「アキの奴に天田がSEESへ入った事を聞いた」
「巌戸台分寮へ戻るんですね?」
それは質問では無く確認だ。
「お前はどうする?」
「どうする、とは?」
「今ならオレと一緒に寮へ入れるかも知れない。そうすりゃお前はSEESの奴等を見守ることが簡単になるんじゃねえのか」
気を使ってそう言ってくれているのだとは分かったが、アマネはその好意は辞退した。
今ここで寮へ、SEESへ加わるのは早い。まだ幾月がいるしストレガだってこれから本格的に干渉してくるのだ。ストレガはともかく幾月へアマネの存在がばれるのは遠慮したかった。
寮へ入ってしまえば幾月へ見張られるも同然だし、行動が制限される可能性だってある。少なくともアマネも影時間への適性があることはばれてしまうだろう。それがばれたらまた面倒だという自覚はあった。
今のアマネの立ち位置は、アマネ以外にとってみれば酷く危うい。
「でも荒垣さんの『知り合い』として、時々寮へ行くことは許してもらえますか」
「その程度なら別に他の奴等も友達呼ぶだろうし、平気だろ」
「ありがとうございます」
荒垣の手で差し出されたノートを受け取り、意味も無く開いて自分が書いた文面へと眼を滑らせる。今の時間の全てがここへ書かれている通りにはいかなかったし、これからはもっとさせるつもりが無い。
この先誤差はどんどん増えていくだろう。アマネにとっての『いい方向』へ改変していくのだ。
ノートを閉じて荒垣を見上げる。
「とりあえず言っておきますが、アイギスさんは少量の水以外は殆ど摂取出来ません。あと思考が短絡的なので、話が通じないと思ったら一から順をおって説明していくと理解が早いです。伊織先輩は偏食気味ですが、それは食べたことが無ぇからであっておいしいと分かれば食べるようになります。あと……」
「そういうのはオレに言う必要ねえだろうが」
「どうせ食事作るでしょう? まぁ下手に前知識があると疑われるかも知れませんけど」
それでもせめて、山岸の料理の腕についてはしっかりと言っておいた方がいい気がした。
二年のクラスへアイギスという転入生が来て、学校から帰ると荒垣がアパートで待っていた。その姿を見て『ああ、加わるのか』とこの時が来てしまったことを悟る。
もう暫く前から書き足されていないノート。書かなかった未来。
「……お前は、知ってたんだろ」
静かに聞いてくる荒垣に、アマネはそっと微笑む。
「はい」
「アキの奴に天田がSEESへ入った事を聞いた」
「巌戸台分寮へ戻るんですね?」
それは質問では無く確認だ。
「お前はどうする?」
「どうする、とは?」
「今ならオレと一緒に寮へ入れるかも知れない。そうすりゃお前はSEESの奴等を見守ることが簡単になるんじゃねえのか」
気を使ってそう言ってくれているのだとは分かったが、アマネはその好意は辞退した。
今ここで寮へ、SEESへ加わるのは早い。まだ幾月がいるしストレガだってこれから本格的に干渉してくるのだ。ストレガはともかく幾月へアマネの存在がばれるのは遠慮したかった。
寮へ入ってしまえば幾月へ見張られるも同然だし、行動が制限される可能性だってある。少なくともアマネも影時間への適性があることはばれてしまうだろう。それがばれたらまた面倒だという自覚はあった。
今のアマネの立ち位置は、アマネ以外にとってみれば酷く危うい。
「でも荒垣さんの『知り合い』として、時々寮へ行くことは許してもらえますか」
「その程度なら別に他の奴等も友達呼ぶだろうし、平気だろ」
「ありがとうございます」
荒垣の手で差し出されたノートを受け取り、意味も無く開いて自分が書いた文面へと眼を滑らせる。今の時間の全てがここへ書かれている通りにはいかなかったし、これからはもっとさせるつもりが無い。
この先誤差はどんどん増えていくだろう。アマネにとっての『いい方向』へ改変していくのだ。
ノートを閉じて荒垣を見上げる。
「とりあえず言っておきますが、アイギスさんは少量の水以外は殆ど摂取出来ません。あと思考が短絡的なので、話が通じないと思ったら一から順をおって説明していくと理解が早いです。伊織先輩は偏食気味ですが、それは食べたことが無ぇからであっておいしいと分かれば食べるようになります。あと……」
「そういうのはオレに言う必要ねえだろうが」
「どうせ食事作るでしょう? まぁ下手に前知識があると疑われるかも知れませんけど」
それでもせめて、山岸の料理の腕についてはしっかりと言っておいた方がいい気がした。