ペルソナP3P
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夏休みにはコロマルがシャドウへ襲われるが、真田が近くに居るので助けには行けないだろう。後はストレガとの初邂逅で元陸軍施設へ閉じ込められるのだったか。天田はその後まで気にしなくて良い筈だ。
身近に居る訳ではないので、声を掛けて気に掛けてやることなどはアマネには出来ない。けれども気に掛けてやったところで彼の決意は決して覆りはしないだろうし、荒垣もそれを受け入れる。
人の心情については考えても仕方ないなと考えるのを止めた。
とりあえず目下の行動予定は、地下施設へ閉じ込められるSEESの面々を助けるかどうかでいいだろう。
あの時、影時間が終わった後に桐条が外部へ連絡したので無事に出る事は出来た。アマネが蹴ったせいで多少歪んでしまった覚えはあるが、『今回』アマネは中へ閉じ込められない。
それなら、ストレガが去った後に扉を開けてやればいいのだろう。となるとタイミングを誤ればストレガとかち合う可能性があるとして。
「そろそろ本格的に武器の入手やタルタロス探索について考えねぇとなぁ……」
ついに直面した問題にアマネは首を傾げる。今まではスーパーやホームセンターで買える鉈や包丁を持ち歩いていた。
影時間はともかく平常時間に職務質問されたら一発アウトな綱渡りだが、その警察が来ない様な路地裏やビルの上を渡っていたので助かっていた具合だ。
そう荒垣に言ったら、呆気にとられた顔をしてから怒られた。
「おまっ、馬鹿かっ!」
「馬鹿とは心外です。俺には桐条財閥みてぇな後ろ盾もなけりゃ全部自腹だし、武器を手に入れる伝手もねぇんですよ」
とはいえ並盛町にいた了平が自分の事を覚えていたことから考えるに、雲雀やボンゴレを探し出せばナイフの一本ぐらい簡単に手に入りそうな気もする。今は『一月三十一日』の為に集中したいのでそちらへ意識を向けることはしないが。
「行くぞ」
裏路地の汚い階段から舌打ちを零しつつ立ち上がった荒垣は、アマネへそう声を掛けると面倒そうに歩き出した。急いで立ち上がってその後を追いかける。
行き先には何となく予想がついていたが、それはアマネが不安に思っている手だ。案の定荒垣が向かった先はポロニアンモールにある交番だった。
もうすぐ影時間になるほどの深夜に徘徊している若者が、自分から交番へ入っていくというのも変な話である。だが荒垣は気にした様子もなく引き戸を開けた。
「黒沢さんいるか」
「お前か」
警帽を被った目付きの鋭い男が、何かの書類から顔を上げる。
「またSEESに戻るのか? それとも補導されにきたのか?」
「どっちでもない。頼みがあって来たんだよ」
「うぉっ」
荒垣に腕を掴んで前へ押し出される。たたらを踏んで黒沢巡査の眼前へと立たされて、アマネは仕方なく一礼した。
「彼は?」
「今度から、コイツにも武器を売ってやってくれ。アキ達にはコイツの事を絶対話さずに」
「……真次郎」
「アンタの言いたいことは分かる。だがコイツにも事情があんだ。武器がないと危険なんだよ」
「そう言うのは桐条の令嬢に言ったらどうだ。喜んで仲間にしてくれるだろうよ」
「仲間にはなれねぇんです」
口を挟めば荒垣と黒沢の視線がアマネへと向けられる。この人は影時間の存在だけは知っているが、その目的などは殆ど知らない筈だ。『あの人』が死んだ後も影時間のことは覚えていたらしいが、元々アマネは彼と親しくも無かったのであまり知らない。
ただ、一年後に桐条が創った『シャドウワーカー』の手伝いはしていたらしいから、信用は出来るのだろう。アマネは八十稲羽に行ってしまったので、その『シャドウワーカー』という存在すら後になって聞かされた立場だったけれども。
「仲間にはなれねぇんです。少なくとも俺の目的の為には、まだ仲間に誘われるどころか『味方』だと気付かれるのも危ねぇでしょう」
「……どういう意味だ?」
「敵はシャドウだけではありません」
黒沢の視線が鋭くなる。彼にどころか誰にもまだ『幾月修司』の事は言えない。辛うじて荒垣には言えるだろうが、言ったところで彼の計画が既に始まっている以上意味は無いし、下手に言って行動されても最悪荒垣が疑われてしまう結末になる。
それでは駄目なのだ。荒垣は『仲間』のまま、出来れば死なずに。
とすれば荒垣にアマネが『未来人』だと知られた時点でどうかとも思ってしまったが、そこは既に修正出来ないので諦めた。計画なんておおまかな予定だけ立てておいて細やかな修正はその時が来てからでいいのだ。
アマネがそれ以上何も言うつもりが無い事を察してか、黒沢が息を吐いた。
「……人殺しには使うなよ」
「ありがとうございます」
彼の言葉に内心ドキリとしたものの、アマネはそれを表へ出さずにお礼を言う。これでシャドウと戦う為の武器の心配は無くなったと思いたい。
さっそく一本だけナイフを譲り受け、交番を荒垣と後にする。服の下へ隠したナイフはアマネの信頼出来る物程ではないが安心できた。
「荒垣さん、ありがとうございました」
「黒沢さんは、大丈夫なんだろ」
「そうですね」
二年後には本庁で刑事になることは黙っておく。
身近に居る訳ではないので、声を掛けて気に掛けてやることなどはアマネには出来ない。けれども気に掛けてやったところで彼の決意は決して覆りはしないだろうし、荒垣もそれを受け入れる。
人の心情については考えても仕方ないなと考えるのを止めた。
とりあえず目下の行動予定は、地下施設へ閉じ込められるSEESの面々を助けるかどうかでいいだろう。
あの時、影時間が終わった後に桐条が外部へ連絡したので無事に出る事は出来た。アマネが蹴ったせいで多少歪んでしまった覚えはあるが、『今回』アマネは中へ閉じ込められない。
それなら、ストレガが去った後に扉を開けてやればいいのだろう。となるとタイミングを誤ればストレガとかち合う可能性があるとして。
「そろそろ本格的に武器の入手やタルタロス探索について考えねぇとなぁ……」
ついに直面した問題にアマネは首を傾げる。今まではスーパーやホームセンターで買える鉈や包丁を持ち歩いていた。
影時間はともかく平常時間に職務質問されたら一発アウトな綱渡りだが、その警察が来ない様な路地裏やビルの上を渡っていたので助かっていた具合だ。
そう荒垣に言ったら、呆気にとられた顔をしてから怒られた。
「おまっ、馬鹿かっ!」
「馬鹿とは心外です。俺には桐条財閥みてぇな後ろ盾もなけりゃ全部自腹だし、武器を手に入れる伝手もねぇんですよ」
とはいえ並盛町にいた了平が自分の事を覚えていたことから考えるに、雲雀やボンゴレを探し出せばナイフの一本ぐらい簡単に手に入りそうな気もする。今は『一月三十一日』の為に集中したいのでそちらへ意識を向けることはしないが。
「行くぞ」
裏路地の汚い階段から舌打ちを零しつつ立ち上がった荒垣は、アマネへそう声を掛けると面倒そうに歩き出した。急いで立ち上がってその後を追いかける。
行き先には何となく予想がついていたが、それはアマネが不安に思っている手だ。案の定荒垣が向かった先はポロニアンモールにある交番だった。
もうすぐ影時間になるほどの深夜に徘徊している若者が、自分から交番へ入っていくというのも変な話である。だが荒垣は気にした様子もなく引き戸を開けた。
「黒沢さんいるか」
「お前か」
警帽を被った目付きの鋭い男が、何かの書類から顔を上げる。
「またSEESに戻るのか? それとも補導されにきたのか?」
「どっちでもない。頼みがあって来たんだよ」
「うぉっ」
荒垣に腕を掴んで前へ押し出される。たたらを踏んで黒沢巡査の眼前へと立たされて、アマネは仕方なく一礼した。
「彼は?」
「今度から、コイツにも武器を売ってやってくれ。アキ達にはコイツの事を絶対話さずに」
「……真次郎」
「アンタの言いたいことは分かる。だがコイツにも事情があんだ。武器がないと危険なんだよ」
「そう言うのは桐条の令嬢に言ったらどうだ。喜んで仲間にしてくれるだろうよ」
「仲間にはなれねぇんです」
口を挟めば荒垣と黒沢の視線がアマネへと向けられる。この人は影時間の存在だけは知っているが、その目的などは殆ど知らない筈だ。『あの人』が死んだ後も影時間のことは覚えていたらしいが、元々アマネは彼と親しくも無かったのであまり知らない。
ただ、一年後に桐条が創った『シャドウワーカー』の手伝いはしていたらしいから、信用は出来るのだろう。アマネは八十稲羽に行ってしまったので、その『シャドウワーカー』という存在すら後になって聞かされた立場だったけれども。
「仲間にはなれねぇんです。少なくとも俺の目的の為には、まだ仲間に誘われるどころか『味方』だと気付かれるのも危ねぇでしょう」
「……どういう意味だ?」
「敵はシャドウだけではありません」
黒沢の視線が鋭くなる。彼にどころか誰にもまだ『幾月修司』の事は言えない。辛うじて荒垣には言えるだろうが、言ったところで彼の計画が既に始まっている以上意味は無いし、下手に言って行動されても最悪荒垣が疑われてしまう結末になる。
それでは駄目なのだ。荒垣は『仲間』のまま、出来れば死なずに。
とすれば荒垣にアマネが『未来人』だと知られた時点でどうかとも思ってしまったが、そこは既に修正出来ないので諦めた。計画なんておおまかな予定だけ立てておいて細やかな修正はその時が来てからでいいのだ。
アマネがそれ以上何も言うつもりが無い事を察してか、黒沢が息を吐いた。
「……人殺しには使うなよ」
「ありがとうございます」
彼の言葉に内心ドキリとしたものの、アマネはそれを表へ出さずにお礼を言う。これでシャドウと戦う為の武器の心配は無くなったと思いたい。
さっそく一本だけナイフを譲り受け、交番を荒垣と後にする。服の下へ隠したナイフはアマネの信頼出来る物程ではないが安心できた。
「荒垣さん、ありがとうございました」
「黒沢さんは、大丈夫なんだろ」
「そうですね」
二年後には本庁で刑事になることは黙っておく。