ペルソナP3P
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荒垣がまた発作を起こし、カストールを宥めてアパートへ運んで、寝かせたところで裏路地へ戻る理由も無かったのでそのままパソコンだけ点けて調べ事を始めた。途中で影時間になってパソコンどころか全ての電気機器の活動が止まり、死ぬ気の炎を明かりにして印刷した調査結果を読んでいたところで寝てしまったらしい。
身体が揺れる感覚に目を覚ませば荒垣にベッドへ運ばれたところで、薄暗い部屋の中で荒垣がパソコンを消そうかどうしようか迷っているのを見て声を掛けた。彼は機械音痴なところがあるので下手に弄られては堪ったものではない。桐条サーバへハッキング中なので尚更だ。
十年前の事件や桐条で行なわれていた研究、更にはSEESを現在進行形で騙している幾月修司が関わっているものを探っている。人工ペルソナ使いの実験へも関わっていたの『前』にも知ったことだが、それ以外にも後ろ暗いことをやっているのではと思い調べていた。
出てくる非道な人体実験や研究の内容に、苦笑しか浮かばなかったのは影時間の前の話である。『前』の父親を失った桐条先輩も、当主になってからそれらを知ったのかもしれないと思うと、少し悔しかったが。
「こんな事ばっかしてて、学校は平気なのか」
「休学中の人が何を。……少し睡眠不足気味ですが、大丈夫です」
「アホか。寝ろ」
「試験が終わったら……そうですね、旅行へ行こうと思ってます」
「旅行?」
パソコン画面の明かりを背負って荒垣がアマネを見る。
「電車で、八十稲羽市というところへ。観光スポットなんて何も無ぇ場所だけど……荒垣さんも一緒に行きますか?」
「そこには何があるんだ」
「何もありません。今はまだ」
二年後のあの場所でなら、多分今よりも何かがあった。大型百貨店のジュネスが出来上がった後という事もあるが、それ以外にも『テレビの中』や『殺人事件』があるといえばある。
けれども二年も前の今では、行ってみたところで何があるのかも『何がいる』のかも分からなかった。探したところでアマネを『飛ばした』何かはまだ目覚めていなかったり、最悪『飛ばした』事さえこの世界では無かった事になっていたりしたら、甚だしい無駄足になるかもしれない。
「でも、一度確認しておきたいので」
荒垣は暗闇の中でアマネを見つめ、それから顔を逸らして頭を掻いた。
「テメェは……」
「なんですか」
「……いや、何でもねえ。そのヤソ何とかってトコは、温泉ぐらいあんだろうな?」
「老舗旅館はあります」
身体が揺れる感覚に目を覚ませば荒垣にベッドへ運ばれたところで、薄暗い部屋の中で荒垣がパソコンを消そうかどうしようか迷っているのを見て声を掛けた。彼は機械音痴なところがあるので下手に弄られては堪ったものではない。桐条サーバへハッキング中なので尚更だ。
十年前の事件や桐条で行なわれていた研究、更にはSEESを現在進行形で騙している幾月修司が関わっているものを探っている。人工ペルソナ使いの実験へも関わっていたの『前』にも知ったことだが、それ以外にも後ろ暗いことをやっているのではと思い調べていた。
出てくる非道な人体実験や研究の内容に、苦笑しか浮かばなかったのは影時間の前の話である。『前』の父親を失った桐条先輩も、当主になってからそれらを知ったのかもしれないと思うと、少し悔しかったが。
「こんな事ばっかしてて、学校は平気なのか」
「休学中の人が何を。……少し睡眠不足気味ですが、大丈夫です」
「アホか。寝ろ」
「試験が終わったら……そうですね、旅行へ行こうと思ってます」
「旅行?」
パソコン画面の明かりを背負って荒垣がアマネを見る。
「電車で、八十稲羽市というところへ。観光スポットなんて何も無ぇ場所だけど……荒垣さんも一緒に行きますか?」
「そこには何があるんだ」
「何もありません。今はまだ」
二年後のあの場所でなら、多分今よりも何かがあった。大型百貨店のジュネスが出来上がった後という事もあるが、それ以外にも『テレビの中』や『殺人事件』があるといえばある。
けれども二年も前の今では、行ってみたところで何があるのかも『何がいる』のかも分からなかった。探したところでアマネを『飛ばした』何かはまだ目覚めていなかったり、最悪『飛ばした』事さえこの世界では無かった事になっていたりしたら、甚だしい無駄足になるかもしれない。
「でも、一度確認しておきたいので」
荒垣は暗闇の中でアマネを見つめ、それから顔を逸らして頭を掻いた。
「テメェは……」
「なんですか」
「……いや、何でもねえ。そのヤソ何とかってトコは、温泉ぐらいあんだろうな?」
「老舗旅館はあります」