ペルソナP3P
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放課後の職員室へ行って授業で分からなかった所を聞いたり、授業中にわざと提出しなかったノートを出しに行ったりして、職員室へ入る用事を作る日を繰り返して数日。同じクラスの伏見が数学の教材費を教師へ渡しに来た場面へ遭遇できた。
「どうしたの?」
「いえ、伏見さんが居たので」
提出したノートの中を確認していた教師が顔を挙げ、アマネの言葉に伏見と担当教師のほうを見る。生徒会だから云々言っているその教師に相槌を打ちつつ、これで目的の一つは達成したと内心で笑みを浮かべた。
数学教材費横領事件。事件という程のものではないが、一女子生徒の名誉が損なわれかけたという点については、学校という閉鎖空間内でそう簡単に見過ごしてはいけない事だと思う。
そしてアマネはその事件の真実を覚えていた。
覚えているし『前』もアマネは動いていたから、今回も動いたっておかしくは無い。それに犯人の濡れ衣を掛けられた彼女は、最終的にアマネや佐藤とトリオだなんて呼ばれる程度には仲良くなったのだ。
今と『前』が違っていても、アマネにとってそれは手を差し伸べる理由になる。
アマネより先に伏見が職員室を出て行くのを、追いかける様にアマネも職員室を出た。そのまま後ろを付いていくのも違和感があるので、思い切って声を掛ける。
「伏見さん」
「ひゃ、はいっ!?」
大げさに肩を跳ねさせて振り返った伏見に、アマネは今の発言を聞かなかった事にして微笑んだ。
「さっきの、数学の教材費?」
「ぇ……その、えと、……はい」
「ゴメンなぁ。生徒会会計やってるってだけで教材費集めさせちまってぇ」
「い、いえ……」
顔を赤くさせたり青くさせたりする伏見は、男性恐怖症だった。『前』は『あの人』が交流を重ねていったことで克服したが、ここに『あの人』はいない。そのせいで伏見の男性恐怖症が治るかどうかも分からなかった。
アマネは『湊さん』の代わりになりたい訳ではないから、『湊さん』と同じ事は出来ない。だから『湊さん』の様には伏見の問題を解決してやれないだろうし、もっと酷い結末になってしまう可能性だってある。
それでも、動かないよりはマシだ。
「遅いんですけど斑鳩さーん。って、伏見サンも一緒?」
教室へ戻れば古本屋へ寄る約束をしていた佐藤が、何故か飴でお手玉をしながら待っていた。というより佐藤以外のクラスメイトは既に帰っていて居ないのだが。
「職員室であったから一緒に戻ってきたんだぁ」
「ふーん。あ、伏見サンも本屋行かね? 母さんから頼まれた本買いに行くんだけどさ、恋愛小説? みたいで良く分かんないんだよね」
「えっ……」
「嫌? 無理には誘わねーけどさ、男が頼まれたモンでも恋愛小説って買いにくくって」
伏見の反応を見ているのか見ていないのか、佐藤は飴でのお手玉を止めて包装を解いて飴を口に含む。
本気でどっちでもいいとばかりの佐藤に、アマネは隣でおろおろしている伏見へと話しかけた。こんな時だけ、自分が女顔で良かったと思わなくも無い。あからさまに男の顔よりは安心できるだろうから。
「とりあえず校門までは一緒に行こうぜぇ? 一人は……寂しいから」
伏見はじっとアマネのことを見上げてから、ぎこちなく頷いた。
「どうしたの?」
「いえ、伏見さんが居たので」
提出したノートの中を確認していた教師が顔を挙げ、アマネの言葉に伏見と担当教師のほうを見る。生徒会だから云々言っているその教師に相槌を打ちつつ、これで目的の一つは達成したと内心で笑みを浮かべた。
数学教材費横領事件。事件という程のものではないが、一女子生徒の名誉が損なわれかけたという点については、学校という閉鎖空間内でそう簡単に見過ごしてはいけない事だと思う。
そしてアマネはその事件の真実を覚えていた。
覚えているし『前』もアマネは動いていたから、今回も動いたっておかしくは無い。それに犯人の濡れ衣を掛けられた彼女は、最終的にアマネや佐藤とトリオだなんて呼ばれる程度には仲良くなったのだ。
今と『前』が違っていても、アマネにとってそれは手を差し伸べる理由になる。
アマネより先に伏見が職員室を出て行くのを、追いかける様にアマネも職員室を出た。そのまま後ろを付いていくのも違和感があるので、思い切って声を掛ける。
「伏見さん」
「ひゃ、はいっ!?」
大げさに肩を跳ねさせて振り返った伏見に、アマネは今の発言を聞かなかった事にして微笑んだ。
「さっきの、数学の教材費?」
「ぇ……その、えと、……はい」
「ゴメンなぁ。生徒会会計やってるってだけで教材費集めさせちまってぇ」
「い、いえ……」
顔を赤くさせたり青くさせたりする伏見は、男性恐怖症だった。『前』は『あの人』が交流を重ねていったことで克服したが、ここに『あの人』はいない。そのせいで伏見の男性恐怖症が治るかどうかも分からなかった。
アマネは『湊さん』の代わりになりたい訳ではないから、『湊さん』と同じ事は出来ない。だから『湊さん』の様には伏見の問題を解決してやれないだろうし、もっと酷い結末になってしまう可能性だってある。
それでも、動かないよりはマシだ。
「遅いんですけど斑鳩さーん。って、伏見サンも一緒?」
教室へ戻れば古本屋へ寄る約束をしていた佐藤が、何故か飴でお手玉をしながら待っていた。というより佐藤以外のクラスメイトは既に帰っていて居ないのだが。
「職員室であったから一緒に戻ってきたんだぁ」
「ふーん。あ、伏見サンも本屋行かね? 母さんから頼まれた本買いに行くんだけどさ、恋愛小説? みたいで良く分かんないんだよね」
「えっ……」
「嫌? 無理には誘わねーけどさ、男が頼まれたモンでも恋愛小説って買いにくくって」
伏見の反応を見ているのか見ていないのか、佐藤は飴でのお手玉を止めて包装を解いて飴を口に含む。
本気でどっちでもいいとばかりの佐藤に、アマネは隣でおろおろしている伏見へと話しかけた。こんな時だけ、自分が女顔で良かったと思わなくも無い。あからさまに男の顔よりは安心できるだろうから。
「とりあえず校門までは一緒に行こうぜぇ? 一人は……寂しいから」
伏見はじっとアマネのことを見上げてから、ぎこちなく頷いた。