ペルソナP3P
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ゴールデンウィークを過ぎた五月九日。満月の影時間。
走り出したモノレールを遠目に、アマネは風で脱げそうになったパーカーのフードを摘む。
あの中には彼女達にとって二体目の大型シャドウがいて、動き出したモノレールを止める為にも彼女達が頑張っているのだろう。現に彼女達が罠のように開けられていた入り口からモノレールへ乗り込む姿は見ていた。
助けへ行くつもりは無い。アマネが居なくても彼女達はアレを倒せる。念の為に召喚器と武器は持って来ていたが、走るモノレールの窓越しに見える光からして、助けに行く必要は無さそうだ。それに走っているモノレールへ乗れるかと言われたら微妙なところである。
アマネにとっては三年前の今日。アマネは『彼ら』に出会った。
あの日もパーカー姿で始めての影時間を経験し、飲食店で盗んだ包丁で襲い来るシャドウと退治したことは、きっと忘れられない。そういえば初めて『あの人』に助けられたのもペルソナを見たのもこの日が初めてだった。
「そういやあの時のお礼、俺言ったっけかなぁ」
一人ごちてしゃがみ膝を抱える。走っているモノレールはまだ止まらない。
あれから荒垣は『有里 湊』については何も聞いてこなかった。無気力症やノートに書かれていることで気になった部分を聞いてくることはあっても、『彼女』に関する内容は避けているように思われる。
聡い人だからアマネの物言いからあまり触れて欲しくないと気付いたのだろう。その通りだけれどアマネとしては『何だかな』とも思ってしまった。
いっその事、踏み込んで聞いてくれれば踏ん切りがつくかも知れない。けれども訊かれたら困るというのも確かで。
結局自分は中途半端だなと思わざるを得なかった。やはりどうしても荒垣に甘えてしまう。
駅に程近い場所で停止しているモノレールまであと少し。車輪部分にブレーキが掛かり、火花が散っているのが双眼鏡越しに見えた。
こういう時『腕輪』があれば、減速の手伝いが出来なくもないのだが。
「……ま、無いモノねだりは良くねぇかぁ」
視線の先で走っていたモノレールが停止する。前に停まっていたモノレールとの距離は人一人分も無さそうだった。まさに危機一髪。
双眼鏡で確認すれば出入り口をこじ開けて出てきた『彼女』達が、その寸でのところで停止したモノレールを見ていた。この後はもう帰るだけだろうと判断して、アマネも立ち上がって踵を返す。
『今日』はアマネが始めて『彼ら』に出会った日。けれどもアマネは今はまだ、『彼女ら』へ会うつもりは無かった。
走り出したモノレールを遠目に、アマネは風で脱げそうになったパーカーのフードを摘む。
あの中には彼女達にとって二体目の大型シャドウがいて、動き出したモノレールを止める為にも彼女達が頑張っているのだろう。現に彼女達が罠のように開けられていた入り口からモノレールへ乗り込む姿は見ていた。
助けへ行くつもりは無い。アマネが居なくても彼女達はアレを倒せる。念の為に召喚器と武器は持って来ていたが、走るモノレールの窓越しに見える光からして、助けに行く必要は無さそうだ。それに走っているモノレールへ乗れるかと言われたら微妙なところである。
アマネにとっては三年前の今日。アマネは『彼ら』に出会った。
あの日もパーカー姿で始めての影時間を経験し、飲食店で盗んだ包丁で襲い来るシャドウと退治したことは、きっと忘れられない。そういえば初めて『あの人』に助けられたのもペルソナを見たのもこの日が初めてだった。
「そういやあの時のお礼、俺言ったっけかなぁ」
一人ごちてしゃがみ膝を抱える。走っているモノレールはまだ止まらない。
あれから荒垣は『有里 湊』については何も聞いてこなかった。無気力症やノートに書かれていることで気になった部分を聞いてくることはあっても、『彼女』に関する内容は避けているように思われる。
聡い人だからアマネの物言いからあまり触れて欲しくないと気付いたのだろう。その通りだけれどアマネとしては『何だかな』とも思ってしまった。
いっその事、踏み込んで聞いてくれれば踏ん切りがつくかも知れない。けれども訊かれたら困るというのも確かで。
結局自分は中途半端だなと思わざるを得なかった。やはりどうしても荒垣に甘えてしまう。
駅に程近い場所で停止しているモノレールまであと少し。車輪部分にブレーキが掛かり、火花が散っているのが双眼鏡越しに見えた。
こういう時『腕輪』があれば、減速の手伝いが出来なくもないのだが。
「……ま、無いモノねだりは良くねぇかぁ」
視線の先で走っていたモノレールが停止する。前に停まっていたモノレールとの距離は人一人分も無さそうだった。まさに危機一髪。
双眼鏡で確認すれば出入り口をこじ開けて出てきた『彼女』達が、その寸でのところで停止したモノレールを見ていた。この後はもう帰るだけだろうと判断して、アマネも立ち上がって踵を返す。
『今日』はアマネが始めて『彼ら』に出会った日。けれどもアマネは今はまだ、『彼女ら』へ会うつもりは無かった。