ペルソナP3P
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時計の秒針が深夜零時を差す。瞬間ありとあらゆる全ての電気が消え、無人の校舎が変貌していく。
タルタロスの出現だ。
距離を置いている為校門前からソレを見ている伊織達の声は聞こえない。双眼鏡を使わねば見えない程離れてはいるが、メインではなくとも探索が出来る桐条のペルソナ『ペンテシレア』が居る事を考えると、これでも油断は出来なかった。
双眼鏡越しの、薙刀を持って岳羽と話している彼女。『有里』という同じ苗字ではありながら、当然のように『奏』という違う名前の女性。
「……有里、奏。かぁ」
騒ぎつつもタルタロスへと入っていく彼らを確認して双眼鏡を降ろす。今夜はもうこれ以上近付いても監視していても意味が無いだろう。
彼女達がタルタロスの探索をするようになって数日。殆ど毎晩タルタロスを見張りに来ていたが、未だに彼女達が探索するペースは掴めていなかった。
ソレが掴めたらもう少し楽になるだろうかと欠伸を噛み殺し、アマネはビルの屋上の手摺りを乗り越える。すぐ下の階の窓枠へ足を引っ掛け、少しずつ降りていく。
もうすぐ五月になるのだと思うと少しだけ感慨深かった。『一回目』にアマネがあの人達と出会った五月。
その時はまだあんな別れがあるだなんて思いもしなかった。
「問題は武器だよなぁ。影時間に交番へ侵入……バレるかなぁ」
しんみりとしてしまった気分を振り払うように、目下の問題を考える。以前は桐条の下ポロニアンモールの交番にいる黒沢という警官から、シャドウ退治に使う武器を買えていたが、今のアマネは桐条の庇護下に居ない。
一応果物ナイフや包丁を影時間には持ち歩いているが、心許ないと言えば否定出来ない。かといって、通販でコンバットナイフなどを買うのも色々面倒だ。久しぶりに感じる、一人で動き回る事の面倒臭さと不自由さに苦笑する。
家へ帰ると荒垣は当然だが居なかった。明かりの点かない部屋に左手で指を鳴らせば掌へ炎が燃え上がる。
『一度目』と違ってまだ一度もペルソナを召喚したことが無いからか、この死ぬ気の炎も腕輪が無くとも出す事だけは出来た。指先へ灯る程小さなものではなく、掌に浮かぶ人魂程度には。
だが制御するには腕輪が無いので、基本灯り代わりにしか使わない。灯せるだけでもありがたいので、アマネは然程気にしていなかった。
影時間が終わり電光掲示のデジタル時計が何事も無かったかのように時間を示す。炎を消して部屋の明かりを点けて、風呂へ入って寝ることにした。
タルタロスの出現だ。
距離を置いている為校門前からソレを見ている伊織達の声は聞こえない。双眼鏡を使わねば見えない程離れてはいるが、メインではなくとも探索が出来る桐条のペルソナ『ペンテシレア』が居る事を考えると、これでも油断は出来なかった。
双眼鏡越しの、薙刀を持って岳羽と話している彼女。『有里』という同じ苗字ではありながら、当然のように『奏』という違う名前の女性。
「……有里、奏。かぁ」
騒ぎつつもタルタロスへと入っていく彼らを確認して双眼鏡を降ろす。今夜はもうこれ以上近付いても監視していても意味が無いだろう。
彼女達がタルタロスの探索をするようになって数日。殆ど毎晩タルタロスを見張りに来ていたが、未だに彼女達が探索するペースは掴めていなかった。
ソレが掴めたらもう少し楽になるだろうかと欠伸を噛み殺し、アマネはビルの屋上の手摺りを乗り越える。すぐ下の階の窓枠へ足を引っ掛け、少しずつ降りていく。
もうすぐ五月になるのだと思うと少しだけ感慨深かった。『一回目』にアマネがあの人達と出会った五月。
その時はまだあんな別れがあるだなんて思いもしなかった。
「問題は武器だよなぁ。影時間に交番へ侵入……バレるかなぁ」
しんみりとしてしまった気分を振り払うように、目下の問題を考える。以前は桐条の下ポロニアンモールの交番にいる黒沢という警官から、シャドウ退治に使う武器を買えていたが、今のアマネは桐条の庇護下に居ない。
一応果物ナイフや包丁を影時間には持ち歩いているが、心許ないと言えば否定出来ない。かといって、通販でコンバットナイフなどを買うのも色々面倒だ。久しぶりに感じる、一人で動き回る事の面倒臭さと不自由さに苦笑する。
家へ帰ると荒垣は当然だが居なかった。明かりの点かない部屋に左手で指を鳴らせば掌へ炎が燃え上がる。
『一度目』と違ってまだ一度もペルソナを召喚したことが無いからか、この死ぬ気の炎も腕輪が無くとも出す事だけは出来た。指先へ灯る程小さなものではなく、掌に浮かぶ人魂程度には。
だが制御するには腕輪が無いので、基本灯り代わりにしか使わない。灯せるだけでもありがたいので、アマネは然程気にしていなかった。
影時間が終わり電光掲示のデジタル時計が何事も無かったかのように時間を示す。炎を消して部屋の明かりを点けて、風呂へ入って寝ることにした。