ペルソナP3P
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今日はおそらく伊織が影時間に真田へ助けられる日だと思ったのだが、ペルソナの抑制薬の副作用で咳き込んで血を吐いた荒垣に、それを見に行くという予定を変更して家へ連れて帰った。荒垣が寝泊りしている場所を知らなかったからでもあるし、休ませるにしても地べたへ寝かせる訳にもいかない。
少しすれば平気だと何度も嫌がる荒垣に、面倒になっていつだったか彼を憎む少年へ言った言葉をかけた。
「あなたのしたい事は、そうやってずっと『あの場所』を見つめてなけりゃ忘れてしまいそうな事なんですか」
「……お前、何を」
何故知っているんだとばかりに眼を見開く荒垣を引っ張ってアパートの鍵を開け、部屋へと押し込んでベッドへ座らせる。
台所へ向かって影時間なせいで機能していない冷蔵庫から水のボトルを取り出した。それを持って荒垣の元へ戻り、水を差し出す。
「コート脱いで。染み取りしますから」
ついでに室内だから帽子も取れ、とは言わなかった。色々言いたげな荒垣がコートを脱いで差し出してくるのを受け取り、洗面所へとって返す。ある程度血の染みを叩き落してから水を張って浸けておき、そうしてやっと荒垣と話をする為に戻った。
荒垣はペットボトルを手に持ったまま、探るように戻ってきたアマネを見る。何から話せばいいのか分からなかったし、元より彼のペルソナを落ち着かせられたのも、こうしてアパートへ連れて来てしまったのも予想外だった。
今日は伊織の様子を見に行こうと思っていたのだから。
それに全てを話せる訳でもない。
「先に言っておきますが、俺はペルソナ使いですがストレガの連中とは別です」
「……アキたちの差し金か」
「いいえ。あの人達を俺は一方的に知ってはいますが、あの人達は俺を知りません」
一度は絆を築いた人達。しかしそれもアマネが『戻ってしまった』ことでおそらく『なかったこと』になってしまった。正確には『戻ってしまった』のではなく『超えてしまった』のかもしれないが。
この世界には『兄』と呼んだあの人がいないのだから。
「……じゃあお前はなんでオレのことや、ペルソナを知ってやがる?」
「俺にも事情があるんですけれど、一番近けぇ答えは『知った』から、ですかねぇ」
「ふざけんなよ」
「ふざけてません。『知った』から『知っている』。『知っている』から……」
『知っている』からそれを『変えようとしている』ことは言葉に出来なかった。
荒垣は結局殆ど何も説明しないアマネに、舌打ちを溢して視線を逸らす。申し訳ないとは思ったものの、コレばっかりは荒垣へも言えない。
だって良く考えれば滑稽な話じゃないか。タルタロスの原因を作った桐条鴻悦が求めた『時を操る神器』そのものによって、過去へ戻っているようなものなのだから。
少しすれば平気だと何度も嫌がる荒垣に、面倒になっていつだったか彼を憎む少年へ言った言葉をかけた。
「あなたのしたい事は、そうやってずっと『あの場所』を見つめてなけりゃ忘れてしまいそうな事なんですか」
「……お前、何を」
何故知っているんだとばかりに眼を見開く荒垣を引っ張ってアパートの鍵を開け、部屋へと押し込んでベッドへ座らせる。
台所へ向かって影時間なせいで機能していない冷蔵庫から水のボトルを取り出した。それを持って荒垣の元へ戻り、水を差し出す。
「コート脱いで。染み取りしますから」
ついでに室内だから帽子も取れ、とは言わなかった。色々言いたげな荒垣がコートを脱いで差し出してくるのを受け取り、洗面所へとって返す。ある程度血の染みを叩き落してから水を張って浸けておき、そうしてやっと荒垣と話をする為に戻った。
荒垣はペットボトルを手に持ったまま、探るように戻ってきたアマネを見る。何から話せばいいのか分からなかったし、元より彼のペルソナを落ち着かせられたのも、こうしてアパートへ連れて来てしまったのも予想外だった。
今日は伊織の様子を見に行こうと思っていたのだから。
それに全てを話せる訳でもない。
「先に言っておきますが、俺はペルソナ使いですがストレガの連中とは別です」
「……アキたちの差し金か」
「いいえ。あの人達を俺は一方的に知ってはいますが、あの人達は俺を知りません」
一度は絆を築いた人達。しかしそれもアマネが『戻ってしまった』ことでおそらく『なかったこと』になってしまった。正確には『戻ってしまった』のではなく『超えてしまった』のかもしれないが。
この世界には『兄』と呼んだあの人がいないのだから。
「……じゃあお前はなんでオレのことや、ペルソナを知ってやがる?」
「俺にも事情があるんですけれど、一番近けぇ答えは『知った』から、ですかねぇ」
「ふざけんなよ」
「ふざけてません。『知った』から『知っている』。『知っている』から……」
『知っている』からそれを『変えようとしている』ことは言葉に出来なかった。
荒垣は結局殆ど何も説明しないアマネに、舌打ちを溢して視線を逸らす。申し訳ないとは思ったものの、コレばっかりは荒垣へも言えない。
だって良く考えれば滑稽な話じゃないか。タルタロスの原因を作った桐条鴻悦が求めた『時を操る神器』そのものによって、過去へ戻っているようなものなのだから。