ペルソナ4
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「全部、終わったと思います」
『そうか』
「桐条先輩。今度、湊さんの墓参りに行こうと思うんですけど」
『そうか。私も、久しぶりに君に会いたいし、他の皆にも会いたいよ』
「一緒に、行きましょう。みんなで行ったほうが、湊さんも喜ぶ」
電話を切って顔を上げると、白い息を吐き出した月森が道の真ん中で立っていた。
「どうしたぁ?」
「クリスマスパーティー。遅いので菜々子が心配して、迎えに来ました」
「そっか」
ならば早く行こうと思うのに、なんとなく二人とも互いを見たまま動かない。雪が降りそうなどんよりした雲が空を覆っているが、視界は以前のように霧が覆う事も無く、俺を見る月森がハッキリと見える。
「……前に聞いた時、今はまだ無理だって言われました」
おもむろに口を開いた月森は薄着で、見ているこちらが寒い。
「あれから時間が経っていろいろあって、気にするのやめようと思ったりもしたけれど、やっぱりオレは聞きたいんです」
手が冷たくて上着のポケットへ突っ込む。
「大切な人って、先輩が辰巳ポートアイランドへ居た頃亡くなったっていう先輩ですか?」
「そうだよ」
寒さで耳の赤くなった月森はそれでも動かない。
「有里 湊。一つ上の同じ寮だった先輩。青くて無口で、優しい先輩だったぜぇ。月森が俺を好きな以上に多分、俺はあの人が好きだった。だから救いたいと思ってた。俺なら絶対に救えると思ってた。けれど救えなかったし、そもそもあの人は俺に救って欲しいとも思ってなかった。置いてかれたと思ってる俺が、自己満足であの人を取り戻そうと思ってただけなんだぁ」
自分が『大いなる全知の亜種』というのを受け入れたがらなかったくせに、その力だけを利用して相手の事など考えず、恩着せがましいことをし続けていたと気付いた。
気付いてしまった。
それが真実だ。
「幻滅したかぁ?」
「……いいえ。ちゃんと気付けたんだから、それでいいんだと思います」
差し出された手が、やっぱり赤くなっていて少しおかしく思う。
伸ばして掴み、握手をすれば月森は笑った。
「先輩、手冷たいですね」
「心が温かいんだろぉ?」
「それ思うんですけど、手の暖かい人はこれからその温もりを分け与えて、冷たい人はもう分け与えた優しい人なんですよ」
「……とりあえず、お前がやさしいのは分かったよ」
『そうか』
「桐条先輩。今度、湊さんの墓参りに行こうと思うんですけど」
『そうか。私も、久しぶりに君に会いたいし、他の皆にも会いたいよ』
「一緒に、行きましょう。みんなで行ったほうが、湊さんも喜ぶ」
電話を切って顔を上げると、白い息を吐き出した月森が道の真ん中で立っていた。
「どうしたぁ?」
「クリスマスパーティー。遅いので菜々子が心配して、迎えに来ました」
「そっか」
ならば早く行こうと思うのに、なんとなく二人とも互いを見たまま動かない。雪が降りそうなどんよりした雲が空を覆っているが、視界は以前のように霧が覆う事も無く、俺を見る月森がハッキリと見える。
「……前に聞いた時、今はまだ無理だって言われました」
おもむろに口を開いた月森は薄着で、見ているこちらが寒い。
「あれから時間が経っていろいろあって、気にするのやめようと思ったりもしたけれど、やっぱりオレは聞きたいんです」
手が冷たくて上着のポケットへ突っ込む。
「大切な人って、先輩が辰巳ポートアイランドへ居た頃亡くなったっていう先輩ですか?」
「そうだよ」
寒さで耳の赤くなった月森はそれでも動かない。
「有里 湊。一つ上の同じ寮だった先輩。青くて無口で、優しい先輩だったぜぇ。月森が俺を好きな以上に多分、俺はあの人が好きだった。だから救いたいと思ってた。俺なら絶対に救えると思ってた。けれど救えなかったし、そもそもあの人は俺に救って欲しいとも思ってなかった。置いてかれたと思ってる俺が、自己満足であの人を取り戻そうと思ってただけなんだぁ」
自分が『大いなる全知の亜種』というのを受け入れたがらなかったくせに、その力だけを利用して相手の事など考えず、恩着せがましいことをし続けていたと気付いた。
気付いてしまった。
それが真実だ。
「幻滅したかぁ?」
「……いいえ。ちゃんと気付けたんだから、それでいいんだと思います」
差し出された手が、やっぱり赤くなっていて少しおかしく思う。
伸ばして掴み、握手をすれば月森は笑った。
「先輩、手冷たいですね」
「心が温かいんだろぉ?」
「それ思うんですけど、手の暖かい人はこれからその温もりを分け与えて、冷たい人はもう分け与えた優しい人なんですよ」
「……とりあえず、お前がやさしいのは分かったよ」