ペルソナ4
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『もしもし斑鳩くん? 一応君にも連絡しておこうと思って……菜々子ちゃんの容態が、急変したって』
音楽プレーヤーを着けてきたのは不安を紛らわせる為だったかもしれない。急いで駆けつけた病院の、菜々子ちゃんが入れられていた集中治療室の扉は開け放され、忙しなく出入りする看護師と医者。壁際に里中や花村が不安そうな顔をしていて、病室からは月森の声が聞こえる。
「容態が、急変したって……聞いて」
俺が来たことに気付いて俺を振り返るもすぐに病室へと顔を向ける花村達に、話す事も無く待ち合い用の椅子へ腰を降ろした。
看護師と月森が何度も菜々子ちゃんへ呼び掛ける声。音楽プレーヤーの音量を上げても聞こえるそれに目を閉じる。
ふいに、一定の高い断続音と共に月森の声が止まった。
知らせを聞いて急いで来たのだろう堂島氏が病室へ駆け込む。娘の名を呼ぶ声。
後輩達のすすり泣く声にも目を閉じて、膝をきつく握り締める。
例えば俺が『×××』の力を使えれば、今ならまだ救える筈で。けれどもそれは今の俺には無理で。イブリスを召喚出来る代わりに、使えなくなった力。
二年前と同じ様な状況に、唇をかみ締めた。
気付けば堂島氏も月森達もいなくなっていて、音楽プレーヤーの電源を切って立ち上がる。病室の中では眠っているようにしか見えない菜々子ちゃんをクマが見下ろしていた。
寝台を挟んで反対側に立ち、まだ温もりの残る菜々子ちゃんの手を握り締める。こんなことをしたって彼女の目は開かないし、どうしようもないのだけれど。
「……湊さん。綾時さん」
無意識に小さく呟く。
「クマの世界で起きた事なのに、クマは……」
「……クマ?」
同じ様に何かを呟いたクマがフラフラと病室を出て行った。ショックで不安定になっているだろうクマを一人にさせるのは不安で、クマの歩いていったほうを振り返り少し悩む。
結局、握っていた菜々子ちゃんの手をそっと戻し、クマを追いかけることにした。
クマが病室を出てからそう時間は経っていない筈なのに、クマの姿は病院の何処にも無い。
出入り口や、地下や、空き病室も見て、まさか自殺してるんじゃと変な想像をして屋上まで見に行っても、結局何処にも姿が見当たらなかった。
月森達も居なくなってしまったし、病院の外へ出て行ってしまったとしたら行き先に思い当たる場所がテレビの中しかなくて、お手上げ状態である。
それでも病院の外を探そうとナースセンターの前を通り過ぎようとした時、看護婦に話しかけられた。
「あなた、堂島さんの知り合いの子よね。さっき連絡があって、菜々子ちゃんが息を吹き返したって!」
音楽プレーヤーを着けてきたのは不安を紛らわせる為だったかもしれない。急いで駆けつけた病院の、菜々子ちゃんが入れられていた集中治療室の扉は開け放され、忙しなく出入りする看護師と医者。壁際に里中や花村が不安そうな顔をしていて、病室からは月森の声が聞こえる。
「容態が、急変したって……聞いて」
俺が来たことに気付いて俺を振り返るもすぐに病室へと顔を向ける花村達に、話す事も無く待ち合い用の椅子へ腰を降ろした。
看護師と月森が何度も菜々子ちゃんへ呼び掛ける声。音楽プレーヤーの音量を上げても聞こえるそれに目を閉じる。
ふいに、一定の高い断続音と共に月森の声が止まった。
知らせを聞いて急いで来たのだろう堂島氏が病室へ駆け込む。娘の名を呼ぶ声。
後輩達のすすり泣く声にも目を閉じて、膝をきつく握り締める。
例えば俺が『×××』の力を使えれば、今ならまだ救える筈で。けれどもそれは今の俺には無理で。イブリスを召喚出来る代わりに、使えなくなった力。
二年前と同じ様な状況に、唇をかみ締めた。
気付けば堂島氏も月森達もいなくなっていて、音楽プレーヤーの電源を切って立ち上がる。病室の中では眠っているようにしか見えない菜々子ちゃんをクマが見下ろしていた。
寝台を挟んで反対側に立ち、まだ温もりの残る菜々子ちゃんの手を握り締める。こんなことをしたって彼女の目は開かないし、どうしようもないのだけれど。
「……湊さん。綾時さん」
無意識に小さく呟く。
「クマの世界で起きた事なのに、クマは……」
「……クマ?」
同じ様に何かを呟いたクマがフラフラと病室を出て行った。ショックで不安定になっているだろうクマを一人にさせるのは不安で、クマの歩いていったほうを振り返り少し悩む。
結局、握っていた菜々子ちゃんの手をそっと戻し、クマを追いかけることにした。
クマが病室を出てからそう時間は経っていない筈なのに、クマの姿は病院の何処にも無い。
出入り口や、地下や、空き病室も見て、まさか自殺してるんじゃと変な想像をして屋上まで見に行っても、結局何処にも姿が見当たらなかった。
月森達も居なくなってしまったし、病院の外へ出て行ってしまったとしたら行き先に思い当たる場所がテレビの中しかなくて、お手上げ状態である。
それでも病院の外を探そうとナースセンターの前を通り過ぎようとした時、看護婦に話しかけられた。
「あなた、堂島さんの知り合いの子よね。さっき連絡があって、菜々子ちゃんが息を吹き返したって!」