ペルソナ4
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「CDとか積まない派なんだよね。好きな曲とかはあるんだけど、運転中にサイレンの音とか聞こえないか気になっちゃう感じでさ」
「職業病ですか。真面目なんですね」
「違う違う。単にサイレンの音も好きなだけ。なんか何も悪い事してなくてもヤバイ! って思うでしょ?」
「俺は一時期銃の発砲音と硝子の割れる音を聞きまくってましたよ」
「刑事ドラマが好きだったの? あ、寒かったら暖房弄っていいよ」
助手席に乗り込んでシートベルトを締める。運転席に座る足立もシートベルトをぎこちなく締めて車を発進させた。
深い霧で視界が殆ど悪く、すれ違う車も昼間だというのにライトを点けていたりする。歩く分には寒い以外に特に不都合は無かったが、遠くを見通すことが出来ないのは車を運転する者にとってはなかなか困るだろう。
足立の運転は、思ったより丁寧だった。
「刑事ドラマって言えばさ、警察ってあんなドラマみたいに面白くないんだよね。やっぱりテレビって作り物なんだなって思う」
「ドラマに憧れて警察に?」
「んー、そうなのかなぁ。僕、昔っから勉強ばかりさせられてたんだよね。斑鳩くん今年受験生だけど、進路とかどう?」
「……今のところ大学受験をする予定ですけど、落ちて就職でもいいかなって」
「余裕だねぇ。ご両親はなんて?」
「両親いないんです」
「そりゃ……悪い事聞いちゃったね」
交差点の信号が赤になる。
「だからといって好き勝手出来るかって言うと、無理な話なんですけどね。最近昔の知り合いともまた連絡を取るようになって、お陰で電話代が掛かる」
「……そうなんだ」
「ええ。俺が風邪引いてたってバレたら確実に三人は来ますね」
脳裏に浮かぶ三人は桐条、真田、アイギス。
信号が変わって足立がアクセルを踏んだ。
「そう言えば風邪引いてたんだって?」
「もう治りました。ホラ、堂島さんの事故の時雨に打たれたし、その後も傘を差さないで雪の中を歩いたから」
「あはは、そりゃ自業自得だ」
「足立さんは大丈夫でしたか? 足立さんも雨に濡れたでしょう」
「僕これでも大人だから。刑事だと結構体力もいるしね」
アパートの前の道路で車を止め降りる。深い霧に車から外へ出た途端くしゃみをした足立に少しだけ笑って送ってくれたお礼を言い、僅かに軋む階段へ向かった。
その途中で立ち止まり、自室の扉の前で鍵を開けようとしていた足立へ声を掛ける。
「足立さん、今度足立さんの食べたいもの作りますよ」
「え、ホント?」
「送って頂いたお礼です」
「嬉しいなぁ……じゃあ、ロールキャベツがいいな。肉よりキャベツ多めで」
「キャベツ好きですね本当に……足立さん」
「何?」
「先程の話ですが、テレビに映るのが作り物でもそれを作ったのは人ですし、人がそういうものを作るからにはそれを夢見てるんだと思います。夢見るにしても、比べる対象が無ければ絶望も落胆もしませんよ」
「職業病ですか。真面目なんですね」
「違う違う。単にサイレンの音も好きなだけ。なんか何も悪い事してなくてもヤバイ! って思うでしょ?」
「俺は一時期銃の発砲音と硝子の割れる音を聞きまくってましたよ」
「刑事ドラマが好きだったの? あ、寒かったら暖房弄っていいよ」
助手席に乗り込んでシートベルトを締める。運転席に座る足立もシートベルトをぎこちなく締めて車を発進させた。
深い霧で視界が殆ど悪く、すれ違う車も昼間だというのにライトを点けていたりする。歩く分には寒い以外に特に不都合は無かったが、遠くを見通すことが出来ないのは車を運転する者にとってはなかなか困るだろう。
足立の運転は、思ったより丁寧だった。
「刑事ドラマって言えばさ、警察ってあんなドラマみたいに面白くないんだよね。やっぱりテレビって作り物なんだなって思う」
「ドラマに憧れて警察に?」
「んー、そうなのかなぁ。僕、昔っから勉強ばかりさせられてたんだよね。斑鳩くん今年受験生だけど、進路とかどう?」
「……今のところ大学受験をする予定ですけど、落ちて就職でもいいかなって」
「余裕だねぇ。ご両親はなんて?」
「両親いないんです」
「そりゃ……悪い事聞いちゃったね」
交差点の信号が赤になる。
「だからといって好き勝手出来るかって言うと、無理な話なんですけどね。最近昔の知り合いともまた連絡を取るようになって、お陰で電話代が掛かる」
「……そうなんだ」
「ええ。俺が風邪引いてたってバレたら確実に三人は来ますね」
脳裏に浮かぶ三人は桐条、真田、アイギス。
信号が変わって足立がアクセルを踏んだ。
「そう言えば風邪引いてたんだって?」
「もう治りました。ホラ、堂島さんの事故の時雨に打たれたし、その後も傘を差さないで雪の中を歩いたから」
「あはは、そりゃ自業自得だ」
「足立さんは大丈夫でしたか? 足立さんも雨に濡れたでしょう」
「僕これでも大人だから。刑事だと結構体力もいるしね」
アパートの前の道路で車を止め降りる。深い霧に車から外へ出た途端くしゃみをした足立に少しだけ笑って送ってくれたお礼を言い、僅かに軋む階段へ向かった。
その途中で立ち止まり、自室の扉の前で鍵を開けようとしていた足立へ声を掛ける。
「足立さん、今度足立さんの食べたいもの作りますよ」
「え、ホント?」
「送って頂いたお礼です」
「嬉しいなぁ……じゃあ、ロールキャベツがいいな。肉よりキャベツ多めで」
「キャベツ好きですね本当に……足立さん」
「何?」
「先程の話ですが、テレビに映るのが作り物でもそれを作ったのは人ですし、人がそういうものを作るからにはそれを夢見てるんだと思います。夢見るにしても、比べる対象が無ければ絶望も落胆もしませんよ」