ペルソナ4
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
流石に風邪を引いて倒れた。
この言い方では少し語弊があるが、風邪を引いたのは間違いなく、体調の悪いまま試験を受けることになってしまったのは失敗である。
受験生なのだからと教師に心配され、病院へ見舞いにも行けず、月森達に会いに行くのも憚られて、一週間近く顔を合わせることが無かった。
そもそも、学年が違うせいか昼休みに俺が月森達のところへ行かないと、学校で会うことはあまり無い。最初の頃のように廊下で出待ちも、当然無くなって久しかった。
完全にとは言いがたいが良くなって、まず病院へ。
「おお、斑鳩君」
「お身体の調子はいかがですか?」
運よく丁度起きていたらしい堂島氏に挨拶して寝台の傍の椅子へ腰を降ろした。
「見舞いに来れなくてすいません。実は俺も風邪を引いてしまったもので」
「おいおい大丈夫なのか? まぁ、斑鳩君はちゃんと身体を休める事が出来そうだがな」
「堂島さんこそ、肋骨を折っているんですから、動けるからと無理をしてはいけません」
「足立や孝介と同じことを……」
聞き飽きたとばかりに苦笑する堂島氏だが、それだけ心配されているという事だし、心配してくれる人がいるという事だ。
「菜々子ちゃんはどうですか?」
「ん、……まだ、面会は出来ないんだ。医者の話では少しずつ回復に向かっているという事だが、どうもな」
心配で仕方ない、という口調の堂島氏を見ると『父親』というものを認識する。
「……はやく、二人とも良くなるといいですね」
「あっれー? 斑鳩くんだ」
廊下から声が聞こえて振り返れば、堂島氏の見舞いにでも来たのだろう足立が手にビニール袋を提げながら立っていた。
「学校はもう終わったの? いいなぁ、遊べる時間が多くてさ」
「足立、お前またサボりに来たのか」
「やだなぁ、違いますよ。今日も泊り込みになりそうだから、一度家に帰る前に堂島さんの見舞いに来たんじゃないですか」
「忙しそうですね。ご苦労様です」
「斑鳩くんだけだよ。労ってくれるの」
ビニール袋の中から見舞いの品らしいプリンを出して、棚の上に置きながら足立が嘯く。場所を開けようと椅子から立ち上がるも、足立は座りはしなかった。幾つ買ってきたのか三個以上あったプリンの一つを渡されて、お礼を言って鞄の中へ放り込む。スプーンは渡されず、どう考えてもこの場で食べる事は出来ない。それとも飲めというのか。
「報告書は僕のほうで出しときました。あと課長から目を通してもらいたい書類があるって言ってて、また夜に持ってきます」
「すまないな」
仕事に関わる連絡だろうに俺が聞いていていいのかと思ったが、足立も分かっていて具体的な名称は出さなかったらしい。
「僕帰るけど車なんだ。どうせだし斑鳩くん一緒に帰る?」
振り返った足立に言われて窓の外を見る。先日降った雪が溶けきらずに日陰や道の端で残っている上、最近異様に深く視界を覆っている霧で、寒いのは一目瞭然だった。
「送っていってもらいなさい。病み上がりなんだろう?」
「……そうですね。じゃあお願いしていいですか?」
この言い方では少し語弊があるが、風邪を引いたのは間違いなく、体調の悪いまま試験を受けることになってしまったのは失敗である。
受験生なのだからと教師に心配され、病院へ見舞いにも行けず、月森達に会いに行くのも憚られて、一週間近く顔を合わせることが無かった。
そもそも、学年が違うせいか昼休みに俺が月森達のところへ行かないと、学校で会うことはあまり無い。最初の頃のように廊下で出待ちも、当然無くなって久しかった。
完全にとは言いがたいが良くなって、まず病院へ。
「おお、斑鳩君」
「お身体の調子はいかがですか?」
運よく丁度起きていたらしい堂島氏に挨拶して寝台の傍の椅子へ腰を降ろした。
「見舞いに来れなくてすいません。実は俺も風邪を引いてしまったもので」
「おいおい大丈夫なのか? まぁ、斑鳩君はちゃんと身体を休める事が出来そうだがな」
「堂島さんこそ、肋骨を折っているんですから、動けるからと無理をしてはいけません」
「足立や孝介と同じことを……」
聞き飽きたとばかりに苦笑する堂島氏だが、それだけ心配されているという事だし、心配してくれる人がいるという事だ。
「菜々子ちゃんはどうですか?」
「ん、……まだ、面会は出来ないんだ。医者の話では少しずつ回復に向かっているという事だが、どうもな」
心配で仕方ない、という口調の堂島氏を見ると『父親』というものを認識する。
「……はやく、二人とも良くなるといいですね」
「あっれー? 斑鳩くんだ」
廊下から声が聞こえて振り返れば、堂島氏の見舞いにでも来たのだろう足立が手にビニール袋を提げながら立っていた。
「学校はもう終わったの? いいなぁ、遊べる時間が多くてさ」
「足立、お前またサボりに来たのか」
「やだなぁ、違いますよ。今日も泊り込みになりそうだから、一度家に帰る前に堂島さんの見舞いに来たんじゃないですか」
「忙しそうですね。ご苦労様です」
「斑鳩くんだけだよ。労ってくれるの」
ビニール袋の中から見舞いの品らしいプリンを出して、棚の上に置きながら足立が嘯く。場所を開けようと椅子から立ち上がるも、足立は座りはしなかった。幾つ買ってきたのか三個以上あったプリンの一つを渡されて、お礼を言って鞄の中へ放り込む。スプーンは渡されず、どう考えてもこの場で食べる事は出来ない。それとも飲めというのか。
「報告書は僕のほうで出しときました。あと課長から目を通してもらいたい書類があるって言ってて、また夜に持ってきます」
「すまないな」
仕事に関わる連絡だろうに俺が聞いていていいのかと思ったが、足立も分かっていて具体的な名称は出さなかったらしい。
「僕帰るけど車なんだ。どうせだし斑鳩くん一緒に帰る?」
振り返った足立に言われて窓の外を見る。先日降った雪が溶けきらずに日陰や道の端で残っている上、最近異様に深く視界を覆っている霧で、寒いのは一目瞭然だった。
「送っていってもらいなさい。病み上がりなんだろう?」
「……そうですね。じゃあお願いしていいですか?」