ペルソナ4
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病院に搬送された菜々子ちゃんは予断の許されない状況で、俺自身も医者の診察を受けてから彼女の運ばれた集中治療室へ向かえば、面会謝絶となっていた。
堂島氏も同じ病院へ運ばれたらしく、今は病室で安静にしながらも菜々子ちゃんの容態を医者から説明を受けていると思われる。本当なら少しでも近くに居たいだろうに。
「……先輩、身体は」
「俺は平気だぁ。お前らも少し休めぇ」
俺が来るまで悔やんだりしていたのだろう。完二からアタッシュケースを受け取り、俺の言葉に俯く花村やクマの様子に掛けられる無難な言葉など何も無い。けれど一番年上の者として、彼等を叱咤するべきなのだろう。
だから、恨まれ役を演じる。
「ここでお前らが悔やんでいても何も起きねぇよ。悔やむくらいなら帰って身体を休めろぉ」
「……んな、簡単に」
案の定花村が顔を上げて俺を睨む。
「ここにいても出入りする医者の邪魔だぁ」
「っ先輩、そんな言い方……」
「……いえ、斑鳩先輩の言う通りかもしれません。ボク達はもう帰ったほうがいいでしょう」
怒り出す寸前だった久慈川を遮るように直斗が賛同して、帽子を深く被りながら歩き出した。その後を力無く里中や完二がついて行く。
花村が俺を睨みながら去っていって、最後に月森が立ち上がる。月森は、集中治療室の扉から目を離さなかった。
「今お前が倒れたら、誰が菜々子ちゃんが目覚めるのを待つんだぁ?」
月森は何も言わないし、動きもしない。
「彼女は俺の時と違って、まだ生きてるじゃねぇかぁ。……月森、お前は今折れちゃいけねぇ」
俺自身も帰らなければならないと踵を返す。わざと足音を立てて歩き出せば、十歩も進まないうちに後ろから背中に衝撃がきた。
「……歩きにくいから、手を握るくらいにしてくれぇ」
ゆるゆると握られた手は冷たく、小さく震えている事に気付いてそっと息を吐く。
深夜という事で出歩いている患者もいない廊下を無言で歩いて、病院の深夜出入り口へ向かえば先に行った花村達が静かに降る雪を見ていた。
身近なものへ死の気配が近付く事に、彼等は慣れていない。それが自分たちより幼く本来であれば生命力に溢れる少女であるから、それが親しい仲間の家族であるから、こんなにも心を痛めている。
俺達が来た事に気付いた天城と完二が振り返り、再び雪を見た。
「ここは寒い。また明日、様子を見に来ればいい」
「……うん」
里中が小さく返事をするのを聞いて雪の中を歩き出す。傘を持っていないがそんなことを構う余裕は流石に無かった。
堂島氏も同じ病院へ運ばれたらしく、今は病室で安静にしながらも菜々子ちゃんの容態を医者から説明を受けていると思われる。本当なら少しでも近くに居たいだろうに。
「……先輩、身体は」
「俺は平気だぁ。お前らも少し休めぇ」
俺が来るまで悔やんだりしていたのだろう。完二からアタッシュケースを受け取り、俺の言葉に俯く花村やクマの様子に掛けられる無難な言葉など何も無い。けれど一番年上の者として、彼等を叱咤するべきなのだろう。
だから、恨まれ役を演じる。
「ここでお前らが悔やんでいても何も起きねぇよ。悔やむくらいなら帰って身体を休めろぉ」
「……んな、簡単に」
案の定花村が顔を上げて俺を睨む。
「ここにいても出入りする医者の邪魔だぁ」
「っ先輩、そんな言い方……」
「……いえ、斑鳩先輩の言う通りかもしれません。ボク達はもう帰ったほうがいいでしょう」
怒り出す寸前だった久慈川を遮るように直斗が賛同して、帽子を深く被りながら歩き出した。その後を力無く里中や完二がついて行く。
花村が俺を睨みながら去っていって、最後に月森が立ち上がる。月森は、集中治療室の扉から目を離さなかった。
「今お前が倒れたら、誰が菜々子ちゃんが目覚めるのを待つんだぁ?」
月森は何も言わないし、動きもしない。
「彼女は俺の時と違って、まだ生きてるじゃねぇかぁ。……月森、お前は今折れちゃいけねぇ」
俺自身も帰らなければならないと踵を返す。わざと足音を立てて歩き出せば、十歩も進まないうちに後ろから背中に衝撃がきた。
「……歩きにくいから、手を握るくらいにしてくれぇ」
ゆるゆると握られた手は冷たく、小さく震えている事に気付いてそっと息を吐く。
深夜という事で出歩いている患者もいない廊下を無言で歩いて、病院の深夜出入り口へ向かえば先に行った花村達が静かに降る雪を見ていた。
身近なものへ死の気配が近付く事に、彼等は慣れていない。それが自分たちより幼く本来であれば生命力に溢れる少女であるから、それが親しい仲間の家族であるから、こんなにも心を痛めている。
俺達が来た事に気付いた天城と完二が振り返り、再び雪を見た。
「ここは寒い。また明日、様子を見に来ればいい」
「……うん」
里中が小さく返事をするのを聞いて雪の中を歩き出す。傘を持っていないがそんなことを構う余裕は流石に無かった。