ペルソナ4
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先に行った堂島氏に俺が叩いてしまった頬を冷やしてもらう為に、自販機で冷たい飲み物を買って月森達がいる筈の取調べ室へ戻ると、ドアの前には里中や直斗達が集まっていてドア越しに月森達と話をしているようだった。
「あ、先輩!」
「斑鳩先輩! 貴方の考えは正しかった!」
俺が来た事に気付いた久慈川達が駆け寄ってくる。
「大型のテレビを所持していて、それを車で運んでいてもどんな家の玄関前に止まっていても違和感の無い車……運送トラックですよ!」
ここにきてやっと違和感の答えに気付いた。
俺は最初の時点で答えを既に出していたではないか。
「それで、先程テレビに菜々子ちゃんが映って、自宅にも菜々子ちゃんが居なくて……足立さんの話で関係者の中に運送業の人が居るって」
「じゃあさっさと追いかけるべきだろぉ!」
「それが……」
天城達がドアの前に立っていた足立を見る。足立は俺と目が合うと困ったように逸らした。
「足立さん」
「で、でも……」
「貴方は堂島さんに知らせに行った。いない間に起こったことを貴方は知らないし責任も無い。何故なら俺達が勝手に来て鍵を開けて抜け出したからだ……いいですね?」
妥当な言い訳を作り上げると、足立は諦めたように取調室の鍵を開けて走っていった。もし何かあったら責任を取る覚悟でいないといけないかもしれないが、そうなったら堂島氏の職権乱用と監禁を持ち出してやろう。
急いでタクシーの手配をすると、一台は先程俺が利用したタクシーだった。運転手は俺を見て何か言いたそうだったが、やっぱり無視する。
「テレビに映ったってことはもう菜々子ちゃんはテレビの中だよなぁ」
「おそらく」
「それなら俺達はジュネスに行ったほうが良いだろぉ。現実の犯人を追うのは堂島さんと足立さんに任せて、俺達はジュネスだ」
人数が多すぎて二台のタクシーに分けて乗り込む前に、月森と直斗と話し合いジュネスへ向かう。アタッシュケースが邪魔だ。
時間が過ぎると共に強くなっていく雨にタクシーのワイパーが僅かにキシキシと音を立てる。時折水溜りを引いて跳ねる水が窓に飛沫を掛けるのを見ながら、皆無言だった。
夜も遅い事もあって人通りどころか車があることすら珍しい道路に、前方から光が差す。
「あれ、生田目のトラックじゃない!?」
「すみません、あのトラック追いかけてください!」
運転手にすぐ指示を出せば、後ろをついて来ていたタクシーの中でも同じ会話がされたらしく、同じ道をついて来る。
その目の前で、トラックがスリップした。
スリップしたトラックとそれ追いかけていた自家用車がぶつかり、俄かに事故現場となったそこでタクシーを止めてもらう。花村に財布を投げてまず自家用車のほうに駆け寄った。
乗っている人物に予想は着いている。
「堂島さん! 聞こえますかぁ!?」
自力で車から這い出てきていた堂島氏は、頭を打ったらしく額から血が流れている。トラックのほうに直斗や完二が掛けていくのを見ながら、天城に携帯を投げた。
「救急車!」
「はい!」
遅れて到着した足立の手を借りて、堂島氏を車から離して安静に横たわらせる。肋骨損傷どころか足も折っているのが分かった。
応急処置をしていればトラックのほうを見に行った直斗達が叫ぶ。
「生田目がいません!」
トラックには誰も乗っていなかった。二台には大きなテレビが一台だけ、ポツンと乗せられている。
それだけだ。
「これがトラックの荷台にありました。」
現場検証をしていた直斗が振り返って手に持つ手帳を見せる。
「ノート? 生田目のか」
「読みます。……『僕は新世界の存在を知った。なら僕は、人を救わなければならない』」
「『救う』だぁ?」
完二の低い声。おそらく自分が放り込まれた被害者である事を思い出してでもいるのだろう。
「被害者の現住所が乗ってます! 未遂で助かった世に出てなかった3件目以降の被害者も書かれてる」
「すごい。そりゃ決まりだよ」
反対側で堂島氏の応急処置を手伝っていてくれていた足立の言葉に、思わず手が止まる。
どうして、足立が今『そう』言ったのか分からなかった。
「足立さん」
「え、なに?」
彼は気付いていない。救急車が近付いてくる音が聞こえる。花村が近付いてきて財布を俺に返した。
立ち上がってトラックの荷台に近付けば、月森が呆然と黒い画面を晒すテレビを見つめている。その肩に手を掛けると、大袈裟に肩をビクつかせて振り返った。
「せんぱい」
「月森、しっかりしろぉ。お前は堂島さんと一度病院に行って、それから皆とジュネスのテレビから中へ入って来い。一人で突っ走るのは駄目だぁ。いいなぁ?」
雨なのか涙なのか分からない水滴を月森の頬から拭って、タクシーへ戻ってアタッシュケースを掴む。
「先輩?」
「絶対月森を一人でテレビの中へ行かせようとすんなよぉ。後を頼む」
トラックの荷台へ登って、テレビが通れるかを確認して一息に飛び込んだ。後ろで久慈川当たりの声が聞こえたが無視する。
そう言えばジュネス以外のテレビから故意に入るのは、コレが初めてなのかと思った。
「あ、先輩!」
「斑鳩先輩! 貴方の考えは正しかった!」
俺が来た事に気付いた久慈川達が駆け寄ってくる。
「大型のテレビを所持していて、それを車で運んでいてもどんな家の玄関前に止まっていても違和感の無い車……運送トラックですよ!」
ここにきてやっと違和感の答えに気付いた。
俺は最初の時点で答えを既に出していたではないか。
「それで、先程テレビに菜々子ちゃんが映って、自宅にも菜々子ちゃんが居なくて……足立さんの話で関係者の中に運送業の人が居るって」
「じゃあさっさと追いかけるべきだろぉ!」
「それが……」
天城達がドアの前に立っていた足立を見る。足立は俺と目が合うと困ったように逸らした。
「足立さん」
「で、でも……」
「貴方は堂島さんに知らせに行った。いない間に起こったことを貴方は知らないし責任も無い。何故なら俺達が勝手に来て鍵を開けて抜け出したからだ……いいですね?」
妥当な言い訳を作り上げると、足立は諦めたように取調室の鍵を開けて走っていった。もし何かあったら責任を取る覚悟でいないといけないかもしれないが、そうなったら堂島氏の職権乱用と監禁を持ち出してやろう。
急いでタクシーの手配をすると、一台は先程俺が利用したタクシーだった。運転手は俺を見て何か言いたそうだったが、やっぱり無視する。
「テレビに映ったってことはもう菜々子ちゃんはテレビの中だよなぁ」
「おそらく」
「それなら俺達はジュネスに行ったほうが良いだろぉ。現実の犯人を追うのは堂島さんと足立さんに任せて、俺達はジュネスだ」
人数が多すぎて二台のタクシーに分けて乗り込む前に、月森と直斗と話し合いジュネスへ向かう。アタッシュケースが邪魔だ。
時間が過ぎると共に強くなっていく雨にタクシーのワイパーが僅かにキシキシと音を立てる。時折水溜りを引いて跳ねる水が窓に飛沫を掛けるのを見ながら、皆無言だった。
夜も遅い事もあって人通りどころか車があることすら珍しい道路に、前方から光が差す。
「あれ、生田目のトラックじゃない!?」
「すみません、あのトラック追いかけてください!」
運転手にすぐ指示を出せば、後ろをついて来ていたタクシーの中でも同じ会話がされたらしく、同じ道をついて来る。
その目の前で、トラックがスリップした。
スリップしたトラックとそれ追いかけていた自家用車がぶつかり、俄かに事故現場となったそこでタクシーを止めてもらう。花村に財布を投げてまず自家用車のほうに駆け寄った。
乗っている人物に予想は着いている。
「堂島さん! 聞こえますかぁ!?」
自力で車から這い出てきていた堂島氏は、頭を打ったらしく額から血が流れている。トラックのほうに直斗や完二が掛けていくのを見ながら、天城に携帯を投げた。
「救急車!」
「はい!」
遅れて到着した足立の手を借りて、堂島氏を車から離して安静に横たわらせる。肋骨損傷どころか足も折っているのが分かった。
応急処置をしていればトラックのほうを見に行った直斗達が叫ぶ。
「生田目がいません!」
トラックには誰も乗っていなかった。二台には大きなテレビが一台だけ、ポツンと乗せられている。
それだけだ。
「これがトラックの荷台にありました。」
現場検証をしていた直斗が振り返って手に持つ手帳を見せる。
「ノート? 生田目のか」
「読みます。……『僕は新世界の存在を知った。なら僕は、人を救わなければならない』」
「『救う』だぁ?」
完二の低い声。おそらく自分が放り込まれた被害者である事を思い出してでもいるのだろう。
「被害者の現住所が乗ってます! 未遂で助かった世に出てなかった3件目以降の被害者も書かれてる」
「すごい。そりゃ決まりだよ」
反対側で堂島氏の応急処置を手伝っていてくれていた足立の言葉に、思わず手が止まる。
どうして、足立が今『そう』言ったのか分からなかった。
「足立さん」
「え、なに?」
彼は気付いていない。救急車が近付いてくる音が聞こえる。花村が近付いてきて財布を俺に返した。
立ち上がってトラックの荷台に近付けば、月森が呆然と黒い画面を晒すテレビを見つめている。その肩に手を掛けると、大袈裟に肩をビクつかせて振り返った。
「せんぱい」
「月森、しっかりしろぉ。お前は堂島さんと一度病院に行って、それから皆とジュネスのテレビから中へ入って来い。一人で突っ走るのは駄目だぁ。いいなぁ?」
雨なのか涙なのか分からない水滴を月森の頬から拭って、タクシーへ戻ってアタッシュケースを掴む。
「先輩?」
「絶対月森を一人でテレビの中へ行かせようとすんなよぉ。後を頼む」
トラックの荷台へ登って、テレビが通れるかを確認して一息に飛び込んだ。後ろで久慈川当たりの声が聞こえたが無視する。
そう言えばジュネス以外のテレビから故意に入るのは、コレが初めてなのかと思った。