ペルソナ4
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時刻表の関係でそれは叶わず、それでも始発に飛び乗る形で不安の残る稲羽市を後にした。
携帯は常時電源を入れているが、月森達には言っていない。何かあった時すぐに駆けつけてやれないのが心配である。
数時間後に着いた辰巳ポートアイランドの駅を降りて、桐条からのメールで知らされた受け渡し場所である月光館学園の前には、ワンピース姿のアイギスが居た。
「アマネさん」
「アイギスさん」
俺を呼んで頭を下げる彼女の手には鈍い銀色のアタッシュケース。
「美鶴さんより、貴方へ渡すように言われました」
「……ありがとうございます」
ぎこちなくお礼を言って手を差し出すも、アイギスはアタッシュケースを差し出そうとはしなかった。
「アイギスさん?」
「アマネさん。私は、貴方の悲しみに気付けませんでした」
人の心になったとはいえ、身体の殆どが機械である彼女は高性能であっても涙は流せない。それでも潤んでいるように見える彼女の目に、早く渡せと催促している様だった自分の手を降ろした。
「別に恨んでねぇです。俺が勝手に隠してただけですから」
「そうでしょう。私が勝手に悔いているだけです。ですが、貴方が悲しんでいたのは事実です……ご」
「謝らないでください。アイギスさんは謝るようなことは何もしてない。それこそ、俺が謝らなけりゃいけねぇって話しで」
ごめんなさい、という言葉を遮る。代わりに笑って宥めた。
「いいえ。アマネさんが謝る必要などありません」
「じゃあアイギスさんが謝る必要も無い。もうこれ以上傷を舐めあう必要も無ぇ。それでいい。それが、いいんです」
一年前の三月三十一日。俺を除いたアイギス達はちゃんと前を向いた。それをダラダラと一人だけ逃避して立ち止まっていた俺が、全面的に悪いと分かっている。
だからこれは、アイギスの生来の優しさだ。
「アイギスさん、今は元気にしてますか?」
「……はい」
「ならいいです。俺も少しずつ元気になってます」
俺が笑えばアイギスも微笑む。今度こそ差し出されたアタッシュケースを受け取った。
「私もご一緒しましょうか?」
「いや、それは桐条先輩に怒られる。これはあいつ等の戦いだから、アイギスさんは結果だけを待っていてください。必ず、話に来ますから」
約束を二つ、その言葉へ込めて駅へ向かって歩き出す。
今から帰れば余程のことがなければ夕方には稲羽市へ戻れるだろう。その後は月森達の誰かに電話をして状況を聞けば良い。
目の前の問題から、片付けていく。
携帯は常時電源を入れているが、月森達には言っていない。何かあった時すぐに駆けつけてやれないのが心配である。
数時間後に着いた辰巳ポートアイランドの駅を降りて、桐条からのメールで知らされた受け渡し場所である月光館学園の前には、ワンピース姿のアイギスが居た。
「アマネさん」
「アイギスさん」
俺を呼んで頭を下げる彼女の手には鈍い銀色のアタッシュケース。
「美鶴さんより、貴方へ渡すように言われました」
「……ありがとうございます」
ぎこちなくお礼を言って手を差し出すも、アイギスはアタッシュケースを差し出そうとはしなかった。
「アイギスさん?」
「アマネさん。私は、貴方の悲しみに気付けませんでした」
人の心になったとはいえ、身体の殆どが機械である彼女は高性能であっても涙は流せない。それでも潤んでいるように見える彼女の目に、早く渡せと催促している様だった自分の手を降ろした。
「別に恨んでねぇです。俺が勝手に隠してただけですから」
「そうでしょう。私が勝手に悔いているだけです。ですが、貴方が悲しんでいたのは事実です……ご」
「謝らないでください。アイギスさんは謝るようなことは何もしてない。それこそ、俺が謝らなけりゃいけねぇって話しで」
ごめんなさい、という言葉を遮る。代わりに笑って宥めた。
「いいえ。アマネさんが謝る必要などありません」
「じゃあアイギスさんが謝る必要も無い。もうこれ以上傷を舐めあう必要も無ぇ。それでいい。それが、いいんです」
一年前の三月三十一日。俺を除いたアイギス達はちゃんと前を向いた。それをダラダラと一人だけ逃避して立ち止まっていた俺が、全面的に悪いと分かっている。
だからこれは、アイギスの生来の優しさだ。
「アイギスさん、今は元気にしてますか?」
「……はい」
「ならいいです。俺も少しずつ元気になってます」
俺が笑えばアイギスも微笑む。今度こそ差し出されたアタッシュケースを受け取った。
「私もご一緒しましょうか?」
「いや、それは桐条先輩に怒られる。これはあいつ等の戦いだから、アイギスさんは結果だけを待っていてください。必ず、話に来ますから」
約束を二つ、その言葉へ込めて駅へ向かって歩き出す。
今から帰れば余程のことがなければ夕方には稲羽市へ戻れるだろう。その後は月森達の誰かに電話をして状況を聞けば良い。
目の前の問題から、片付けていく。