ペルソナ4
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『斑鳩先輩は、犯人が大型テレビを持っていると?』
「違げぇよ。考えてくれりゃ分かるが、俺達はテレビの中へ入れられた。つまり犯人はテレビを用意して俺達を襲えば仕事が速くて助かるだろぉ。俺が考えたのは『テレビを持ち歩けばいい』だぁ」
『でも、人を入れられる大きさのテレビなんて持ち歩けません』
「手で持つ必要は無ぇんだよ。車である程度運べばいい」
『……!』
直斗は盲点だったとばかりに目を見開く。高校生の俺達が普段馴染みのある乗り物はバスや自転車で、自分で運転しない車のことは、結構思い付かないのかも知れない。
自分の考えをまず話した相手は直斗だった。テレビの中へ入れられたという経験から柔軟な思考を持つようになったし、警察ともある程度懇意の様だから情報は持っている。
それに直斗は冷静に考える事が出来た。
電話の向こうの直斗は俺の考えについて熟考しているのか黙っている。
電源の入っていないテレビに映る砂嵐の中の子供。目を細めたところでハッキリと分かりはしない。窓の外は雨だ。
「もちろん現場に不審な車があれば目立つ筈だぁ。だがそんな話はきいてねぇ。ということはワゴンみたいな大型乗用車とか、軽トラ。無論幌付きの軽トラだろぉ。テレビを丸出しで載せてるわけがねぇからなぁ」
『……分かりました。もう一度その線を洗ってみます』
「悪ぃなぁ」
切れた電話と消えた画面。
窓の外からの雨の音が嫌に響く。その窓へ近付いてカーテンを開けて外を眺めながら、携帯の画面に一つの電話番号を表示させる。
直斗が洗い出しに成功すれば、もしかしたら必要になるものだ。
通話ボタンを押す。
『……もしもし』
「深夜にすいません」
『まだ起きていたから構わないさ。何の用だ?』
「俺が、寮に置いていった召喚器を送っていただいていいですか?」
『……必要なのか?』
「使わずに済むならそれでいいんです」
電話の向こうで桐条が溜息を吐く。
『今まではペルソナを使ってなかったのか?』
「肉弾戦でした」
『斑鳩……いや、いい。分かった』
安堵して息を吐き出した。召喚器がないと本当にペルソナを召喚出来ないかどうかは知らないが、どうせなら慣れた方法で召喚したほうが変に気力を使わずに済む。
『だが送りはしない。君が取りに来なさい。それが交換条件だ』
「時間が無いかも知れねぇです」
『一日で往復できる距離だろう。一人で渡すよ』
マヨナカテレビが映ってしまった今、一日でも余裕があるかどうか分からない。それでも桐条の条件を飲んだのは、今この場で迷っている気にもなれなかったからだ。
「じゃあ、今から終電に乗ります」
『は?』
「違げぇよ。考えてくれりゃ分かるが、俺達はテレビの中へ入れられた。つまり犯人はテレビを用意して俺達を襲えば仕事が速くて助かるだろぉ。俺が考えたのは『テレビを持ち歩けばいい』だぁ」
『でも、人を入れられる大きさのテレビなんて持ち歩けません』
「手で持つ必要は無ぇんだよ。車である程度運べばいい」
『……!』
直斗は盲点だったとばかりに目を見開く。高校生の俺達が普段馴染みのある乗り物はバスや自転車で、自分で運転しない車のことは、結構思い付かないのかも知れない。
自分の考えをまず話した相手は直斗だった。テレビの中へ入れられたという経験から柔軟な思考を持つようになったし、警察ともある程度懇意の様だから情報は持っている。
それに直斗は冷静に考える事が出来た。
電話の向こうの直斗は俺の考えについて熟考しているのか黙っている。
電源の入っていないテレビに映る砂嵐の中の子供。目を細めたところでハッキリと分かりはしない。窓の外は雨だ。
「もちろん現場に不審な車があれば目立つ筈だぁ。だがそんな話はきいてねぇ。ということはワゴンみたいな大型乗用車とか、軽トラ。無論幌付きの軽トラだろぉ。テレビを丸出しで載せてるわけがねぇからなぁ」
『……分かりました。もう一度その線を洗ってみます』
「悪ぃなぁ」
切れた電話と消えた画面。
窓の外からの雨の音が嫌に響く。その窓へ近付いてカーテンを開けて外を眺めながら、携帯の画面に一つの電話番号を表示させる。
直斗が洗い出しに成功すれば、もしかしたら必要になるものだ。
通話ボタンを押す。
『……もしもし』
「深夜にすいません」
『まだ起きていたから構わないさ。何の用だ?』
「俺が、寮に置いていった召喚器を送っていただいていいですか?」
『……必要なのか?』
「使わずに済むならそれでいいんです」
電話の向こうで桐条が溜息を吐く。
『今まではペルソナを使ってなかったのか?』
「肉弾戦でした」
『斑鳩……いや、いい。分かった』
安堵して息を吐き出した。召喚器がないと本当にペルソナを召喚出来ないかどうかは知らないが、どうせなら慣れた方法で召喚したほうが変に気力を使わずに済む。
『だが送りはしない。君が取りに来なさい。それが交換条件だ』
「時間が無いかも知れねぇです」
『一日で往復できる距離だろう。一人で渡すよ』
マヨナカテレビが映ってしまった今、一日でも余裕があるかどうか分からない。それでも桐条の条件を飲んだのは、今この場で迷っている気にもなれなかったからだ。
「じゃあ、今から終電に乗ります」
『は?』