ペルソナ4
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「ヘイ斑鳩! お前楽器弾ける?」
「……はぁ?」
学校へ来た途端同級生に尋ねられた。
「いやさ、もうすぐ文化祭じゃん? だからクラスとは別に即席バンドでもやろうと思ってさ。オマエ顔イイじゃん? だから一緒にやらないかってお誘い。ああモチロンボーカルでもいいよ」
「ボーカルやらせるつもりなら文化祭が中止になるよう仕向ける」
「ブッソウ! なら楽器は?」
「モノによるけど、練習すればある程度は……」
「ならオマエサックスな」
「……サックス?」
「オレらがやりたいの、ジャズバンドだから」
あっけらかんと告げた同級生は、呆然とする俺を気にする気配も無く、後ろで教室へ入ってきた違う奴に声を掛けに行く。尋ねてきたくせに拒否権が無かった気がした。
昼休みに音楽室の横の準備室へ俺を含めたクラスメイト数人が集められ、同級生と確か写真部の顧問だった教師によって準備室で眠っていた楽器を渡される。
どうやら同級生の案に写真部の顧問が賛同して協力してくれたという話のようだ。吹奏楽部が使っていない楽器だから、使っていいという話らしい。保存状態も良くなかなか質の良いサックスで、宝の持ち腐れだと思う。
用事があるからと準備室の戸締りをするよう言って、教師が職員室へと戻っていき、同級生が持っていたファイルから何枚かの紙を取り出した。
「やりたい曲はねぇ、コレとコレ」
渡された楽譜に書かれた題名に目を細める。
「……これ」
「斑鳩気付いた? 気付いちゃった? これ洋楽のジャズアレンジなんよ」
「お前英語の歌詞歌えんのかよ」
「カラオケはとくいー」
「オレ無理っぽい気がしてきた」
やる前から落ち込んだり呆れたりしているクラスメイト達から意識を遠ざけて、楽譜の音符を目で追った。
頭の中で音符に沿って流れる曲の主旋律は、馴染みのあるものだ。
「……斑鳩? どうした? 無理ならコイツのわがままに付き合わなくていいんだぞ?」
楽譜を見つめて黙っていた俺を不思議に思ったのか、クラスメイトが気遣ってくる。それにハッとして顔を上げれば、最初に声を掛けてきた同級生も不安そうな顔をしていた。
「……いや、大丈夫」
「ホント? オレ思い付きで突っ走るから……」
「大丈夫だぁ。俺、この曲やりてぇ」
そう言って微笑むと何故か同級生達は俺を凝視し、それから慌てて顔を逸らす。何かしただろうかと不思議に思ったが、そんなことよりもう一度楽譜を見下ろした。
音の悪い音楽プレーヤーで、今でも繰り返し聞き続ける湊さんから貰ったMD。
同級生から渡された楽譜は、その中にある一曲のものだった。
「……はぁ?」
学校へ来た途端同級生に尋ねられた。
「いやさ、もうすぐ文化祭じゃん? だからクラスとは別に即席バンドでもやろうと思ってさ。オマエ顔イイじゃん? だから一緒にやらないかってお誘い。ああモチロンボーカルでもいいよ」
「ボーカルやらせるつもりなら文化祭が中止になるよう仕向ける」
「ブッソウ! なら楽器は?」
「モノによるけど、練習すればある程度は……」
「ならオマエサックスな」
「……サックス?」
「オレらがやりたいの、ジャズバンドだから」
あっけらかんと告げた同級生は、呆然とする俺を気にする気配も無く、後ろで教室へ入ってきた違う奴に声を掛けに行く。尋ねてきたくせに拒否権が無かった気がした。
昼休みに音楽室の横の準備室へ俺を含めたクラスメイト数人が集められ、同級生と確か写真部の顧問だった教師によって準備室で眠っていた楽器を渡される。
どうやら同級生の案に写真部の顧問が賛同して協力してくれたという話のようだ。吹奏楽部が使っていない楽器だから、使っていいという話らしい。保存状態も良くなかなか質の良いサックスで、宝の持ち腐れだと思う。
用事があるからと準備室の戸締りをするよう言って、教師が職員室へと戻っていき、同級生が持っていたファイルから何枚かの紙を取り出した。
「やりたい曲はねぇ、コレとコレ」
渡された楽譜に書かれた題名に目を細める。
「……これ」
「斑鳩気付いた? 気付いちゃった? これ洋楽のジャズアレンジなんよ」
「お前英語の歌詞歌えんのかよ」
「カラオケはとくいー」
「オレ無理っぽい気がしてきた」
やる前から落ち込んだり呆れたりしているクラスメイト達から意識を遠ざけて、楽譜の音符を目で追った。
頭の中で音符に沿って流れる曲の主旋律は、馴染みのあるものだ。
「……斑鳩? どうした? 無理ならコイツのわがままに付き合わなくていいんだぞ?」
楽譜を見つめて黙っていた俺を不思議に思ったのか、クラスメイトが気遣ってくる。それにハッとして顔を上げれば、最初に声を掛けてきた同級生も不安そうな顔をしていた。
「……いや、大丈夫」
「ホント? オレ思い付きで突っ走るから……」
「大丈夫だぁ。俺、この曲やりてぇ」
そう言って微笑むと何故か同級生達は俺を凝視し、それから慌てて顔を逸らす。何かしただろうかと不思議に思ったが、そんなことよりもう一度楽譜を見下ろした。
音の悪い音楽プレーヤーで、今でも繰り返し聞き続ける湊さんから貰ったMD。
同級生から渡された楽譜は、その中にある一曲のものだった。