ペルソナ4
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何処にいるのか分からないのでは助けようがない。と言いたいところだか、花村の声の後ろから聞き覚えのある音楽が聞こえていた。
まさか修学旅行中の高校生の分際で、あんな場所へ行っているのかと思ったが、よく考えれば宿泊先が既に普通じゃなかったので、それに比べればマシかもしれない。
途中かつての知り合い対策に変装代わりの帽子を買って、深く被ってアイツ等が居るだろう店へ向かう。これで前かがみにでもなったら立派に荒垣さんだ。
ニット帽でもないしコートでもないが。
扉を開けた途端、薄暗くも派手な光と音楽が跋扈する店内で店員に高校生が来ていないかを尋ねれば、愛想笑いで二階の個室だと教えられた。去っていく店員に礼を言って個室へと向かえば、ソファに座る花村たちが見える。
見えるのだが、何かおかしい。
「……お前等」
「あー! 斑鳩センパイだー!」
テンションの高い久慈川が笑顔で立ち上がる。その声に反応して振り向く月森を囲うように、里中と天城と久慈川が座っていた。というかまとわり付いていた。
何故ハーレムを築いている。
何故酒の匂いもしないのに酔っている。
何故月森はシャツのボタンを全て外している。
言いたいことは色々あったが、どれも口にすることが出来ずに立ち尽くした。
いつものメンバーに何故か一人増えていることも気になったが、呆然としている俺の腕を近付いてきた久慈川が抱き締める様に掴んだので正気に戻る。
「久慈川」
「もぉー! センパイも一緒に楽しもぉ?」
「……酒は、無いんだよなぁ?」
「ありません」
花村と完二の疲れ果てた顔といったら無い。帽子を被って一人我関せずと言った具合に黙っている新メンバーが俺を訝しげに見ていた。
「場酔いって奴かぁ?」
「斑鳩センパイッ、こっちきて一緒に座りましょっ?」
胸を押し付けるように腕にしがみ付く久慈川が耳のすぐ横で喋る。可愛いとは思うんだが、このままでは何も出来ない。
まさかこの状況をどうにかしてくれということで花村は俺を呼んだのだろうかと花村を見ると、花村と意思が通じたのかこくりと頷かれる。
「久慈川悪ぃ。ちょっと離れてくれぇ」
「えーやだ! 斑鳩センパイもこっち!」
引っ張られた先はハーレムを築いている月森の傍。眠いのか何なのかよく分からないがとりあえず据わっている目が、一応こちらの会話を認識しているらしく向けられた。
「斑鳩先輩、こっち」
「いやいやいや! お前なんで先輩まで誘ってんの!?」
ありがとう花村。
思わず突っ込みを入れた花村に礼を言ってしまう。両手を広げて俺を迎え入れようとする月森が座らせようとしているのは、隣とかではなくどう見ても膝の上だった。
俺もハーレムの一人に数えられているのかと現実逃避をする間にも、久慈川に引っ張られるのを足を踏ん張って堪える。流石に年下の膝の上には座れない。
「……あー、花村」
「無理ッス」
「……OK」
既に為す術がないから俺を呼んだ花村に期待したのが悪かった。正気なのは疲れ果てている里中と花村と完二と、新メンバーらしい帽子のお嬢さん。彼女は男子の制服を着ているが確実に女だ。
今はそんなのどうでもいい。いや正直良くないかも知れないが、この現状とは関係ないので無視しよう。
とりあえず腕を掴んでいる久慈川をどうにかするかと掴まれている腕を動かした。
「久慈川」
「はぁいー?」
空いていた手で久慈川を抱き締める様に引き寄せて、驚いて緩んだ隙に掴まれていた腕をスルリと抜いて久慈川の後頭部を自分の肩へ押さえつける。引き寄せていたほうの手で背中から腰を撫でた。
ヒク、と反応したのを確かめてから耳元で、出来るだけ低い声でささやく。
「あとでかまってやるから、大人しく待ってられるなぁ?」
「……っ!?」
腕を突っ張るようにして離れた久慈川の顔が、場酔いとは違う興奮で赤くなっていた。久しぶりにやったが衰えてはいないらしい。
離れたかと思ったらその場に力なく座り込んでしまった久慈川と、一部始終を見ていて絶句している正気な奴等を無視して空いていた花村の隣へ腰を降ろした。
「せ、先輩、その」
「あー、腰抜かせただけだから大丈夫」
「いや……もういいです」
伊達に色んな人生を送ってはいない。娼婦でさえ骨抜きにすることぐらい出来なくては、こちらが骨抜きにされていたので覚えたスキルだ。高校生に使うものではないが。
「で、このにわか酔っ払い達をどうすんだぁ?」
「どうにかしてください」
「無理ぃ」
「先輩でも無理なら何も無理ッスよ」
花村と完二がため息を吐く。せっかくの修学旅行で酔っ払いの世話だなんて、正気を保っていたばかりに可哀想に。
大笑いをしている天城と目の据わっている月森が一番ヤバイ。腰を抜かしたまま座り込んでいる久慈川と正気ではあるが何故か凹んでいる里中と、既に夢の世界へ旅立っているクマは放置でも大丈夫だ。起こして宿泊先に返すか、宿泊先まで運ぶか。
悩んでいると視線が向けられていることに気付いて振り返る。帽子のお嬢さんが酷く冷静にこちらを見ていた。
「なんだぁ?」
「……いえ、話からして三年生だろう貴方が何故ここにいるのかを考えていただけです」
「コイツを連れてきたんだぁ。明日には帰る」
熟睡しているクマを指しながら言えば、お嬢さんは微妙に納得したのか分かりかねる態度で目を細める。
「斑鳩 周……さんですね?」
まさか修学旅行中の高校生の分際で、あんな場所へ行っているのかと思ったが、よく考えれば宿泊先が既に普通じゃなかったので、それに比べればマシかもしれない。
途中かつての知り合い対策に変装代わりの帽子を買って、深く被ってアイツ等が居るだろう店へ向かう。これで前かがみにでもなったら立派に荒垣さんだ。
ニット帽でもないしコートでもないが。
扉を開けた途端、薄暗くも派手な光と音楽が跋扈する店内で店員に高校生が来ていないかを尋ねれば、愛想笑いで二階の個室だと教えられた。去っていく店員に礼を言って個室へと向かえば、ソファに座る花村たちが見える。
見えるのだが、何かおかしい。
「……お前等」
「あー! 斑鳩センパイだー!」
テンションの高い久慈川が笑顔で立ち上がる。その声に反応して振り向く月森を囲うように、里中と天城と久慈川が座っていた。というかまとわり付いていた。
何故ハーレムを築いている。
何故酒の匂いもしないのに酔っている。
何故月森はシャツのボタンを全て外している。
言いたいことは色々あったが、どれも口にすることが出来ずに立ち尽くした。
いつものメンバーに何故か一人増えていることも気になったが、呆然としている俺の腕を近付いてきた久慈川が抱き締める様に掴んだので正気に戻る。
「久慈川」
「もぉー! センパイも一緒に楽しもぉ?」
「……酒は、無いんだよなぁ?」
「ありません」
花村と完二の疲れ果てた顔といったら無い。帽子を被って一人我関せずと言った具合に黙っている新メンバーが俺を訝しげに見ていた。
「場酔いって奴かぁ?」
「斑鳩センパイッ、こっちきて一緒に座りましょっ?」
胸を押し付けるように腕にしがみ付く久慈川が耳のすぐ横で喋る。可愛いとは思うんだが、このままでは何も出来ない。
まさかこの状況をどうにかしてくれということで花村は俺を呼んだのだろうかと花村を見ると、花村と意思が通じたのかこくりと頷かれる。
「久慈川悪ぃ。ちょっと離れてくれぇ」
「えーやだ! 斑鳩センパイもこっち!」
引っ張られた先はハーレムを築いている月森の傍。眠いのか何なのかよく分からないがとりあえず据わっている目が、一応こちらの会話を認識しているらしく向けられた。
「斑鳩先輩、こっち」
「いやいやいや! お前なんで先輩まで誘ってんの!?」
ありがとう花村。
思わず突っ込みを入れた花村に礼を言ってしまう。両手を広げて俺を迎え入れようとする月森が座らせようとしているのは、隣とかではなくどう見ても膝の上だった。
俺もハーレムの一人に数えられているのかと現実逃避をする間にも、久慈川に引っ張られるのを足を踏ん張って堪える。流石に年下の膝の上には座れない。
「……あー、花村」
「無理ッス」
「……OK」
既に為す術がないから俺を呼んだ花村に期待したのが悪かった。正気なのは疲れ果てている里中と花村と完二と、新メンバーらしい帽子のお嬢さん。彼女は男子の制服を着ているが確実に女だ。
今はそんなのどうでもいい。いや正直良くないかも知れないが、この現状とは関係ないので無視しよう。
とりあえず腕を掴んでいる久慈川をどうにかするかと掴まれている腕を動かした。
「久慈川」
「はぁいー?」
空いていた手で久慈川を抱き締める様に引き寄せて、驚いて緩んだ隙に掴まれていた腕をスルリと抜いて久慈川の後頭部を自分の肩へ押さえつける。引き寄せていたほうの手で背中から腰を撫でた。
ヒク、と反応したのを確かめてから耳元で、出来るだけ低い声でささやく。
「あとでかまってやるから、大人しく待ってられるなぁ?」
「……っ!?」
腕を突っ張るようにして離れた久慈川の顔が、場酔いとは違う興奮で赤くなっていた。久しぶりにやったが衰えてはいないらしい。
離れたかと思ったらその場に力なく座り込んでしまった久慈川と、一部始終を見ていて絶句している正気な奴等を無視して空いていた花村の隣へ腰を降ろした。
「せ、先輩、その」
「あー、腰抜かせただけだから大丈夫」
「いや……もういいです」
伊達に色んな人生を送ってはいない。娼婦でさえ骨抜きにすることぐらい出来なくては、こちらが骨抜きにされていたので覚えたスキルだ。高校生に使うものではないが。
「で、このにわか酔っ払い達をどうすんだぁ?」
「どうにかしてください」
「無理ぃ」
「先輩でも無理なら何も無理ッスよ」
花村と完二がため息を吐く。せっかくの修学旅行で酔っ払いの世話だなんて、正気を保っていたばかりに可哀想に。
大笑いをしている天城と目の据わっている月森が一番ヤバイ。腰を抜かしたまま座り込んでいる久慈川と正気ではあるが何故か凹んでいる里中と、既に夢の世界へ旅立っているクマは放置でも大丈夫だ。起こして宿泊先に返すか、宿泊先まで運ぶか。
悩んでいると視線が向けられていることに気付いて振り返る。帽子のお嬢さんが酷く冷静にこちらを見ていた。
「なんだぁ?」
「……いえ、話からして三年生だろう貴方が何故ここにいるのかを考えていただけです」
「コイツを連れてきたんだぁ。明日には帰る」
熟睡しているクマを指しながら言えば、お嬢さんは微妙に納得したのか分かりかねる態度で目を細める。
「斑鳩 周……さんですね?」