ペルソナ4
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SIDE クマ
「……アマネ?」
難しい漢字が多くて殆ど読めない案内図に、学校は何処かと聞こうと振り向くと知らないオジサンと目が合ってクマは慌てて目を逸らした。オジサンはそんなクマを気にした様子も無く案内図から目的地を探し出して去っていく。
その後ろにも横にもアマネの姿が無いことに気付いて、クマは一瞬どうしてかと考える。アマネは後ろから付いてきてくれていると思っていたのに。
不安を感じてアマネの名前を呼ぶもアマネが出てくることは無い。アマネはヨウスケとかと違うから、わざと姿を隠してクマの様子を観察するなんてこともしない筈だ。
だからこれは、逸れたのだと結論を出したとき、クマは来た道を戻るように走り出していた。
戻ったって乗っていた電車は既に無いだろうし、そもそもアマネがクマと逸れたことに気付いていなかったら、駅の外へ行ってしまっているかもしれない。
けれども駅の外へ一人で出て行くのはなんだか怖かったし、ここは人が多いから一人であることがとても寂しく思えてくる。
だから人混みの向こうに、フード付きの半袖ジャケットを羽織ったアマネの、長めの髪のせいで特徴的な後ろ姿を見つけたとき、クマは半分涙ぐんでいた。
「クマーン! 探したクマよアマネ!」
「ぐぉっ」
腰といわず背中といわず、タックルをかますように飛び付けばアマネが変な声を出す。踏ん張ってくれたおかげで二人揃って倒れこそしなかったが、アマネが手に持っていたらしい音楽プレーヤーがコンクリの上に落ちた。
それを、アマネの前にいた女性が拾い上げる。
「はい」
「……すみません」
「誰クマか?」
緑かかった髪をショートカットにした私服の女性だ。アマネと同じか年上なのだろうことは分かったけれど、知り合いなのかまではクマには分からなかった。クマと目が合うと控えめに微笑む。
「友達?」
「そんなものです」
アマネが敬語を使うのが珍しくて顔を見上げると、アマネの顔は緊張で少し色を失っていた。空いていた手がクマの頭に乗せられる。その手も少し震えているように思えた。
どうして可愛い女性を目の前にしてアマネが緊張しているのか分からなくて、クマはアマネの服を握り締める。
アマネが受け取った音楽プレーヤーを大切そうにポケットへしまったのを確かめて、アマネの服を引っ張った。
「アマネ、センセイ達どっか行っちゃうクマ!」
「そんなすぐに移動しねぇよ。……すみません山岸先輩」
「ううん。呼び止めてごめんなさい」
「いえ、それじゃ。……必ず、いつか連絡しますから」
クマの背を押すようにしてアマネが駅の外へ向けて歩き出す。アマネにしがみついたままクマが後ろを振り返れば、アマネに『山岸先輩』と呼ばれた女性はまだその場に立ち止まってクマとアマネを見ていた。
「……アマネ?」
難しい漢字が多くて殆ど読めない案内図に、学校は何処かと聞こうと振り向くと知らないオジサンと目が合ってクマは慌てて目を逸らした。オジサンはそんなクマを気にした様子も無く案内図から目的地を探し出して去っていく。
その後ろにも横にもアマネの姿が無いことに気付いて、クマは一瞬どうしてかと考える。アマネは後ろから付いてきてくれていると思っていたのに。
不安を感じてアマネの名前を呼ぶもアマネが出てくることは無い。アマネはヨウスケとかと違うから、わざと姿を隠してクマの様子を観察するなんてこともしない筈だ。
だからこれは、逸れたのだと結論を出したとき、クマは来た道を戻るように走り出していた。
戻ったって乗っていた電車は既に無いだろうし、そもそもアマネがクマと逸れたことに気付いていなかったら、駅の外へ行ってしまっているかもしれない。
けれども駅の外へ一人で出て行くのはなんだか怖かったし、ここは人が多いから一人であることがとても寂しく思えてくる。
だから人混みの向こうに、フード付きの半袖ジャケットを羽織ったアマネの、長めの髪のせいで特徴的な後ろ姿を見つけたとき、クマは半分涙ぐんでいた。
「クマーン! 探したクマよアマネ!」
「ぐぉっ」
腰といわず背中といわず、タックルをかますように飛び付けばアマネが変な声を出す。踏ん張ってくれたおかげで二人揃って倒れこそしなかったが、アマネが手に持っていたらしい音楽プレーヤーがコンクリの上に落ちた。
それを、アマネの前にいた女性が拾い上げる。
「はい」
「……すみません」
「誰クマか?」
緑かかった髪をショートカットにした私服の女性だ。アマネと同じか年上なのだろうことは分かったけれど、知り合いなのかまではクマには分からなかった。クマと目が合うと控えめに微笑む。
「友達?」
「そんなものです」
アマネが敬語を使うのが珍しくて顔を見上げると、アマネの顔は緊張で少し色を失っていた。空いていた手がクマの頭に乗せられる。その手も少し震えているように思えた。
どうして可愛い女性を目の前にしてアマネが緊張しているのか分からなくて、クマはアマネの服を握り締める。
アマネが受け取った音楽プレーヤーを大切そうにポケットへしまったのを確かめて、アマネの服を引っ張った。
「アマネ、センセイ達どっか行っちゃうクマ!」
「そんなすぐに移動しねぇよ。……すみません山岸先輩」
「ううん。呼び止めてごめんなさい」
「いえ、それじゃ。……必ず、いつか連絡しますから」
クマの背を押すようにしてアマネが駅の外へ向けて歩き出す。アマネにしがみついたままクマが後ろを振り返れば、アマネに『山岸先輩』と呼ばれた女性はまだその場に立ち止まってクマとアマネを見ていた。