ペルソナ4
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修学旅行で辰巳ポートアイランドの月光館学園へ行くのだと聞いた時、一瞬思考が止まってしまったのが分かった。
楽しげに話す花村達の話を聞きながら、あそこは良い所だったと懐かしくも思う。どうして修学旅行の行き先が学校なんだろうかと少し不思議にも思ったが、そこら辺は学校と教育者の都合だ。
都会というだけではしゃいでいる数名と、その都会を知っている数名。けれどもあそこはある意味離島のような所なので、月森や久慈川も楽しめるだろう。
「土産買ってきます」
「あ、ワタシも買ってくるね斑鳩先輩!」
「気ぃ使わなくていいぜぇ」
そんな会話をしている時、久保が起こした事件の頃からテレビの外へ来るようになったクマが、少し寂しげだったのには気付いていた。
「お願いクマ」
だから多分、予想は出来ていたのだ。
涙目になって俺を見上げる金髪美少年姿のクマより正直、テレビの中の着ぐるみクマのほうが可愛いとは思うが、どちらにしろ見た目年下なので弱いことに変わりは無い。
月森達が修学旅行へ行ってしまい、置いてけぼりとなってしまったクマが自分も行きたいと言い出したのだ。
俺や菜々子ちゃんだって残っているだろうと言っても、デモデモダッテを繰り返す。
「行きのお金だけだけどあるクマ! でも電車の乗り方とかよく分からないクマ」
「それで俺に頼むのかぁ?」
「クマだって先生達と一緒に旅行行きたいクマ」
泣くクマは可哀想だと思うが、俺には学校があるのだ。しかも受験生。分かっている。
分かっている筈なのに、気付けば俺はクマの頭を撫でていた。
「……まぁ、学校はサボればいいし、行きは一緒に行って乗り方を覚えれば、帰りは自分の金で帰ってこられるよなぁ?」
「ホントクマか!?」
「ああ」
修学旅行へ向かった月森達を追い駆けるようにして学校を早退し、一度家に帰ってから荷物を持ってクマと合流する。
どうしても持っていくのだと言い張るクマの着ぐるみを抱えて、むしろそれ以外の荷物を持たないで窓の外の風景を楽しげに見やるクマを見れば、この選択で間違っていなかったと考えられた。
数ヶ月ぶりになるあの場所は、別に嫌な思い出があるわけでは無いのだ。そんなもの、最初の人生で母親を亡くした時の記憶の方が嫌な思い出である。
一年半しかいなかった場所だけれど、感慨深い。
「人が多いからはぐれるなぁ」
「ヨウスケたちはどこに居るクマね?」
「まだ多分学校なんじゃねぇの?」
「あそこに地図があるクマ!」
降り立った駅はどこか懐かしい気がする。まだ離れて数ヶ月しか経っていないが、それでもどこも変わっていないのが少し嬉しい。案内図を見つけて走り出したクマに苦笑しながら、イヤホンを外して後を追い駆けようと人混みを掻き分けていく。
ふいに腕を掴まれた。
「アマネ君っ」
控えめの、何かを堪えている様な声。後ろを振り返り少し目線を下げれば緑かかった髪の色が見える。
最後に見たときと違って薄く化粧をしていた。それもそうかと頭の片隅で思う。
もう彼女は、高校生ではないのだ。
「……お久しぶりです。山岸先輩」
楽しげに話す花村達の話を聞きながら、あそこは良い所だったと懐かしくも思う。どうして修学旅行の行き先が学校なんだろうかと少し不思議にも思ったが、そこら辺は学校と教育者の都合だ。
都会というだけではしゃいでいる数名と、その都会を知っている数名。けれどもあそこはある意味離島のような所なので、月森や久慈川も楽しめるだろう。
「土産買ってきます」
「あ、ワタシも買ってくるね斑鳩先輩!」
「気ぃ使わなくていいぜぇ」
そんな会話をしている時、久保が起こした事件の頃からテレビの外へ来るようになったクマが、少し寂しげだったのには気付いていた。
「お願いクマ」
だから多分、予想は出来ていたのだ。
涙目になって俺を見上げる金髪美少年姿のクマより正直、テレビの中の着ぐるみクマのほうが可愛いとは思うが、どちらにしろ見た目年下なので弱いことに変わりは無い。
月森達が修学旅行へ行ってしまい、置いてけぼりとなってしまったクマが自分も行きたいと言い出したのだ。
俺や菜々子ちゃんだって残っているだろうと言っても、デモデモダッテを繰り返す。
「行きのお金だけだけどあるクマ! でも電車の乗り方とかよく分からないクマ」
「それで俺に頼むのかぁ?」
「クマだって先生達と一緒に旅行行きたいクマ」
泣くクマは可哀想だと思うが、俺には学校があるのだ。しかも受験生。分かっている。
分かっている筈なのに、気付けば俺はクマの頭を撫でていた。
「……まぁ、学校はサボればいいし、行きは一緒に行って乗り方を覚えれば、帰りは自分の金で帰ってこられるよなぁ?」
「ホントクマか!?」
「ああ」
修学旅行へ向かった月森達を追い駆けるようにして学校を早退し、一度家に帰ってから荷物を持ってクマと合流する。
どうしても持っていくのだと言い張るクマの着ぐるみを抱えて、むしろそれ以外の荷物を持たないで窓の外の風景を楽しげに見やるクマを見れば、この選択で間違っていなかったと考えられた。
数ヶ月ぶりになるあの場所は、別に嫌な思い出があるわけでは無いのだ。そんなもの、最初の人生で母親を亡くした時の記憶の方が嫌な思い出である。
一年半しかいなかった場所だけれど、感慨深い。
「人が多いからはぐれるなぁ」
「ヨウスケたちはどこに居るクマね?」
「まだ多分学校なんじゃねぇの?」
「あそこに地図があるクマ!」
降り立った駅はどこか懐かしい気がする。まだ離れて数ヶ月しか経っていないが、それでもどこも変わっていないのが少し嬉しい。案内図を見つけて走り出したクマに苦笑しながら、イヤホンを外して後を追い駆けようと人混みを掻き分けていく。
ふいに腕を掴まれた。
「アマネ君っ」
控えめの、何かを堪えている様な声。後ろを振り返り少し目線を下げれば緑かかった髪の色が見える。
最後に見たときと違って薄く化粧をしていた。それもそうかと頭の片隅で思う。
もう彼女は、高校生ではないのだ。
「……お久しぶりです。山岸先輩」