ペルソナ4
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久保美津雄が逮捕されて、犯人が捕まったと月森達も肩の荷が降りたとばかりに夏休みを満喫していた。
無論俺も夏休みなのではあるが、受験生として一応夏期講習に通っているので、あまり夏休みという気がしない。
講習が終われば今度は一年の完二と久慈川の補習の面倒だ。
完二は不登校による出席日数が少ない為、久慈川は転校してきたというのとアイドル稼業で勉強が遅れがちだったらしい。たまたま二人がいることに気付いて話しかけたらいつの間にか教師に頼まれていた。
実のところ俺自身、講習にわざわざ通わなくていいのだが、クラスメイト達に半泣きで講習に顔出ししてくれと頼まれたのである。なんでも教師より俺に教わるほうが分かりやすいらしい。なので講習のほうでも基本教える側である。
講習だって夏休みの間ずっと行う訳ではないからいいが、なんだか二年前にも同じ様な状況があった様な。
「……で、ここはこの公式を使う」
「これッスか?」
指差した先の公式と解いてる途中の数式を何度も見比べながら書いていく完二の隣で、久慈川が英文に悩まされている。
開けていてもぬるい風しか入ってこない窓の外から、部活の学生の声がした。
「斑鳩先輩、これなんて読むんですか?」
「ジムが試験に合格したら」
「これは?」
「久慈川、辞書引けぇ」
「つか、英語で歌ったりしてんだろお前。なんで英語できねぇんだよ?」
「あのねぇ、歌詞と英文は違うの! あーもう、英語なんてムリッ」
シャーペンを机の上に放り投げた久慈川が不貞腐れたように机へ伏せる。
思わず完二と顔を見合わせると、完二は肩をすくめて数式に向かう。勉強遅れなところはあるが、基本真面目ではあるのだ。
「Impara l'arte e mettila da parte 」
「なんですかそれ。英語?」
「イタリア語。芸は身を助けるって意味。歌詞が理解できるなら、同じ要領で英文も出来んだろぉ」
「斑鳩先輩イタリア語出来るの?」
一応は元母国語である。まぁそれを言っても仕方がないので曖昧に返すと興味を持ったのか、久慈川が顔を上げた。
「他には何か知ってますか?」
「何語がいい?」
「何でもいいんですか? じゃあ、ラテン語! なんかカッコイイし」
「……Difficile est tenere quae acceperis nisi exerceas.」
久慈川も聞いていた完二もどういう意味か分からないらしく首を傾げる。同じ様な顔をしてるなと思いながら久慈川のノートの隅に筆記体で書いてみせた。
変な感歎の声を上げる二人がノートへ書かれた一文を覗き込んでから、同時に顔を上げる。
「意味は?」
「調べてみろぉ」
「や、でも今辞書無いッスよ」
「ホラ聞いたか久慈川。完二はちゃんとまず辞書を引こうと……」
「あーもうそういうのはイイですから、センパイ、意味!」
短絡的に答えを求める姿というのは、誰であっても幼く可愛いものだとは思いもするが、久慈川は少しくらい自分で調べる誠意を見せてほしかった。
「『もし学んだことを練習しなければ、学習したものを保持することは困難である』」
「つまり?」
「勉強して学んだらそれを維持する努力もしろ。復習は大切だってことだぁ」
無論俺も夏休みなのではあるが、受験生として一応夏期講習に通っているので、あまり夏休みという気がしない。
講習が終われば今度は一年の完二と久慈川の補習の面倒だ。
完二は不登校による出席日数が少ない為、久慈川は転校してきたというのとアイドル稼業で勉強が遅れがちだったらしい。たまたま二人がいることに気付いて話しかけたらいつの間にか教師に頼まれていた。
実のところ俺自身、講習にわざわざ通わなくていいのだが、クラスメイト達に半泣きで講習に顔出ししてくれと頼まれたのである。なんでも教師より俺に教わるほうが分かりやすいらしい。なので講習のほうでも基本教える側である。
講習だって夏休みの間ずっと行う訳ではないからいいが、なんだか二年前にも同じ様な状況があった様な。
「……で、ここはこの公式を使う」
「これッスか?」
指差した先の公式と解いてる途中の数式を何度も見比べながら書いていく完二の隣で、久慈川が英文に悩まされている。
開けていてもぬるい風しか入ってこない窓の外から、部活の学生の声がした。
「斑鳩先輩、これなんて読むんですか?」
「ジムが試験に合格したら」
「これは?」
「久慈川、辞書引けぇ」
「つか、英語で歌ったりしてんだろお前。なんで英語できねぇんだよ?」
「あのねぇ、歌詞と英文は違うの! あーもう、英語なんてムリッ」
シャーペンを机の上に放り投げた久慈川が不貞腐れたように机へ伏せる。
思わず完二と顔を見合わせると、完二は肩をすくめて数式に向かう。勉強遅れなところはあるが、基本真面目ではあるのだ。
「Impara l'arte e mettila da parte 」
「なんですかそれ。英語?」
「イタリア語。芸は身を助けるって意味。歌詞が理解できるなら、同じ要領で英文も出来んだろぉ」
「斑鳩先輩イタリア語出来るの?」
一応は元母国語である。まぁそれを言っても仕方がないので曖昧に返すと興味を持ったのか、久慈川が顔を上げた。
「他には何か知ってますか?」
「何語がいい?」
「何でもいいんですか? じゃあ、ラテン語! なんかカッコイイし」
「……Difficile est tenere quae acceperis nisi exerceas.」
久慈川も聞いていた完二もどういう意味か分からないらしく首を傾げる。同じ様な顔をしてるなと思いながら久慈川のノートの隅に筆記体で書いてみせた。
変な感歎の声を上げる二人がノートへ書かれた一文を覗き込んでから、同時に顔を上げる。
「意味は?」
「調べてみろぉ」
「や、でも今辞書無いッスよ」
「ホラ聞いたか久慈川。完二はちゃんとまず辞書を引こうと……」
「あーもうそういうのはイイですから、センパイ、意味!」
短絡的に答えを求める姿というのは、誰であっても幼く可愛いものだとは思いもするが、久慈川は少しくらい自分で調べる誠意を見せてほしかった。
「『もし学んだことを練習しなければ、学習したものを保持することは困難である』」
「つまり?」
「勉強して学んだらそれを維持する努力もしろ。復習は大切だってことだぁ」