ペルソナ4
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SIDE 月森
成り行きで一緒に行動することになったシルビは、月森達とは比べ物にはならないほど強かった。
立ちはだかるシャドウを片っ端から、という訳では無いけれど殆どを一人で、腰に差していたナイフと足技を使って倒していく。どちらかというと踊りでも踊っているんじゃないかと思う程滑らかで流れるような動きに、思わず見蕩れてしてしまう。
「コラコラ、ボンヤリしてるとやられるぞぉ」
その場で最後のシャドウを倒したその姿勢のまま振り返ったシルビが月森達を見て苦笑した。斑鳩と同じ顔なので、斑鳩が笑っているように思えて月森は落ち着かない。
まだそう親しいわけではないあの先輩は、月森の前でそんな風に笑った事は無かった。
もっと明日が来る事に怯えるかのような、どうなっても構わないと考えているような、厭世的で全部が他人事の様な態度を取っている。そのくせほんの僅かな先の未来を欲していて、なのに今日が過ぎ去るのを嫌がるような目で全てを見ていた。
「シルビは、斑鳩先輩に会った事があるのか?」
「あるぜぇ」
先頭を交代してシルビと一緒に後衛に下がる。月森はペルソナを変えて援護役に、シルビは少し休憩だ。
「どう思った?」
「漠然とした質問だなぁそりゃ。……胸糞悪い子供だと思うかなぁ」
シルビは平然と言う。
「胸糞悪い子供?」
「そう。多分幼少期の出来事がそれだけショックだったんだろうがなぁ。それ以来無意識に怯え続けてやがる。その恐怖から逃げる為に選んだ方法は、アイツにとって良くない考え方だったのに成功しちまった。だからそれでいいと思い込んで有頂天になって、二年前失敗したことが信じられず壁にぶつかり続けててよ。お前は壊れたコントローラーに操作されてんのかってんだぁ。いい加減にしろってことでオレが怒ったら、オレにも愛想尽かされたと思って落ち込んで戸惑い続けて、違う方法を模索することももう一度試すことも出来なくなってやがる」
言っていることはきつい部分もあるというのに、シルビの口調は可愛くて仕方が無い子供のことを話しているかのようにやさしい。
シルビの事は話を聞いて更に分かりづらくなったけれど、同時に分かったシルビと斑鳩の関係でシルビの正体に気付いた。
「先輩のこと、襲う?」
「襲わねぇよ。一回ぐらい蹴るかも知れねぇけど、アレでも『俺』だからなぁ」
目を細めて微笑むシルビが、一瞬悲しそうな顔をした気がする。
「オレにはあの馬鹿を殺せねぇし、まだ死んで欲しくも死なせたくもねぇ」
成り行きで一緒に行動することになったシルビは、月森達とは比べ物にはならないほど強かった。
立ちはだかるシャドウを片っ端から、という訳では無いけれど殆どを一人で、腰に差していたナイフと足技を使って倒していく。どちらかというと踊りでも踊っているんじゃないかと思う程滑らかで流れるような動きに、思わず見蕩れてしてしまう。
「コラコラ、ボンヤリしてるとやられるぞぉ」
その場で最後のシャドウを倒したその姿勢のまま振り返ったシルビが月森達を見て苦笑した。斑鳩と同じ顔なので、斑鳩が笑っているように思えて月森は落ち着かない。
まだそう親しいわけではないあの先輩は、月森の前でそんな風に笑った事は無かった。
もっと明日が来る事に怯えるかのような、どうなっても構わないと考えているような、厭世的で全部が他人事の様な態度を取っている。そのくせほんの僅かな先の未来を欲していて、なのに今日が過ぎ去るのを嫌がるような目で全てを見ていた。
「シルビは、斑鳩先輩に会った事があるのか?」
「あるぜぇ」
先頭を交代してシルビと一緒に後衛に下がる。月森はペルソナを変えて援護役に、シルビは少し休憩だ。
「どう思った?」
「漠然とした質問だなぁそりゃ。……胸糞悪い子供だと思うかなぁ」
シルビは平然と言う。
「胸糞悪い子供?」
「そう。多分幼少期の出来事がそれだけショックだったんだろうがなぁ。それ以来無意識に怯え続けてやがる。その恐怖から逃げる為に選んだ方法は、アイツにとって良くない考え方だったのに成功しちまった。だからそれでいいと思い込んで有頂天になって、二年前失敗したことが信じられず壁にぶつかり続けててよ。お前は壊れたコントローラーに操作されてんのかってんだぁ。いい加減にしろってことでオレが怒ったら、オレにも愛想尽かされたと思って落ち込んで戸惑い続けて、違う方法を模索することももう一度試すことも出来なくなってやがる」
言っていることはきつい部分もあるというのに、シルビの口調は可愛くて仕方が無い子供のことを話しているかのようにやさしい。
シルビの事は話を聞いて更に分かりづらくなったけれど、同時に分かったシルビと斑鳩の関係でシルビの正体に気付いた。
「先輩のこと、襲う?」
「襲わねぇよ。一回ぐらい蹴るかも知れねぇけど、アレでも『俺』だからなぁ」
目を細めて微笑むシルビが、一瞬悲しそうな顔をした気がする。
「オレにはあの馬鹿を殺せねぇし、まだ死んで欲しくも死なせたくもねぇ」