ペルソナ4
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「ようこそ、ベルベットルームへ」
青い部屋の青い住人に迎えられて椅子へ座る。ここは悩み相談室かと思ったが黙っておいた。
「……プリン作った。良ければ」
「ありがとうございます」
イゴールとマーガレットが手を出してそれを食べる様子を眺め、窓の外の光景に目を移す。
絶え間なく走り続けているらしい車に、誰が運転しているのだろうかなんて少し思った。
「ご馳走様でした。さて、本題に入りましょうか」
食べ終えたらしいイゴールの口元に食べかすが付いている。
「……この部屋も、『あの人』の時みたいに客が答えを見つけたら到着すんのかぁ?」
「ええ。用件はそれですかな」
「俺以外のペルソナ使いに会った。あいつ等の誰かがここの客だろうがそれはさておき、彼等はどうやってペルソナを召喚してんだぁ?」
「彼等、ああ絆の方々ですね。あの方達は貴方とはまた違う方法で手に入れ、召喚方法をしております」
プリンの空き容器を脇に避けて、イゴールが青いタロットカードをテーブルへ乗せた。何処かで見覚えのあるものだと思ったが、確かこれは里中がペルソナを手に入れた時に見たカードと同じ造りの物だ。
目の前に置かれているカードの絵柄は、刑死者ともいう吊るされた男。
「……俺、タロットカードには詳しくねぇんだよ」
「存じております。これはただの説明の為のイメージとお思いください」
「イメージ」
珍しいなと思いつつ再びテーブルの上のカードを見やる。正位置とかそれすらも分からないこともイゴールは知っている気がするので、この場合見るべきは本当にこの絵柄でいいのだと思われた。
文字が俺から見て逆さまなので、カードに書かれている男は宙に浮かんでいて、足を縛り地面に留めているようにも見えた。本来なら紐にぶら下がっているのは男の方だろうが、逆さまだと飛んでいってしまいそうな男を紐で飛んでいかないように抑えている様だ。
まさに今の『あの人』の役割。
「貴方はまさに、この男でしょうな」
「え?」
「この紐が切れれば何処へとも知れず飛んでいってしまう。いわばこの紐は貴方が貴方である為の命綱なのです。貴方を縛る紐は今、とても細いように見受けられます」
「細い?」
「飛んでいかぬよう、太くすることをお勧め致しましょう」
イゴールはそう言ってニヤリといつもの笑みを浮かべた。正直口の端の食べかすが台無しにしているのだが、マーガレットは何も言わない。
細い紐。イゴールが言いたいのは俺に絆が無いということだろうか。俺を何かに留めている絆が細く、それが切れれば俺は何処へとも無く消える。消えるというのはこの場合、全てを忘れるということなんじゃないかと思った。
例えばきっと『×××』が使えた頃は太かったに違いない。その力を持っているという自信が多くの人との関わりを受け入れた。でも二年前『あの人』がいなくなったことで細くなっているとしたら。
切れたとき、俺は『あの人』のことさえ忘れる。もしかしたら俺が生きてきた全ても。
青い部屋の青い住人に迎えられて椅子へ座る。ここは悩み相談室かと思ったが黙っておいた。
「……プリン作った。良ければ」
「ありがとうございます」
イゴールとマーガレットが手を出してそれを食べる様子を眺め、窓の外の光景に目を移す。
絶え間なく走り続けているらしい車に、誰が運転しているのだろうかなんて少し思った。
「ご馳走様でした。さて、本題に入りましょうか」
食べ終えたらしいイゴールの口元に食べかすが付いている。
「……この部屋も、『あの人』の時みたいに客が答えを見つけたら到着すんのかぁ?」
「ええ。用件はそれですかな」
「俺以外のペルソナ使いに会った。あいつ等の誰かがここの客だろうがそれはさておき、彼等はどうやってペルソナを召喚してんだぁ?」
「彼等、ああ絆の方々ですね。あの方達は貴方とはまた違う方法で手に入れ、召喚方法をしております」
プリンの空き容器を脇に避けて、イゴールが青いタロットカードをテーブルへ乗せた。何処かで見覚えのあるものだと思ったが、確かこれは里中がペルソナを手に入れた時に見たカードと同じ造りの物だ。
目の前に置かれているカードの絵柄は、刑死者ともいう吊るされた男。
「……俺、タロットカードには詳しくねぇんだよ」
「存じております。これはただの説明の為のイメージとお思いください」
「イメージ」
珍しいなと思いつつ再びテーブルの上のカードを見やる。正位置とかそれすらも分からないこともイゴールは知っている気がするので、この場合見るべきは本当にこの絵柄でいいのだと思われた。
文字が俺から見て逆さまなので、カードに書かれている男は宙に浮かんでいて、足を縛り地面に留めているようにも見えた。本来なら紐にぶら下がっているのは男の方だろうが、逆さまだと飛んでいってしまいそうな男を紐で飛んでいかないように抑えている様だ。
まさに今の『あの人』の役割。
「貴方はまさに、この男でしょうな」
「え?」
「この紐が切れれば何処へとも知れず飛んでいってしまう。いわばこの紐は貴方が貴方である為の命綱なのです。貴方を縛る紐は今、とても細いように見受けられます」
「細い?」
「飛んでいかぬよう、太くすることをお勧め致しましょう」
イゴールはそう言ってニヤリといつもの笑みを浮かべた。正直口の端の食べかすが台無しにしているのだが、マーガレットは何も言わない。
細い紐。イゴールが言いたいのは俺に絆が無いということだろうか。俺を何かに留めている絆が細く、それが切れれば俺は何処へとも無く消える。消えるというのはこの場合、全てを忘れるということなんじゃないかと思った。
例えばきっと『×××』が使えた頃は太かったに違いない。その力を持っているという自信が多くの人との関わりを受け入れた。でも二年前『あの人』がいなくなったことで細くなっているとしたら。
切れたとき、俺は『あの人』のことさえ忘れる。もしかしたら俺が生きてきた全ても。