序
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アレン視点
シルビとの任務ではイノセンスは見つからなかった。そう毎回当たりである事の方が珍しいのだと教えられて納得はしたが、代わりに大量だったアクマの討伐もそれはそれで大変だったのである。
帰りの列車の中でシルビに書き方を教えてもらいながら報告書を書く。アレンはちゃんとした教育を受けたことがないから実のところ字を書くのは苦手だ。そんなアレンに対してもシルビは口角を上げるだけで文句も言わず単語の一つ一つから丁寧に教えてくれた。
結局あの村で起きていた奇怪現象はアクマが原因で、流行病で死んだ両親の魂を呼び出してしまった兄妹によって村のほぼ半分がアクマへと変わり果てていたのである。アクマを倒し怪奇現象は解決したけれど、きっとあの村は近いうちに地図から姿を消すだろう。
アレンはその兄妹の兄のほうと対峙した。消滅する間際、両親と妹に謝罪の言葉を告げていた姿を見ている。
「……あの家族は、一緒に眠れるんでしょうか」
定期的に揺れる列車の中。のどかな光景が流れていく。
「無理だろぉ」
シルビの返事は無情、あるいは無碍もなかった。
「アクマと契約した人間の末路は地獄だと決まってる。アクマになって後悔したからって、それだけで天国で眠れるようなら人は誰も地獄に堕ちねぇ」
「でもせめて安らかに……」
ぐるり、と窓の外を眺めていたシルビの目が動いてアレンを映す。初めて会った時と同じ虚空の様な目だ。
やはりたった一瞬のそれではあったけれど、アレンには何故シルビがそんな目をするのかなんて分からなかった。そもそも付き合いが浅い。
「――安らかに眠ることも、許されないんですか」
「……ふふっ」
シルビが笑う。嘲笑の様なタイミングではあったが、聞こえたそれは決してアレンを馬鹿にしている訳では無いのだと分かる声色に、アレンはシルビが何かを言うのを待った。
優しい声色だったのだ。
「少なくとも俺は安らかになんて眠れてねぇよ」
列車が揺れる。汽笛の音。
もうすぐ降りる予定の駅に着くと個室の外から話しかけられてシルビが何事も無かったかのように返事をした。荷物をまとめるように促されてアレンも書き終わらなかった報告書を片付ける。
シルビは教団に戻ってから書くらしく紙も何も出していなかったからアレンの様に慌てることもない。
「報告書の残りは教団に戻ったら一緒に書くかぁ。それにしても神田は書き方教えてくれなかったのかぁ?」
「一応教えてくれたんですけどサッパリで」
「あの子は面倒見が悪ぃからなぁ」
最後の言葉の意味を聞くタイミングは完全に失ってしまった。
シルビとの任務ではイノセンスは見つからなかった。そう毎回当たりである事の方が珍しいのだと教えられて納得はしたが、代わりに大量だったアクマの討伐もそれはそれで大変だったのである。
帰りの列車の中でシルビに書き方を教えてもらいながら報告書を書く。アレンはちゃんとした教育を受けたことがないから実のところ字を書くのは苦手だ。そんなアレンに対してもシルビは口角を上げるだけで文句も言わず単語の一つ一つから丁寧に教えてくれた。
結局あの村で起きていた奇怪現象はアクマが原因で、流行病で死んだ両親の魂を呼び出してしまった兄妹によって村のほぼ半分がアクマへと変わり果てていたのである。アクマを倒し怪奇現象は解決したけれど、きっとあの村は近いうちに地図から姿を消すだろう。
アレンはその兄妹の兄のほうと対峙した。消滅する間際、両親と妹に謝罪の言葉を告げていた姿を見ている。
「……あの家族は、一緒に眠れるんでしょうか」
定期的に揺れる列車の中。のどかな光景が流れていく。
「無理だろぉ」
シルビの返事は無情、あるいは無碍もなかった。
「アクマと契約した人間の末路は地獄だと決まってる。アクマになって後悔したからって、それだけで天国で眠れるようなら人は誰も地獄に堕ちねぇ」
「でもせめて安らかに……」
ぐるり、と窓の外を眺めていたシルビの目が動いてアレンを映す。初めて会った時と同じ虚空の様な目だ。
やはりたった一瞬のそれではあったけれど、アレンには何故シルビがそんな目をするのかなんて分からなかった。そもそも付き合いが浅い。
「――安らかに眠ることも、許されないんですか」
「……ふふっ」
シルビが笑う。嘲笑の様なタイミングではあったが、聞こえたそれは決してアレンを馬鹿にしている訳では無いのだと分かる声色に、アレンはシルビが何かを言うのを待った。
優しい声色だったのだ。
「少なくとも俺は安らかになんて眠れてねぇよ」
列車が揺れる。汽笛の音。
もうすぐ降りる予定の駅に着くと個室の外から話しかけられてシルビが何事も無かったかのように返事をした。荷物をまとめるように促されてアレンも書き終わらなかった報告書を片付ける。
シルビは教団に戻ってから書くらしく紙も何も出していなかったからアレンの様に慌てることもない。
「報告書の残りは教団に戻ったら一緒に書くかぁ。それにしても神田は書き方教えてくれなかったのかぁ?」
「一応教えてくれたんですけどサッパリで」
「あの子は面倒見が悪ぃからなぁ」
最後の言葉の意味を聞くタイミングは完全に失ってしまった。