閑話20
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レオナルド視点
レオから携帯を借りた院長が名乗って、レオには意味の分からないことを言った途端、傍で聞いていたクラウスとスティーブンが反応したのには気付いた。もっと顕著だったのはレオのすぐ脇に燃え上がった炎の輪から手が伸びてきて、院長へ掴み掛かったシルビだろうか。
一瞬で姿を現したシルビは、レオ達が驚いた院長が本の姿をした異界存在であるという事実も気に止めず、今までに見たことのない勢いで院長へと詰め寄る。
「俺の『眼』はぁ!?」
必死な様子でその『眼』の在処を尋ねるシルビに、レオは驚きながらも慌てて院長から引き剥がした。初対面であろう相手に失礼だと思ったのと、シルビの動揺ぶりが少し怖くもあったからだ。
「ちょっ、落ち付けって!」
「これが落ち着いて――」
「レオの言う通りだ。落ち着き給え」
レオのことを振り払おうとしたシルビの肩へ、近づいてきたクラウスが手を置く。睨むように振り返ったシルビがレオとクラウスを見た。珍しい色である眼の中で、開ききっていた瞳孔が緩やかに戻っていく。
妹のミシェーラの視力を代償に与えられたレオの【神々の義眼】とは違い、シルビ生来の眼であるはずのそれはしかし、ちゃんと両目とも揃っている。だからシルビが『眼』は何処だと叫ぶ理由などレオには分からない。
「……すみません」
肩を上下させて無理矢理深呼吸し、落ち着いたシルビがやんわりとレオの手を払う。それから改めて院長へ向き直るのにやっぱりまだ動揺しているのかと思ったのは、シルビが意識してレオへ話しかけなかったように見えたからだ。
もしくは、レオに知られたくない何かがあったのか。
「俺の『眼』は……本?」
「私の姿が異様でしょうか」
「いや、……違う。俺は貴方を見た」
「ほう?」
「今日の夢で、でもあれは『眼』の見てる光景で……四年前から」
額を押さえて考え込むように俯いたシルビは、けれどもすぐに顔を上げて院長を見た。
「アレは俺の一部です。返していただけますか」
「当院は遍く生物の治療が目的です。貴方がそうして回復を望むのでしたら」
身体を支えている針金の様な杖の先端で床を突いた院長が、シルビを先導するように移動し始める。それへ付いて行こうとするシルビの腕を、レオは咄嗟に掴んでしまった。
不思議そうに振り返るシルビは、いつもの彼だ。
「レオ君?」
「あ、っと、……オレも付いてっていい?」
思いついたままに言ってしまってから、シルビが困ったように微笑むのを見て、拙かったかなと後悔した。
「駄目」
拒絶。
レオから携帯を借りた院長が名乗って、レオには意味の分からないことを言った途端、傍で聞いていたクラウスとスティーブンが反応したのには気付いた。もっと顕著だったのはレオのすぐ脇に燃え上がった炎の輪から手が伸びてきて、院長へ掴み掛かったシルビだろうか。
一瞬で姿を現したシルビは、レオ達が驚いた院長が本の姿をした異界存在であるという事実も気に止めず、今までに見たことのない勢いで院長へと詰め寄る。
「俺の『眼』はぁ!?」
必死な様子でその『眼』の在処を尋ねるシルビに、レオは驚きながらも慌てて院長から引き剥がした。初対面であろう相手に失礼だと思ったのと、シルビの動揺ぶりが少し怖くもあったからだ。
「ちょっ、落ち付けって!」
「これが落ち着いて――」
「レオの言う通りだ。落ち着き給え」
レオのことを振り払おうとしたシルビの肩へ、近づいてきたクラウスが手を置く。睨むように振り返ったシルビがレオとクラウスを見た。珍しい色である眼の中で、開ききっていた瞳孔が緩やかに戻っていく。
妹のミシェーラの視力を代償に与えられたレオの【神々の義眼】とは違い、シルビ生来の眼であるはずのそれはしかし、ちゃんと両目とも揃っている。だからシルビが『眼』は何処だと叫ぶ理由などレオには分からない。
「……すみません」
肩を上下させて無理矢理深呼吸し、落ち着いたシルビがやんわりとレオの手を払う。それから改めて院長へ向き直るのにやっぱりまだ動揺しているのかと思ったのは、シルビが意識してレオへ話しかけなかったように見えたからだ。
もしくは、レオに知られたくない何かがあったのか。
「俺の『眼』は……本?」
「私の姿が異様でしょうか」
「いや、……違う。俺は貴方を見た」
「ほう?」
「今日の夢で、でもあれは『眼』の見てる光景で……四年前から」
額を押さえて考え込むように俯いたシルビは、けれどもすぐに顔を上げて院長を見た。
「アレは俺の一部です。返していただけますか」
「当院は遍く生物の治療が目的です。貴方がそうして回復を望むのでしたら」
身体を支えている針金の様な杖の先端で床を突いた院長が、シルビを先導するように移動し始める。それへ付いて行こうとするシルビの腕を、レオは咄嗟に掴んでしまった。
不思議そうに振り返るシルビは、いつもの彼だ。
「レオ君?」
「あ、っと、……オレも付いてっていい?」
思いついたままに言ってしまってから、シルビが困ったように微笑むのを見て、拙かったかなと後悔した。
「駄目」
拒絶。