―幻界病棟ライゼス―
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騒がしい声がする。血の匂いが鼻を突く。だが動けない。
悲鳴が聞こえる。潰れてしまう。壊れてしまう。
それを一番悲しむのは誰だ。
崩壊の音は聞こえまいか。聞こえたのだ。そうしてやめてくれと懇願した。
夢はその先。微睡み続けている。
「……やべ」
パソコン画面を見つめたまま白昼夢を見るようにぼんやりしていたらしい。時計を確認すれば記憶にある時間から一時間近くも経っている。慌てて携帯を確認しても連絡は何も来ていない。
レオ達はどうなったのかとGPSを確認すれば、彼らは駆けつけたクラウス達とちゃんと一緒にいるようだった。合流出来たのであれば問題は無さそうだなと判断して、あと少しというところだったプログラムを完成させる。
自分の携帯でアップデートを試し動作確認をすれば、レオがアプリを起動したらしいログが新しく出来ていた。血界の眷属と接触したのだろうかと思って、レオへ電話を掛ける。
数回の接続音の後、電話の向こうで聞こえたレオの声。
『シルビ?』
「 今大丈夫かぁ? アプリを起動させたみてぇだけど、血界の眷属に遭遇した?」
『ああうん。でも大丈夫だよ』
声の調子からして本当に大丈夫だったのだろう。安堵の息を吐く。
レオの背後からは例の不審な病院へ居るのか救急要請の声が聞こえていた。その声を聞く限りごくまともそうな病院のようだ。結局その病院が現れた理由や原因が分かったのかは分からないが、これならザップも平気だろう。
もう戻ってくるのかと尋ねようとすると、レオの後ろから声がした。声が小さいのは携帯から遠いからだろう。男性的で訝しげな声。
『シルビ? シルビ・“テトラ・グラマト”?』
『え?』
「……そうですが、どちら様ですか?」
聞き覚えのない声にレオが警戒している様子はない。なのでこの声の持ち主はレオへ害を為す事はないと判断して返事を返す。
『百年前に使っていた』ほうの自分の名前を知っているという点で、相手は普通の相手ではないと分かった。裏社会の関係者か、それとも魔術世界関連へ足を踏み入れている者か。少なくとも普通の一般人である可能性はシルビのフルネームに反応した時点で無い。
ヘルサレムズ・ロットでは異界存在という可能性もあるが、それがシルビのことを知っているかと考えるとあまり知らないだろうなと考えて返事を待つ。
レオから携帯を借り受けたのか、声が近くなった。
『私はブラットベリ総合病院の院長、マグラ・ド・グラナ。……当院では貴方の【眼】を一つ、保管しております』
シルビの手から携帯が落ちる。
悲鳴が聞こえる。潰れてしまう。壊れてしまう。
それを一番悲しむのは誰だ。
崩壊の音は聞こえまいか。聞こえたのだ。そうしてやめてくれと懇願した。
夢はその先。微睡み続けている。
「……やべ」
パソコン画面を見つめたまま白昼夢を見るようにぼんやりしていたらしい。時計を確認すれば記憶にある時間から一時間近くも経っている。慌てて携帯を確認しても連絡は何も来ていない。
レオ達はどうなったのかとGPSを確認すれば、彼らは駆けつけたクラウス達とちゃんと一緒にいるようだった。合流出来たのであれば問題は無さそうだなと判断して、あと少しというところだったプログラムを完成させる。
自分の携帯でアップデートを試し動作確認をすれば、レオがアプリを起動したらしいログが新しく出来ていた。血界の眷属と接触したのだろうかと思って、レオへ電話を掛ける。
数回の接続音の後、電話の向こうで聞こえたレオの声。
『シルビ?』
「 今大丈夫かぁ? アプリを起動させたみてぇだけど、血界の眷属に遭遇した?」
『ああうん。でも大丈夫だよ』
声の調子からして本当に大丈夫だったのだろう。安堵の息を吐く。
レオの背後からは例の不審な病院へ居るのか救急要請の声が聞こえていた。その声を聞く限りごくまともそうな病院のようだ。結局その病院が現れた理由や原因が分かったのかは分からないが、これならザップも平気だろう。
もう戻ってくるのかと尋ねようとすると、レオの後ろから声がした。声が小さいのは携帯から遠いからだろう。男性的で訝しげな声。
『シルビ? シルビ・“テトラ・グラマト”?』
『え?』
「……そうですが、どちら様ですか?」
聞き覚えのない声にレオが警戒している様子はない。なのでこの声の持ち主はレオへ害を為す事はないと判断して返事を返す。
『百年前に使っていた』ほうの自分の名前を知っているという点で、相手は普通の相手ではないと分かった。裏社会の関係者か、それとも魔術世界関連へ足を踏み入れている者か。少なくとも普通の一般人である可能性はシルビのフルネームに反応した時点で無い。
ヘルサレムズ・ロットでは異界存在という可能性もあるが、それがシルビのことを知っているかと考えるとあまり知らないだろうなと考えて返事を待つ。
レオから携帯を借り受けたのか、声が近くなった。
『私はブラットベリ総合病院の院長、マグラ・ド・グラナ。……当院では貴方の【眼】を一つ、保管しております』
シルビの手から携帯が落ちる。