閑話17
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「いや! モルツォグァッツァでバイトするとは誰も思わないだろ!? せいぜいその辺のファミレスだと思うに決まってるだろ!」
「オレお前の料理食ってたけど気付かなかったよ!? 気付かなかったんだけどぉ!?」
「とても美味しい料理だった」
モルツォグァッツァでバイトする事になった経緯については、以前スティーブンへは伝えているので何とも言えないが、確かにバイトと聞いて高級レストランを想定はしにくいだろう。レオが気付かなかったのも、高級レストランの料理といつもの家庭料理では材料の質や作る時に込める印象が違っているからだ。
それに設備も違う。泡立てる動作一つとっても手動と自動では雲泥の差があるのだから、シルビも自動泡立て器が欲しい。実家にはあるのだがヘルサレムズ・ロットへ来るにあたり、手動でいいかと持ってこなかったのである。実家でシルビ以外の誰かが使っているとは思えない。
クラウスからは安定の誉め言葉を頂けて少し嬉しかった。
「いやでもホラ、店名言ってなかったのは俺の落ち度ですけど、皆も聞いてこなかったし、聞いたところで食べに来ましたぁ?」
「……行かないな」
「でしょう? なら別に言っても言わなくても支障は無かったっていうかぁ」
「本っ当に情報共有って言葉を知らないな君は!」
「要点だけを押さえて無駄を省くという……」
「全部分かってるのが君だけという事態に関しては」
「特には?」
首を傾げながら言えばスティーブンが脱力して、再び机へ突っ伏す。ギルベルトはいつの間にか落ち着きを取り戻してデザートを食べていた。一度即死と勘違いしたほどの物をそうも簡単に再び食べ進めているところは、流石としか言いようがない。
シルビもローテーブルへ置かれていたもう一つの皿を手に取る。自分で作った物なので、シルビが死にかけたりトランス状態へ陥ることはない。
「美味しいですねえ」
「自分で作った物を誉めるのはなんかなぁ。レオ君食べるかぁ?」
フォークの先へ突き刺してレオへ差し出せば、レオは唾を飲み込んだ後凄い勢いで首を横へ振った。トランスしたくないということなのだろうが、なかなかに失礼な態度である。
「じゃあクラウスさん如何です?」
「なら頂こう」
「あーん」
シルビの申し出を受けたクラウスへフォークを差し出せば、クラウスは少し戸惑いながらも口を開いた。
「うむ。とても美味しい」
咀嚼したクラウスの背後に、花が舞うイメージを脳内保管しながら微笑めばクラウスも少し目元を緩めた。せっかくなのでもう一口と思いもう一度フォークを差し出せば、クラウスも今度は慣れた様子で口を開く。
やはり美味しそうに食べてもらえるのは嬉しく、モルツォグァッツァで作る時も、ライブラの事務所や家で作る時もその思いだけは変わらない。
だからそう、視界の端でレオが瞠目していたりスティーブンがもう何も言えないとばかりに手で目元を覆っていたのは、美味しそうに食べるクラウスを眺めているシルビからすれば些細なことだ。
「オレお前の料理食ってたけど気付かなかったよ!? 気付かなかったんだけどぉ!?」
「とても美味しい料理だった」
モルツォグァッツァでバイトする事になった経緯については、以前スティーブンへは伝えているので何とも言えないが、確かにバイトと聞いて高級レストランを想定はしにくいだろう。レオが気付かなかったのも、高級レストランの料理といつもの家庭料理では材料の質や作る時に込める印象が違っているからだ。
それに設備も違う。泡立てる動作一つとっても手動と自動では雲泥の差があるのだから、シルビも自動泡立て器が欲しい。実家にはあるのだがヘルサレムズ・ロットへ来るにあたり、手動でいいかと持ってこなかったのである。実家でシルビ以外の誰かが使っているとは思えない。
クラウスからは安定の誉め言葉を頂けて少し嬉しかった。
「いやでもホラ、店名言ってなかったのは俺の落ち度ですけど、皆も聞いてこなかったし、聞いたところで食べに来ましたぁ?」
「……行かないな」
「でしょう? なら別に言っても言わなくても支障は無かったっていうかぁ」
「本っ当に情報共有って言葉を知らないな君は!」
「要点だけを押さえて無駄を省くという……」
「全部分かってるのが君だけという事態に関しては」
「特には?」
首を傾げながら言えばスティーブンが脱力して、再び机へ突っ伏す。ギルベルトはいつの間にか落ち着きを取り戻してデザートを食べていた。一度即死と勘違いしたほどの物をそうも簡単に再び食べ進めているところは、流石としか言いようがない。
シルビもローテーブルへ置かれていたもう一つの皿を手に取る。自分で作った物なので、シルビが死にかけたりトランス状態へ陥ることはない。
「美味しいですねえ」
「自分で作った物を誉めるのはなんかなぁ。レオ君食べるかぁ?」
フォークの先へ突き刺してレオへ差し出せば、レオは唾を飲み込んだ後凄い勢いで首を横へ振った。トランスしたくないということなのだろうが、なかなかに失礼な態度である。
「じゃあクラウスさん如何です?」
「なら頂こう」
「あーん」
シルビの申し出を受けたクラウスへフォークを差し出せば、クラウスは少し戸惑いながらも口を開いた。
「うむ。とても美味しい」
咀嚼したクラウスの背後に、花が舞うイメージを脳内保管しながら微笑めばクラウスも少し目元を緩めた。せっかくなのでもう一口と思いもう一度フォークを差し出せば、クラウスも今度は慣れた様子で口を開く。
やはり美味しそうに食べてもらえるのは嬉しく、モルツォグァッツァで作る時も、ライブラの事務所や家で作る時もその思いだけは変わらない。
だからそう、視界の端でレオが瞠目していたりスティーブンがもう何も言えないとばかりに手で目元を覆っていたのは、美味しそうに食べるクラウスを眺めているシルビからすれば些細なことだ。