閑話16
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ザップ視点
「おうシルビ。夕飯奢れ」
「俺これから薬局に顔出そうと思ってんだけどぉ」
ライブラの事務所を出ようとしていたシルビを捕まえて、ザップがその肩へ腕を回して夕飯を強請ればシルビは面倒そうにそう答えた。
秘密結社とはいえ給料の出る“会社”だが、同時に秘密結社であるが故に表向きの職を持っている者もいる。だが人狼局から派遣されているチェインや、イタリアの『復讐者』という組織から来ているシルビは、その派遣元があるので本当なら表向きの職に就く必要はない筈だ。
だがシルビはその『復讐者』という組織とはまた別に、ヘルサレムズ・ロットの薬局でバイトをしていた。聞いた話では何処かのレストランでもバイトをしているらしい。
「オメーの夕飯は」
「薬局で店長と一緒に」
「じゃあ一人追加で」
「はいはい」
呆れた様子で許可するが場所が勤め先の薬局なら、作るのは十中八九シルビだろう。シルビの作る料理は何でもかんでも美味いとザップは思っている。
「ザップさんは良く食うから作り甲斐があるぜぇ本当」
ザップに母親の記憶なんて無いに等しいが、世間でイメージされる『母親』というのはこういう感じなのだろうなとシルビを見て思ったことがあった。けれどもそれに反して、シルビという『個人』は脆い。
師匠が来て奴の知り合いだとライブラの皆にバレた時や、レオの【義眼】の痛みやら熱やらを取り去ったらしい時とか、ギルベルトさんが切り裂かれた時など挙げれば意外と暇がない程出てくる。きっとザップでなくともK・Kやスティーブンは気付いているだろうそれは、シルビがレオと仲が良いせいかザップも良く目にするのだ。
仲が良いはずのレオに対しても怯えた目を向けることのあるシルビが、何を考えているのかなんてザップには到底分からない。
「レオ君とツェッド君はぁ?」
「陰毛はバイトでくず餅は姐さんとどっか行った」
「置いてけぼりかぁ」
「……言っとくけど、テメーも置いてけぼり食らってんだかんな!」
肩に回していた腕でシルビの首を絞める。笑ってザップの腕を掴んだシルビの手は、細くはあるがザップと同じ男のそれで、触ったら折れてしまうような脆さなんて当然無いし、決して『母親』を連想させるものも無い。
だから単に『見守る』のが得意なのだろう。自分自身のことは見守れないくせに。
「あー、今日は肉と酒の気分だわー」
「あの薬局で作るんじゃ大抵和食だぁ」
「テンチョーさんSAKE出してくんねーかなー」
「ザップさん来るなら出すんじゃねぇ?」
「おうシルビ。夕飯奢れ」
「俺これから薬局に顔出そうと思ってんだけどぉ」
ライブラの事務所を出ようとしていたシルビを捕まえて、ザップがその肩へ腕を回して夕飯を強請ればシルビは面倒そうにそう答えた。
秘密結社とはいえ給料の出る“会社”だが、同時に秘密結社であるが故に表向きの職を持っている者もいる。だが人狼局から派遣されているチェインや、イタリアの『復讐者』という組織から来ているシルビは、その派遣元があるので本当なら表向きの職に就く必要はない筈だ。
だがシルビはその『復讐者』という組織とはまた別に、ヘルサレムズ・ロットの薬局でバイトをしていた。聞いた話では何処かのレストランでもバイトをしているらしい。
「オメーの夕飯は」
「薬局で店長と一緒に」
「じゃあ一人追加で」
「はいはい」
呆れた様子で許可するが場所が勤め先の薬局なら、作るのは十中八九シルビだろう。シルビの作る料理は何でもかんでも美味いとザップは思っている。
「ザップさんは良く食うから作り甲斐があるぜぇ本当」
ザップに母親の記憶なんて無いに等しいが、世間でイメージされる『母親』というのはこういう感じなのだろうなとシルビを見て思ったことがあった。けれどもそれに反して、シルビという『個人』は脆い。
師匠が来て奴の知り合いだとライブラの皆にバレた時や、レオの【義眼】の痛みやら熱やらを取り去ったらしい時とか、ギルベルトさんが切り裂かれた時など挙げれば意外と暇がない程出てくる。きっとザップでなくともK・Kやスティーブンは気付いているだろうそれは、シルビがレオと仲が良いせいかザップも良く目にするのだ。
仲が良いはずのレオに対しても怯えた目を向けることのあるシルビが、何を考えているのかなんてザップには到底分からない。
「レオ君とツェッド君はぁ?」
「陰毛はバイトでくず餅は姐さんとどっか行った」
「置いてけぼりかぁ」
「……言っとくけど、テメーも置いてけぼり食らってんだかんな!」
肩に回していた腕でシルビの首を絞める。笑ってザップの腕を掴んだシルビの手は、細くはあるがザップと同じ男のそれで、触ったら折れてしまうような脆さなんて当然無いし、決して『母親』を連想させるものも無い。
だから単に『見守る』のが得意なのだろう。自分自身のことは見守れないくせに。
「あー、今日は肉と酒の気分だわー」
「あの薬局で作るんじゃ大抵和食だぁ」
「テンチョーさんSAKE出してくんねーかなー」
「ザップさん来るなら出すんじゃねぇ?」