―マクロの決死圏―
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「イェアアア! ミトコーモンの新期決定だぜコラ!」
「仕事しろぉ」
今日も今日とて奥の住居部分へ引っ込んで、テレビの前で尻に根っこを生やしている店長に、レストランでのバイトを終えてやってきたシルビは呆れかえった。
いつも思うことだがこの店長はシルビが居ようが居まいが仕事をしない。いつ来ても奥の部屋に引っ込んでいるし、たまに店の側へ居ると思えば客との話に熱中している。
異界人も人類も分け隔てなく話しかけるところや、調剤の腕に関してはシルビも賞賛する程なのだが、いかんせん店を経営しているという自覚は少ない。それでいて、どうやらこの薬局が潰れるのは困るらしかった。やろうとすれば彼ならこの店をもっと大きくも出来るだろうに、それには微塵足りとも興味が無いようである。
宛がわれているロッカーから取り出した白衣へ袖を通しつつ、シルビが店のほうはどうなっているんだと出入り口へ向かえば、案の定閉業中の看板が下げられたままだった。
「せめて看板は外せと毎回……」
「いーんだよ。オレはこの店さえ潰さなけりゃいいんだから」
「なんでですか」
「目立つし、分かりやすいだろ」
一体何が目立って分かりやすいのかはシルビには分かりかねる。店長は相変わらずテレビの前へ陣取りながら、シルビを振り返りすらしなかった。
ため息を飲み込んで閉業中の看板を外す。この店は特に宣伝している訳でもないこぢんまりとした店だが、立地条件がいいのと常連がいるので一日に数人は必ず客が入ってくる。店の外では相変わらず小さな小競り合いや事故や捕食が行なわれているが至って平和だった。
それを平和だと思う程度には、シルビもこのヘルサレムズ・ロットへ慣れてしまったらしい。移動の間の暇潰しに持参していた音楽プレーヤーをロッカーから持ってきて、客が来るまでの時間潰しに耳へ嵌める。仕事中にそんな事は本来許されないが、雇い主が雇い主なのでシルビも客さえいなければ結構好き勝手だ。
「あーそうだ。お前今日何時までいる?」
「問題無けりゃ夕方まで居ますけどぉ?」
「夕飯作って」
「夜は友達とゴハン食べるんだったぁ」
「棒読みじゃねえかよ。つかお前トモダチいんのかよ」
「テレビ壊すぞこの野郎ぅ」
昨日ザップに言われたのと同じ事を言われて、言う相手が違うだけでこんなにも腹立たしいのかと思った。というかザップといい店長といい、そんなにシルビは友人がいないように見えるのかと疑問も浮かぶ。
単独行動が好きである事と交友関係を築けるかは別だと思いたい。
シルビが夕食を作ってくれないと悟って興味を失ったのか、店長が再びテレビへと集中した。
「仕事しろぉ」
今日も今日とて奥の住居部分へ引っ込んで、テレビの前で尻に根っこを生やしている店長に、レストランでのバイトを終えてやってきたシルビは呆れかえった。
いつも思うことだがこの店長はシルビが居ようが居まいが仕事をしない。いつ来ても奥の部屋に引っ込んでいるし、たまに店の側へ居ると思えば客との話に熱中している。
異界人も人類も分け隔てなく話しかけるところや、調剤の腕に関してはシルビも賞賛する程なのだが、いかんせん店を経営しているという自覚は少ない。それでいて、どうやらこの薬局が潰れるのは困るらしかった。やろうとすれば彼ならこの店をもっと大きくも出来るだろうに、それには微塵足りとも興味が無いようである。
宛がわれているロッカーから取り出した白衣へ袖を通しつつ、シルビが店のほうはどうなっているんだと出入り口へ向かえば、案の定閉業中の看板が下げられたままだった。
「せめて看板は外せと毎回……」
「いーんだよ。オレはこの店さえ潰さなけりゃいいんだから」
「なんでですか」
「目立つし、分かりやすいだろ」
一体何が目立って分かりやすいのかはシルビには分かりかねる。店長は相変わらずテレビの前へ陣取りながら、シルビを振り返りすらしなかった。
ため息を飲み込んで閉業中の看板を外す。この店は特に宣伝している訳でもないこぢんまりとした店だが、立地条件がいいのと常連がいるので一日に数人は必ず客が入ってくる。店の外では相変わらず小さな小競り合いや事故や捕食が行なわれているが至って平和だった。
それを平和だと思う程度には、シルビもこのヘルサレムズ・ロットへ慣れてしまったらしい。移動の間の暇潰しに持参していた音楽プレーヤーをロッカーから持ってきて、客が来るまでの時間潰しに耳へ嵌める。仕事中にそんな事は本来許されないが、雇い主が雇い主なのでシルビも客さえいなければ結構好き勝手だ。
「あーそうだ。お前今日何時までいる?」
「問題無けりゃ夕方まで居ますけどぉ?」
「夕飯作って」
「夜は友達とゴハン食べるんだったぁ」
「棒読みじゃねえかよ。つかお前トモダチいんのかよ」
「テレビ壊すぞこの野郎ぅ」
昨日ザップに言われたのと同じ事を言われて、言う相手が違うだけでこんなにも腹立たしいのかと思った。というかザップといい店長といい、そんなにシルビは友人がいないように見えるのかと疑問も浮かぶ。
単独行動が好きである事と交友関係を築けるかは別だと思いたい。
シルビが夕食を作ってくれないと悟って興味を失ったのか、店長が再びテレビへと集中した。