閑話13
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「酢豚の中のパイナップルが良く分かんないんだよな」
「バッカ、アレがいいんだろ!」
「ありゃ酸味を足す為だぁ」
「“スブタ”ってどんな料理ですか?」
キーマカレーに入っていた干し葡萄から酢豚の中のパイナップルの話へと移るような、脈絡も曖昧な雑談をしながら夕飯を食べるメンバーの中には、昼間の段階では予定に無かったザップの姿があった。何処から嗅ぎ付けてきたのか、夕食を一緒に食べる事も知らなかった筈なのにシルビ達が揃ってシルビの家へ向かう時には、当たり前のように付いて来ていたのである。
レオは散々文句を言っていたが、家主であり料理を作るシルビとしては一人増えたところで特に不都合も無かったので構わなかった。
「それにしてもシルビさんは料理が上手なんですね」
「昔から家族や友人の面倒見てたしなぁ」
「お前友達いんの?」
スプーンを咥えながら聞いてきたザップは、いったいシルビをなんだと思っているのか。
今でこそ一人暮らしだし、ヘルサレムズ・ロットに来てからはライブラの面々やバイト先の知人以外に知り合いらしい知り合いもいないが、これでも友人は多いほうだと自負している。
相手がシルビのことを『友人』と認識しているかどうかは微妙なところだが、今でも連絡を取り合う知人は友人だと思っていいのでは無いか。少なくともシルビが堂々と友人と呼べる者はいるし、弟を任せても良いと信頼している親友だっている。
それに何より。
「俺は貴方達のことをライブラのメンバーとしてだけじゃなく、友人だとも思っていたんだけどぉ?」
そう思っていたのは自分だけなのだろうかとキーマカレーを頬張っていた三人へ向けて首を傾げれば、三人はポカンとシルビを見つめた後、それぞれ何とも言えない曖昧な表情を浮かべた。照れているような怒っているような、恥ずかしがっているような顔だ。
「……オメーよぉ、よくそーいう事恥ずかしげもなく言えんのな」
「? 変な事を言った覚えは無ぇよ?」
「ボクも、友達なんですか」
「嫌かぁ?」
「いえ、そんな事は……」
食べる手を止めるしまったツェッドにやはり嫌だったのだろうかと少し悩む。
「嫌ならいいんだけどぉ」
「だからイヤじゃねーって。つかイヤだったら一緒に食わないだろ」
「いやオレは食う。陰毛と魚類が食わねーならオレが食う! タダだし」
「アンタは遠慮しろ!」
軽い言い合いを始めてしまったレオとザップは、きっとシルビの考えになんて気付かないだろう。
シルビは未だにレオ達へ自分の事を色々隠したままではいるけれど、そのくせ友達の為になら何でも出来る覚悟があった。その覚悟をレオ達へ向けて使う事が今後あった時の為に、自分への言い訳としてもレオ達のことを『友人』だと思っていたい。
そんな言い方をすればシルビのエゴでしかないが、シルビはそんな生き方で生きてきたので仕方なかった。ただこの目の前の三人や、ライブラの皆から離れたくないなとは思っている。
問題があるとすれば、『正体』を知られた時だ。
「……シルビ! おかわり!」
「ぁ、うん」
隣に座っていたザップが空になった皿を突き出してきた。暗い考えを止めて向かいに座っていた二人にも尋ねれば、二人も勢いよくお代わりを要求してくる。
「バッカ、アレがいいんだろ!」
「ありゃ酸味を足す為だぁ」
「“スブタ”ってどんな料理ですか?」
キーマカレーに入っていた干し葡萄から酢豚の中のパイナップルの話へと移るような、脈絡も曖昧な雑談をしながら夕飯を食べるメンバーの中には、昼間の段階では予定に無かったザップの姿があった。何処から嗅ぎ付けてきたのか、夕食を一緒に食べる事も知らなかった筈なのにシルビ達が揃ってシルビの家へ向かう時には、当たり前のように付いて来ていたのである。
レオは散々文句を言っていたが、家主であり料理を作るシルビとしては一人増えたところで特に不都合も無かったので構わなかった。
「それにしてもシルビさんは料理が上手なんですね」
「昔から家族や友人の面倒見てたしなぁ」
「お前友達いんの?」
スプーンを咥えながら聞いてきたザップは、いったいシルビをなんだと思っているのか。
今でこそ一人暮らしだし、ヘルサレムズ・ロットに来てからはライブラの面々やバイト先の知人以外に知り合いらしい知り合いもいないが、これでも友人は多いほうだと自負している。
相手がシルビのことを『友人』と認識しているかどうかは微妙なところだが、今でも連絡を取り合う知人は友人だと思っていいのでは無いか。少なくともシルビが堂々と友人と呼べる者はいるし、弟を任せても良いと信頼している親友だっている。
それに何より。
「俺は貴方達のことをライブラのメンバーとしてだけじゃなく、友人だとも思っていたんだけどぉ?」
そう思っていたのは自分だけなのだろうかとキーマカレーを頬張っていた三人へ向けて首を傾げれば、三人はポカンとシルビを見つめた後、それぞれ何とも言えない曖昧な表情を浮かべた。照れているような怒っているような、恥ずかしがっているような顔だ。
「……オメーよぉ、よくそーいう事恥ずかしげもなく言えんのな」
「? 変な事を言った覚えは無ぇよ?」
「ボクも、友達なんですか」
「嫌かぁ?」
「いえ、そんな事は……」
食べる手を止めるしまったツェッドにやはり嫌だったのだろうかと少し悩む。
「嫌ならいいんだけどぉ」
「だからイヤじゃねーって。つかイヤだったら一緒に食わないだろ」
「いやオレは食う。陰毛と魚類が食わねーならオレが食う! タダだし」
「アンタは遠慮しろ!」
軽い言い合いを始めてしまったレオとザップは、きっとシルビの考えになんて気付かないだろう。
シルビは未だにレオ達へ自分の事を色々隠したままではいるけれど、そのくせ友達の為になら何でも出来る覚悟があった。その覚悟をレオ達へ向けて使う事が今後あった時の為に、自分への言い訳としてもレオ達のことを『友人』だと思っていたい。
そんな言い方をすればシルビのエゴでしかないが、シルビはそんな生き方で生きてきたので仕方なかった。ただこの目の前の三人や、ライブラの皆から離れたくないなとは思っている。
問題があるとすれば、『正体』を知られた時だ。
「……シルビ! おかわり!」
「ぁ、うん」
隣に座っていたザップが空になった皿を突き出してきた。暗い考えを止めて向かいに座っていた二人にも尋ねれば、二人も勢いよくお代わりを要求してくる。