閑話11
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ギルベルトの運転していた車から降りた先には霧に覆われた植物園があり、シルビはその園内へ向かうクラウスから半歩遅れて付いて行く。
建物の中へと入れば外の霧による肌寒さや湿気など関係なく、静かに佇む植物がシルビ達を迎えた。“四つ足”で前を行くクラウスに続いて奥へ向かえば、管理人室の前で小さな花の植え替えを行なっている二人を見つける。
その二人のうち男性であるほうがクラウスとシルビに気付き、顔を上げて立ち上がり少し気まずげに頭を下げてきた。それにキッチリと頭を下げ返したクラウスに、シルビは頭を下げる挨拶代わりに尻尾を揺らす。
あの時転がっていた死体や血飛沫の汚れは何一つ残っていない。よく見れば薄く跡が残っているものの、一見してはただの植物の樹液による汚れに思えなくもなかった。
シルビがクラウスより前へ進み出て植え替えを行なっていた少女へと歩み寄れば、少女が土に汚れた手を払ってから以前よりも素直にシルビへと手を伸ばしてくる。それをおとなしく受け入れた後ろで、クラウスと“先生”が話しているのが聞こえた。
「組を抜けました」
「……そうですか」
「これで良かったんだと思うてます。ワシには極道なんて向いちょらんかった」
話を聞くのはクラウスに任せて、シルビはシルビを撫でてくるメイヴィに鼻先をすり寄せる。今のシルビは単なるアニマルセラピー要員だ。
メイヴィは今の【白澤】の姿をしたシルビが、あの時彼女を助けた人物と同一である事を既に理解しているらしく怯える様子もなかった。むしろ『どうやってこの生き物が人になるのかが分からない』といった風にシルビの身体を撫で回している。
先生は滑塵組を抜けたのだという。極道が真っ当に戻るにはそれなりの代償が必要だかその辺の事はシルビには分からない。とりあえず分かるのは彼が極道としての道ではなくメイヴィを取ったという事だけだ。
だがそれに何の問題があろうか。
「……あの花は、大丈夫だったかぁ?」
小声でメイヴィにだけ聞こえるように尋ねれば、メイヴィがシルビを見て目を瞬かせる。彼女の目に自分の顔が映り込んでいることを動物特有の顔の近さで見つめていれば、メイヴィは植え替えを行なっていた植木鉢を指差した。
植木鉢の中では、綺麗な色をした花が一輪堂々と誇らしげに咲いている。それを確認してから再びメイヴィを見やれば、メイヴィは嬉しげに口元を挙げていた。
「綺麗に咲いたなぁ。流石だぁ」
花と同じく誇らしげに頷くメイヴィに、シルビは角で傷付けないように頭をメイヴィへ摺り寄せる。小さく笑い声を上げた彼女へ、話し込んでいたクラウスと先生が驚いて寄ってきた。
建物の中へと入れば外の霧による肌寒さや湿気など関係なく、静かに佇む植物がシルビ達を迎えた。“四つ足”で前を行くクラウスに続いて奥へ向かえば、管理人室の前で小さな花の植え替えを行なっている二人を見つける。
その二人のうち男性であるほうがクラウスとシルビに気付き、顔を上げて立ち上がり少し気まずげに頭を下げてきた。それにキッチリと頭を下げ返したクラウスに、シルビは頭を下げる挨拶代わりに尻尾を揺らす。
あの時転がっていた死体や血飛沫の汚れは何一つ残っていない。よく見れば薄く跡が残っているものの、一見してはただの植物の樹液による汚れに思えなくもなかった。
シルビがクラウスより前へ進み出て植え替えを行なっていた少女へと歩み寄れば、少女が土に汚れた手を払ってから以前よりも素直にシルビへと手を伸ばしてくる。それをおとなしく受け入れた後ろで、クラウスと“先生”が話しているのが聞こえた。
「組を抜けました」
「……そうですか」
「これで良かったんだと思うてます。ワシには極道なんて向いちょらんかった」
話を聞くのはクラウスに任せて、シルビはシルビを撫でてくるメイヴィに鼻先をすり寄せる。今のシルビは単なるアニマルセラピー要員だ。
メイヴィは今の【白澤】の姿をしたシルビが、あの時彼女を助けた人物と同一である事を既に理解しているらしく怯える様子もなかった。むしろ『どうやってこの生き物が人になるのかが分からない』といった風にシルビの身体を撫で回している。
先生は滑塵組を抜けたのだという。極道が真っ当に戻るにはそれなりの代償が必要だかその辺の事はシルビには分からない。とりあえず分かるのは彼が極道としての道ではなくメイヴィを取ったという事だけだ。
だがそれに何の問題があろうか。
「……あの花は、大丈夫だったかぁ?」
小声でメイヴィにだけ聞こえるように尋ねれば、メイヴィがシルビを見て目を瞬かせる。彼女の目に自分の顔が映り込んでいることを動物特有の顔の近さで見つめていれば、メイヴィは植え替えを行なっていた植木鉢を指差した。
植木鉢の中では、綺麗な色をした花が一輪堂々と誇らしげに咲いている。それを確認してから再びメイヴィを見やれば、メイヴィは嬉しげに口元を挙げていた。
「綺麗に咲いたなぁ。流石だぁ」
花と同じく誇らしげに頷くメイヴィに、シルビは角で傷付けないように頭をメイヴィへ摺り寄せる。小さく笑い声を上げた彼女へ、話し込んでいたクラウスと先生が驚いて寄ってきた。