閑話10
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
レオナルド視点
レオが事務所に出社したら、シルビが珍しくソファの上で膝を抱えて丸くなっていた。両手で顔を隠すシルビの向かいには、何かの事典のような分厚い本を広げたクラウスが居て、困ったようにシルビを見ている。
「おはよーございます。どーしたんすか?」
「ああ、おはようレオナルド君」
「……おはよぉ、レオ君」
シルビの声が普段の大声は何処へ行ったとばかりにか細い。しかしもう聞き慣れたせいか語尾は延びているように聞こえた。そんなシルビの様子にはレオは一体何があったのかと疑問に思う。
とりあえずレオもソファへ腰を降ろせば、シルビが顔を押さえていた両手をゆっくりと下げる。その下から出てきた顔は何故か真っ赤で、目も少し潤んでいた。黙っていればいつにも増して女性と見間違えそうな表情だが、そんな事よりシルビがそこまで動揺している事にレオとしては驚かざるを得ない。
そして多分、その原因がクラウスであることにも。
「何かあったんすか?」
「いや……」
「何も無かったよ。レオ君が気にするような事は本当、何も無ぇから」
「信憑性無いぞ?」
クラウスが申し訳無さそうに持っていた本を閉じる。何の本かと見れば表紙に『神話事典』と書かれていた。
神話事典を見ていて、果たしてシルビが照れるような内容があるのかと不思議に思う。例えば神話の中にはあけすけな恋愛事情を持ったものなどもあるが、シルビだって成人男性である以上ザップ程とはいかないがそれなりの経験はあるだろうから、たかが文で書かれた内容に照れる事は無い筈だ。
「……とりあえずクラウスさん。この事は皆に秘密でお願いします」
「……うむ。君がそう望むのなら、そうしよう」
謎の内約を行なってシルビが深いため息を吐く。全く訳の分からないレオからすれば、シルビが恥ずかしいものをクラウスへ知られたようにしか思えず、そこに挟まれている神話事典が謎過ぎた。
「ああもう早くあと四割取り返したい……。そしたら“あの姿”になる必要も減るのにぃ」
「あの姿?」
シルビの呟きに聞き返せばシルビの未だ潤んだ目がレオを見る。相変わらず綺麗な紫色の目だ。
レオを一瞥したシルビはしかしレオへ向けては何も言わずに立ち上がり、クラウスの手から神話事典を取り上げると壁際の本棚へとそれを片付けた。レオがクラウスを見ればクラウスは到って真面目そうに、事典を本棚へ戻すシルビの背中を眺めている。
「何の話なんすか?」
小声でそうクラウスへ尋ねればクラウスはレオの視線に気付いて振り向きはしたものの、何の話であるのかは教えてくれない。
「彼が自分から話してくれるのを待ったほうがいいだろう」
「え、結構マジメ話ですか?」
頷くクラウスに、レオのほうが何故か戸惑ってしまった。
レオが事務所に出社したら、シルビが珍しくソファの上で膝を抱えて丸くなっていた。両手で顔を隠すシルビの向かいには、何かの事典のような分厚い本を広げたクラウスが居て、困ったようにシルビを見ている。
「おはよーございます。どーしたんすか?」
「ああ、おはようレオナルド君」
「……おはよぉ、レオ君」
シルビの声が普段の大声は何処へ行ったとばかりにか細い。しかしもう聞き慣れたせいか語尾は延びているように聞こえた。そんなシルビの様子にはレオは一体何があったのかと疑問に思う。
とりあえずレオもソファへ腰を降ろせば、シルビが顔を押さえていた両手をゆっくりと下げる。その下から出てきた顔は何故か真っ赤で、目も少し潤んでいた。黙っていればいつにも増して女性と見間違えそうな表情だが、そんな事よりシルビがそこまで動揺している事にレオとしては驚かざるを得ない。
そして多分、その原因がクラウスであることにも。
「何かあったんすか?」
「いや……」
「何も無かったよ。レオ君が気にするような事は本当、何も無ぇから」
「信憑性無いぞ?」
クラウスが申し訳無さそうに持っていた本を閉じる。何の本かと見れば表紙に『神話事典』と書かれていた。
神話事典を見ていて、果たしてシルビが照れるような内容があるのかと不思議に思う。例えば神話の中にはあけすけな恋愛事情を持ったものなどもあるが、シルビだって成人男性である以上ザップ程とはいかないがそれなりの経験はあるだろうから、たかが文で書かれた内容に照れる事は無い筈だ。
「……とりあえずクラウスさん。この事は皆に秘密でお願いします」
「……うむ。君がそう望むのなら、そうしよう」
謎の内約を行なってシルビが深いため息を吐く。全く訳の分からないレオからすれば、シルビが恥ずかしいものをクラウスへ知られたようにしか思えず、そこに挟まれている神話事典が謎過ぎた。
「ああもう早くあと四割取り返したい……。そしたら“あの姿”になる必要も減るのにぃ」
「あの姿?」
シルビの呟きに聞き返せばシルビの未だ潤んだ目がレオを見る。相変わらず綺麗な紫色の目だ。
レオを一瞥したシルビはしかしレオへ向けては何も言わずに立ち上がり、クラウスの手から神話事典を取り上げると壁際の本棚へとそれを片付けた。レオがクラウスを見ればクラウスは到って真面目そうに、事典を本棚へ戻すシルビの背中を眺めている。
「何の話なんすか?」
小声でそうクラウスへ尋ねればクラウスはレオの視線に気付いて振り向きはしたものの、何の話であるのかは教えてくれない。
「彼が自分から話してくれるのを待ったほうがいいだろう」
「え、結構マジメ話ですか?」
頷くクラウスに、レオのほうが何故か戸惑ってしまった。