閑話10
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ライブラの事務所へ戻ってクラウスをソファへ座らせ、その怪我を【晴の炎】で治療していく。本当に酷い怪我であった場合は病院での治療を受けたほうがいいが、今回の程度なら自然治癒を促す程度でいいだろう。
ギルベルトが持ってきてくれた濡れタオルで汚れを拭っているクラウスの手を治し終え、上着を脱いでもらい蹴られたのだという腹部を診る。
「どうだい?」
「内臓までいってはいねぇので後で痣が出来る程度っていうか……強靭ですね」
既に少し鬱血し始めている肌を押さないように触れれば、クラウスが僅かに肩を跳ねさせた。
「痛てぇようでしたら鎮痛剤を処方しますから飲んでください。打撲による熱はこの様子なら出ねぇと思うんですけど、湿布は貼りましょう」
「医療知識がある奴がいると助かるね。やっぱり」
「薬剤師なんですけどねぇ」
後ろで眺めていたスティーブンに言われてシルビは苦笑する。
「しかも元々の専門は漢方薬ですし、正直酷でぇ怪我はちゃんとした医者へ見てもらったほうがいいと思いますよ?」
ギルベルトの用意した救急箱から取り出した湿布のフィルムを剥がしてクラウスの脇腹へ貼り付けた。貼ったばかりの湿布を手で押さえたクラウスが、何かを思い出したようにクラウスの前でしゃがんでいたシルビを見下ろす。
怪我に関することだったら先にちゃんと話して欲しいと思いつつクラウスを見返すと、クラウスはシルビを見つめてキョトンと首を傾げた。いい大人の仕草にしては可愛いと思ったのは内緒である。
「そういえばシルビ君は先生の仰っていた『ハクタクサン』を知っているかね?」
「それ今聞くことですか」
仕草は可愛かったのに質問は個人的に可愛くない。
「いや、薬の話で思い出したのだ。特に他意は無いのだが知らないのならばそれで」
「ハクタクサン? 何だそれ」
「うむ。先生がシルビ君の“あの姿”を見て言っておられたのだ。確か中国の……」
「あークラウスさん! もう服着ていいですよぉ! 風邪引いちゃいますから着ましょうホラぁ!」
慌てて強引に話題を逸らしたつもりだが、そのせいで後ろに立っていたスティーブンが興味を持ってしまった気が確実にする。もう勝手に調べるのなら文句は言わない事にするかしかないのかと遠い目をすると、クラウスが申し訳無さそうにシルビを見てきた。
「嫌な話だっただろうか……?」
だからクラウスのそういうところに、シルビは弱いというのに。
「ぐ……嫌だなんてそんな事っ! 大丈夫ですクラウスさん。知らねぇことを知ろうとするのは美徳です!」
「では、後で一緒に調べてもらってもいいだろうか? 私はあまり東洋の事には詳しく無くて」
「はい! ――あ、いや、それは、ちょっと……」
「君と何か出来るのは嬉しい」
そう言って嬉しそうな雰囲気を全面へ出されたら、シルビはもう降伏するしかなかった。
ギルベルトが持ってきてくれた濡れタオルで汚れを拭っているクラウスの手を治し終え、上着を脱いでもらい蹴られたのだという腹部を診る。
「どうだい?」
「内臓までいってはいねぇので後で痣が出来る程度っていうか……強靭ですね」
既に少し鬱血し始めている肌を押さないように触れれば、クラウスが僅かに肩を跳ねさせた。
「痛てぇようでしたら鎮痛剤を処方しますから飲んでください。打撲による熱はこの様子なら出ねぇと思うんですけど、湿布は貼りましょう」
「医療知識がある奴がいると助かるね。やっぱり」
「薬剤師なんですけどねぇ」
後ろで眺めていたスティーブンに言われてシルビは苦笑する。
「しかも元々の専門は漢方薬ですし、正直酷でぇ怪我はちゃんとした医者へ見てもらったほうがいいと思いますよ?」
ギルベルトの用意した救急箱から取り出した湿布のフィルムを剥がしてクラウスの脇腹へ貼り付けた。貼ったばかりの湿布を手で押さえたクラウスが、何かを思い出したようにクラウスの前でしゃがんでいたシルビを見下ろす。
怪我に関することだったら先にちゃんと話して欲しいと思いつつクラウスを見返すと、クラウスはシルビを見つめてキョトンと首を傾げた。いい大人の仕草にしては可愛いと思ったのは内緒である。
「そういえばシルビ君は先生の仰っていた『ハクタクサン』を知っているかね?」
「それ今聞くことですか」
仕草は可愛かったのに質問は個人的に可愛くない。
「いや、薬の話で思い出したのだ。特に他意は無いのだが知らないのならばそれで」
「ハクタクサン? 何だそれ」
「うむ。先生がシルビ君の“あの姿”を見て言っておられたのだ。確か中国の……」
「あークラウスさん! もう服着ていいですよぉ! 風邪引いちゃいますから着ましょうホラぁ!」
慌てて強引に話題を逸らしたつもりだが、そのせいで後ろに立っていたスティーブンが興味を持ってしまった気が確実にする。もう勝手に調べるのなら文句は言わない事にするかしかないのかと遠い目をすると、クラウスが申し訳無さそうにシルビを見てきた。
「嫌な話だっただろうか……?」
だからクラウスのそういうところに、シルビは弱いというのに。
「ぐ……嫌だなんてそんな事っ! 大丈夫ですクラウスさん。知らねぇことを知ろうとするのは美徳です!」
「では、後で一緒に調べてもらってもいいだろうか? 私はあまり東洋の事には詳しく無くて」
「はい! ――あ、いや、それは、ちょっと……」
「君と何か出来るのは嬉しい」
そう言って嬉しそうな雰囲気を全面へ出されたら、シルビはもう降伏するしかなかった。